日本精工、工作機械主軸用のグリース補給タイプ円筒ころ軸受を開発
グリース補給高速・長寿命円筒ころ軸受を開発
~グリース潤滑で(*1)dmn値160万、従来比60倍以上の長寿命を実現~
日本精工株式会社(本社/東京都品川区取締役代表執行役社長朝香聖一、以下NSK)は、工作機械主軸用として高速回転で長寿命のグリース補給タイプ円筒ころ軸受を開発し、2007年初頭から発売します。
工作機械主軸の高速化が進む中で、主軸用軸受には、さらなる長寿命化、低騒音化、省エネルギー化、環境性の向上が要求されています。その中で、特に高速主軸で主流であるオイルエア潤滑に代わる、耐環境性に有利なグリース潤滑による高速化に対する強いニーズがあります。
NSKは、すでにオイルエア潤滑に比べて耐環境性にすぐれ、高速・長寿命なグリース補給タイプのアンギュラ玉軸受を実用化していますが、円筒ころ軸受については、グリース供給時の発熱等の課題がありました。
今回、新たに高速回転で大幅に寿命の長いグリース補給タイプ円筒ころ軸受を開発し、アンギュラ玉軸受と組合わせて高速主軸での使用を可能としました。
円筒ころ軸受を(*2)固定側に配置した#40の高剛性主軸で毎分18,000回転、20,000時間の運転、ならびに円筒ころ軸受を*3自由側に配置した場合には、軸受周りのスライド機構を省略でき、毎分20,000回転、20,000時間の運転が可能です。
<製品の特長>
本製品は、グリースを補給する軸受の外輪穴位置、保持器形状、間座形状を最適化することにより、以下の優れた特長を有しています。
◆グリース潤滑でdmn値160万、当社従来比1.3倍の高速化を達成
外輪穴から補給されるグリースが保持器を介して軸受内部に導かれることにより、安定的に供給可能とし、dmn値160万(軸径70mmの場合、毎分18,000回転)の高速回転が可能となりました。従来のグリース封入タイプに比べて、1.3倍の高速化を達成しました。
◆グリース潤滑で当社従来比60 倍以上の長寿命化が可能
グリースを補給装置により軸受に自動補給することにより、グリース封入タイプの円筒ころ軸受と比較して60倍以上の長寿命化が可能となりました。
*1 dmn値: 軸受ピッチ円径(mm)×回転速度(min-1)
*2 固定側: 軸受配列として軸受をアキシアル方向に位置決めし、固定する側
*3 自由側: 軸受配列として温度変化による軸の膨張・収縮を逃がす側
NSKは、本製品を2007年初頭より発売し、グリース補給タイプで2008年度5億円の売上を目指します。また、11月に開催される日本国際工作機械見本市「JIMTOF2006」に本製品を出展し、動展示します。
以上