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ニュースリリースのリリースコンテナ第一倉庫

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2024'11.29.Fri
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2007'04.13.Fri

島津製作所、大量処理型BioMEMS DNAシーケンサを発売

微細加工流路による電気泳動ガラスプレートを世界で初めて搭載
BioMEMS DNAシーケンサDeNOVA-5000HTを発売

―40万塩基の新規ゲノムを1日でドラフト解読できる世界最高の処理能力―


 島津製作所は、DNA配列の長鎖解読能力を保ちつつ、40万塩基の新規ゲノムを1日でドラフト解読(*1) できる世界最高の処理能力と、大幅なランニングコストの低減(当社比1/5以下)を実現した大量処理型BioMEMS(*2) DNAシーケンサ(型名:DeNOVA-5000HT)を発売します。この能力は、1枚のガラスプレート上に384本の微細流路が形成された電気泳動プレートを、世界で初めて採用することにより実現しました。本装置は、例えば投薬前に患者の遺伝子情報を診断し、医薬品の副作用予測を可能とする「個の医療」を目指すゲノム研究を加速します。

 * 関連資料「BioMEMS技術によるDNA解析」参照

【商品化の背景】
 各種生物のゲノム(DNA)配列解析は、ヒトゲノム解読終了後も、人や生物の多様性を比較研究するために、欧米を中心に活発に行われています。また、予防医学、創薬、環境科学、あるいはエネルギーといった新たな分野において大型ゲノム解析プロジェクトが米国を中心に開始されています。
 生命の設計図であるゲノム(DNA)配列の解析は、ゲノム情報からより詳細に生命現象を把握・理解することによって、精度の高い診断法やより安全な治療法、あるいは効能が高く副作用の少ないゲノム創薬の開発を可能とします。
 これらゲノム研究には、DNAシーケンサは必須の分析装置であり、今まで以上にゲノム解読のスピード、処理能力と精度の向上、および低ランニングコストを実現する装置が求められています。新製品は、これらの要求に応えるために、電気泳動プレートを利用したDNA断片の分離法を採用することにより、解読のスピード、処理能力、精度の向上、およびランニングコストの低減を実現しました。

【新製品について】
 DNAシーケンサ DeNOVA-5000HTは、当社のマルチキャピラリーDNAシーケンシング技術およびマイクロチップ電気泳動技術と、マサチューセッツ工科大学発のベンチャー企業であるNetwork Biosystems社のBioMEMSガラスプレート加工技術を基盤とし、これらの技術を融合して製品化しました。
 DNA配列解析手法のひとつであるサンガー法(*3) を基本原理とし、電気泳動部をキャピラリー(細管)方式に換え、微細加工技術を応用したガラスプレート流路方式を世界で初めて採用することにより、独自の解析手法を開発しました。
 これにより、貴重なDNAサンプル(必要最小量5μL~)および高価な反応試薬量を微量化できるとともに、800塩基の解読長を確保しつつ、例えば40万塩基の新規のバクテリアゲノムや菌ゲノムのドラフト解読を1台で、しかも1日で解読完了できる世界最高の処理能力を実現しました。なお、装置仕様としては、1日1台あたり最大400万塩基以上のシーケンス解読が可能です。また、1回の電気泳動に関わるランニングコストは、従来の1/5以下(当社比)とハイコストパフォーマンスです。
 DNA解析は、質量分析計を中心とするプロテオーム解析ならびにメタボローム解析を進める上で、基盤情報となるゲノムデータを充実するために欠かせません。従ってDNAシーケンサは、今後も益々重要な解析ツールになるものと考えています。当社は、新製品の発売を機に、更にBioMEMSの基盤技術を応用したゲノム関連装置の開発を進め、バイオビジネスの規模拡大を図る計画です。

 新製品の特長は以下の通りです。

・ 従来のサンガー法のメリットである長鎖解読能力(800塩基)を確保しながら、新規ゲノムのドラフト解読では1日1台あたり40万塩基の能力があり、シーケンス解読する場合の最大仕様としては400万塩基以上が可能です。
・ わずか5μLからのサンプル量で解読が可能。
・ 24時間の全自動運転ができ、人件費の削減などトータルなランニングコストの低減に貢献。
・ さらに、AXIMA-QITを組み合わせることで、翻訳後修飾を含めた、より詳細なタンパク質の同定が可能です。
・ Phred(*4)と同等な統計的な信頼度を算出する機能を有した、独自開発の配列決定ソフトウェアを提供。

【製品名】  大量処理型BioMEMS DNAシーケンサ DeNOVA-5000HT
【定価】    7,700万円(本体価格・税抜)
【販売計画】 2007年度 15台
【本体寸法】 W203xD790xH228cm、約820kg


(*1) ドラフト解読
 大まかにゲノム配列を決定する解析を指します。例えば、40万塩基の新規ゲノムを、1台1日でドラフト解読するためには、400万塩基以上の処理能力が必要です。2000年、ヒトゲノムのドラフト解析の完了発表時は、完成あるいは信頼度99.99%以上の解読データでヒトゲノム全体の約90%をカバーしました。

(*2) MEMS
 Micro Electrical and Mechanical Systemと称します。特にバイオ分野の応用においてはBioMEMSと称します。

(*3) サンガー法
 人工基質と酵素を用いるDNA配列の基本的な解読法です。ジデオキシヌクレオチド法、チェーンターミネーション法、または一般には開発者Frederick Sanger博士にちなんでサンガー法と呼ばれています。CEとは、Capillary Electrophoresis(キャピラリー電気泳動)を指します。サンガー法では、反応生成したDNA断片を電気泳動により分離してDNAの配列を決めていきます。

(*4) Phred
 ワシントン大学のグリーン教授が開発したデファクトスタンダードの配列決定ソフトウェアです。独自のアルゴリズムにより1塩基毎の信頼度を算出する機能を有し、この信頼度をPhredスコアと称します。


【Network Biosystems(ネットワーク・バイオシステムズ)社の概要】
 バイオテクノロジーや分子生物学への応用を目指したナノテクノロジーとマイクロ流体技術を コア技術に持つ、マサチューセッツ工科大学(MIT)発のベンチャー企業。
 住所    : 1 Gill Street, Suite B, Woburn, MA 01801 USA
 広報担当 : Susan O'Keefe(電話+1-781-938-1661)
 代表電話 : +1-781-938-6060
 URL    : http://www.networkbiosystems.com/default.asp

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