野村総研、主要企業が2005年度に発行したマイレージなどの「企業通貨」発行金額を推計
日本国内の「企業通貨」発行総額は4,500億円超
~主要9業界の2005年度の発行金額を推計~
株式会社野村総合研究所(本社:東京都千代田区、社長:藤沼彰久、以下「NRI」)は、国内9業界の主要企業が2005年度に発行したポイントやマイレージなどの「企業通貨」の金額を推計しました。その結果、発行総額は少なくとも4,500億円程度に達することがわかりました。NRIでは、「企業通貨」を提供する企業が合従連衡することで、新たな顧客囲い込み・相互送客につながり、「企業通貨」の価値や利用率が一層高まると考えています。
●国内主要9業界の「企業通貨」発行額推計(2005年度)
(※参考資料1あり)
「企業通貨」は、各種キャンペーンなどで、購入額にかかわらず提供されるものがあるほか、還元率もステージ制やプレミアム会員制などの状況によって異なります。さらに、現在では100社をはるかに超える企業が「企業通貨」を提供しています。そのため、実際に日本国内で発行されている「企業通貨」の総額は、4,500億円を上回っている可能性も高いとNRIでは見ています。他の「企業通貨」に交換できるものが増えてきているなど、流動性を促進させる動きも活発化している点を考慮すると、今後、「企業通貨」はその存在感を一層高めるであろうと推測されます。
さらに、NRIが2005年9月に全国の2,500人に対して実施したアンケート(訪問留置調査)によると、消費者が貯めている「企業通貨」の種類の1位は総合スーパー(43.4%)、2位は携帯電話(42.7%)、3位は家電量販店(41.2%)でした。さらに、携帯電話の「企業通貨」は「貯めている」と「貯めたい」のギャップが最も大きいことがわかりました。これは、発行量が多い割に、ポイントプログラムがうまく機能していないためだと分析できます。企業が「企業通貨」を発行する費用を、販促費用としてとらえた場合、未使用の「企業通貨」は発行企業のコスト低減につながります。ですが、「企業通貨」を発行する企業の本来の目的を考えた場合、利用率を高めていくべきだと思われます。
(※参考資料2あり)
NRIでは、「企業通貨」の利用率を高めるための一つの手段として、「企業通貨」を提供する企業が、既存の資本関係のあるグループを越えて合従連衡することを提案します。それも、単なる「企業通貨」の相互交換のみならず、消費者の行動プロセスなどに絡めた、あらゆる合従連衡にまで踏み込むことで、より一層、「企業通貨」の価値が高まる可能性があると見ています。このような合従連衡は、新たな顧客囲い込み・相互送客の方法でもあります。「企業通貨」を活用して、お互いの顧客を紹介し合う、つまり「送客」しあうことで、他社の顧客を自社に誘引し、さらに自社の顧客の便益を考えた囲い込みにつなげることが可能です。
今回の推計や調査結果を含めたNRIの「企業通貨」に関する提言が、単行本『2010年の企業通貨』として、東洋経済新報社より9月7日に発行される予定です。NRIでは、今後も、「企業通貨」の動向を分析し、新しいビジネスのあり方を提案していきます。
※ NRIでは、単行本『これから情報・通信市場で何が起こるのか-IT市場ナビゲーター2006年版-』(東洋経済新報社、2005年12月29日発行)、および月刊の総合情報発信誌「知的資産創造」の2006年6月号に掲載した論文「第二の通貨『マイレージポイント』」で、「日本における企業通貨の年間発行額」の推計値を331,404百万円として発表しましたが、今回の推計値は、対象年度を更新し、対象業界とコンビニエンスストアの対象企業を見直して改訂したものです。