ルネサステクノロジ、ワンセグ対応カーナビなど向けアプリケーションプロセッサーをサンプル出荷
ワンセグ対応のカーナビゲーション機器やポータブルメディアプレーヤ向け アプリケーションプロセッサ「SH-MobileR」を製品化
- 携帯電話用途以外への展開製品第一弾 -
株式会社ルネサス テクノロジ(本社:東京都千代田区、会長&CEO 伊藤達)は、このたび、アプリケーションプロセッサ「SH-Mobile(注1)」の携帯電話用途以外への展開を開始します。第一弾として、携帯・移動体端末向けの地上デジタル放送であるワンセグ(注2)対応のカーナビゲーション機器(以下、カーナビ)やポータブルメディアプレーヤ向けに適した「SH-MobileR(製品名:SH7722)」を製品化し、2006年10月からサンプル出荷を開始します。
本製品の主な特長は以下の通りです。
(1)地上デジタル放送に対応した高性能動画像処理IPコアを搭載
世界各地のデジタル放送で採用された動画像圧縮規格であるH.264/MPEG-4 AVC(以下、H.264)に対応した画像処理IP、VPU4(Video Processing Unit 4)を搭載しています。 VPU4は、66MHz動作でVGAサイズの動画像を30fps(frame per second)でエンコードおよびデコードが可能であり、通常のTV相当の滑らかな表示を実現できます。これにより、日本のワンセグ放送の他、欧州や韓国等のデジタル放送サービスにも対応できます。
(2)マルチメディア対応の豊富な周辺機能を内蔵
500万画素クラスのカメラモジュールと直結可能なカメラインタフェースならびに画像処理機能を搭載しています。高精細カメラの大容量画像データを高速に取り込み、画像の多彩で多様な加工処理が可能であり、さらに、JPEGハードウェアアクセラレータにより、JPEG画像の高速表示や連写を行うことができます。加えて、24ビット対応TFTカラー液晶コントローラを搭載しているため、高画質な画像表示を実現可能です。また、新たに、描画性能を向上した2Dグラフィックスアクセラレータを搭載しました。これにより、例えば、機器の操作メニュー画面において、複雑化したGUI(Graphical User Interface)による表示なども、高速で高度な描画を実現可能です。
(3)266MHzの高速動作により、高性能なマルチメディアシステムを実現可能
高性能CPUコアの「SH4AL-DSP」を搭載し、従来のSH-Mobileでの最大動作周波数216MHzから約1.25倍高速化しています。最大動作周波数は266MHzで478MIPS(million instructions per second)の高処理性能を実現しており、ブラウザや負荷の大きな複数アプリケーションの並列処理、並びに専用OSより処理負荷が大きなLinux(注3)などの汎用OSによる動作等に余裕をもって対応できます。
また、H.264やMPEG-4などの動画用ミドルウェア、MP3やAAC(Advanced Audio Coding)などのオーディオ用ミドルウェアを豊富に用意しています。既に提供開始しているDRM(Digital Rights Management)機能を備えたミドルウェアを使用することで、オーディオコンテンツの保護が必要な次世代AVシステム等を実現できます。高性能な本CPUコアで、これらの多彩な複数ミドルウェアを円滑に動作することができ、トータルシステムへのソフトウェアソリューションを提供します。
< 製品化の背景 >
近年、地上デジタル放送の本格放送化に伴い、地上デジタル放送対応機能を搭載した携帯電話やカーナビ、ポータブルメディアプレーヤなどのマルチメディア端末が市場投入されています。特にカーナビ分野では、車内において高画質で鮮明なTV映像を視聴したいというニーズが高まると推測され、デジタルTV放送対応機能の搭載が拡大すると見込まれています。
当社は、携帯電話システムで、地上デジタル放送対応の「SH-Mobileシリーズ」をいち早く製品化し、多くの携帯電話に採用されています。そして、各種の豊富な機能や構成、また使い勝手の良さなどから、携帯電話用途以外への適用が望まれていました。そこで、今回、携帯電話分野以外への第一弾として、ワンセグ対応機能を備えるカーナビやポータブルメディアプレーヤなどの他、各種マルチメディア端末向けに最適で多彩な周辺機能を内蔵した「SH-MobileR」を製品化しました。
< 製品の補足 >
本製品は、高性能な動画像処理のIPコアVPU4を搭載しています。VPU4は、地上デジタル放送で採用されている動画像圧縮規格H.264と、従来、ムービーの記録や再生などで使用されているMPEG-4の両規格に対応し、最大8Mbpsに対応した高画質、高速、高性能な処理を実現しています。
また、搭載しているCPUコア「SH4AL-DSP」は、最大266MHz動作で478MIPSと、単位周波数当たりの性能が1.8MIPS/MHzの高い処理性能を実現しています。さらに、外部に接続するSDRAMに対しては最大64ビットバス幅で接続可能であり、地上デジタル放送対応のブラウザも快適な動作をさせることができます。
さらに、マルチメディア対応を始めとした豊富な機能を搭載しています。500万画素のカメラモジュールを直結接続可能なカメラインタフェースを搭載しており、高精細カメラの大容量画像データを高速に取り込んで、画像の電子ズーム表示、OSD(オンスクリーンディスプレイ)機能やHWC(ハードウェアカーソル)機能などによる画面の重ね表示等の多彩な表示が可能です。加えて、24ビット対応TFTカラー液晶コントローラにより高画質な画像表示を実現でき、2Dグラフィックアクセラレータ搭載により、複雑なGUIによるメニュー表示も高速描画が可能です。また、TV放送方式のNTSCやPALに対応したビデオ出力ユニットを搭載しているため、TVモニターへの表示を容易に実現可能であり、撮影した動画をTVで楽しむことなどができます。さらに、JPEGハードウェアアクセラレータは、静止画像であるJPEGデータの高速な処理を行います。例えば、JPEGデータを、VGAサイズで0.02秒/枚以下、SXGAサイズで0.1秒/枚以下と高速な連写が可能であり、セキュリティーカメラなどの応用に最適です。
その他、PCなどとの高速インタフェースに必要なUSB2.0 ファンクション(ハイスピード対応)のインタフェース、また、ECCエラー訂正能力を3シンボルから4シンボルに向上した4GビットNAND/AND型フラッシュメモリインタフェース、加えて、SDメモリカード(注4)(SDメモリ/SD I/O)インタフェースなどの豊富なインタフェースや周辺機能を搭載しています。SDメモリカードインタフェースは、CPRM機能をオプション機能としてサポートしており、地上デジタル放送の記録・再生などを実現可能です。
その他、株式会社日立超LSIシステムズから、ワンセグ対応アプリケーションについて、ミドルウェア並びにユーザにおけるシステム開発へのソリューションが提供開始される予定です。
パッケージは、449ピンBGA(21mm×21mm、0.8mmピンピッチ)を採用しています。
尚、当社は、本製品を、10月3日から幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2006(シーテックジャパン2006)」で展示致します。
今後、マルチメディア・アプリケーションシステムの進化や高度化に合わせた製品を開発し、変化する市場ニーズに即した最適な製品をタイムリーに市場に投入していくことで、「SH-Mobile」のさらなる展開を促進していきます。
■ 注記
(注1)SH-Mobile(SuperHTM Mobile Application Processor): 携帯電話システム向けに、ベースバンドLSIと接続して、オーディオや動画などのマルチメディア・アプリケーションを専用に処理する当社独自のプロセッサ。
SuperHは、(株)ルネサス テクノロジの商標です。
(注2)ワンセグ: 日本における携帯・移動体端末向け地上デジタル放送サービス。2006年4月からサービスが開始されている。
(注3)Linuxは、米国およびその他の地域におけるLinus Torvalds氏の登録商標です。
(注4)SDメモリカードは、3C(松下電器産業株式会社、株式会社東芝、SanDisk Corporation)で原型規格化、SDA(SD Card Association)にて発展的に拡張規格化されている小型メモリカードです。
* その他記載の製品名、会社名、ブランドは、それぞれの所有者に帰属します。
■ 応用機器例
ワンセグ対応カーナビゲーション機器、ワンセグ対応ポータブルメディアプレーヤ、 PND(Personal Navigation Device)、セキュリティーカメラ、TV電話応用端末、V2IP(video and voice over IP)端末など
■ 価格
製品名:SH-MobileR: SH7722 (R8A77220C266BGV)
動作周波数:266MHz
パッケージ:449ピンBGA
1万個ロット時の価格(円/個)<税込>:3,000
■ お客様からの問い合わせ先
株式会社ルネサステクノロジ システムソリューション統括本部
システムソリューション第二事業部 製品技術部
〒100-0004 東京都千代田区大手町二丁目6番2号(日本ビル)
電話 03(5201)5234 (ダイヤルイン)
以 上
< 補足資料 >
■仕 様
(※ 関連資料を参照してください。)