ビクター、大幅な薄型化を実現する新プロジェクションテレビ用映像投射システムを開発
60V型クラスで奥行き約27cmの薄型プロジェクションテレビを実現する
「スリムファンクション光学エンジン」を新開発
~スタイリッシュなテーブルトップデザインはそのままに、壁掛け設置なども可能~
日本ビクター(株)は、スタイリッシュなテーブルトップデザインはそのままに、奥行きサイズを従来から大幅※1に縮小できるプロジェクションテレビ用映像投射システム「スリムファンクション光学エンジン」を開発しました。本技術により、スタンドを含めた設置奥行きでPDP や液晶テレビと同等以下となる、60V型クラスでセット奥行き約27cmの薄型フルハイビジョンプロジェクションテレビを実現できます。その結果、これまでプロジェクションテレビを置けなかった場所、空間にも設置可能となります。さらに、独自の側面放熱設計によりセット背面をフラットにできるため、壁にぴったり接触させての設置(いわゆる“壁ピタ”設置)や壁掛け設置など、プロジェクションテレビの使用シーンを大きく拡大します。
(※1…当社製品比、約4割縮小。)
なお当社は、本技術を搭載した58V型薄型フルハイビジョンプロジェクションテレビ(表示デバイスは独自の反射型液晶素子“D-ILA”採用)の試作機を、10月3日(火)から7日(土)まで日本コンベンションセンター(幕張メッセ)で開催される「CEATEC JAPAN 2006」の日本ビクターブースに参考出展します。
<新開発「スリムファンクション光学エンジン」の特長>
1.投射レンズ+凹面ミラーの投射光学系により、薄型化とテーブルトップ型の両立を実現
プロジェクションテレビ内の投射レンズ部(映像をレンズで拡大してスクリーンに投射する部分)に、従来の屈折型レンズに加えて新たに凹面ミラーを組み合わせた投射光学系を搭載し、当社従来比約1.5 倍の広画角化(約138 度)を実現。この広い画角が投射距離を約4 割縮小させ、セットの大幅な薄型化を可能にしました。
また一般的な凸面ミラーを用いた投射光学系では、光学エンジンコア部および照明光学部が光軸よりも下側に配置されるため、画面下部サイズの小型化は困難で、“薄型かつテーブルトップデザインのプロジェクションテレビ”の実現は難しいとされてきました。しかし当社は今回、凹面ミラーを採用することでこの問題を解決するとともに光学コアの小型化にも成功し、薄型かつテーブルトップデザインの両立を実現しました。
2.遮蔽構造により、高コントラスト化を実現
凹面ミラーを用いた投射光学系ではスクリーンに到達する前に一旦光が集光するため、光射出部を小さくできます。このため、光学エンジン内部に入る不要な光を遮断でき、高いコントラストを実現します。また、ホコリなどが侵入しにくく、鮮明な映像を楽しめます。
3.独自の側面放熱設計によりセット背面のフラット化を実現
いわゆる“壁ピタ”設置や壁掛け設置など、プロジェクションテレビの使用シーンを大きく拡大します。
4.リーズナブルなコストで生産可能
特殊なスクリーンや歪曲補正回路を必要としない投射光学設計、背面ミラーの小型化(当社現行商品の背面ミラー面積と比べ、約4分の1)に加え、新開発の凹面ミラーは射出成形法で製造できるため、リーズナブルなコストで光学エンジンの生産が可能です。
5.独自開発の高画質映像表示デバイス“D-ILA”を採用
映像表示デバイスには、当社が独自に開発した0.7インチフルハイビジョン“D-ILA(Direct-Drive Image Light Amplifier)“ を採用し、高輝度、高コントラストかつシルキーで滑らかな高画質映像を実現しました。
<新開発「スリムファンクション光学エンジン」のもたらすメリット>
○プロジェクションテレビの大幅な薄型化とレイアウトの多様化を実現
他のフラットパネルディスプレイと同様に、市販されているラックにすっきりと設置できる、薄型プロジェクションテレビの商品化を実現します。また、従来困難だった壁掛けレイアウト等、これまで置けなかった場所・空間にも設置可能となり、プロジェクションテレビの使用シーンを大きく拡大します。
<開発背景>
大型ディスプレイのグローバル市場において、PDPやLCDなどのフラットパネルディスプレイの普及が急速に進んでいますが、特に50V型を超えるサイズにおいては、消費電力やフルハイビジョン対応のコストなどに課題があります。一方、マイクロディスプレイ型プロジェクションテレビ(Micro Device Display=MDDP)は、“高輝度かつ低消費電力”“大幅なコストアップなしにフルハイビジョンに対応できる” などの特長を持っています。しかし、フラットパネルディスプレイよりも奥行きがあるため、設置スペースなどで課題が残っていました。
こうしたマイクロディスプレイ型プロジェクションテレビの課題解決を目指し、薄型化を実現させるためにさまざまな技術開発が行われてきましたが、“画面下部サイズが高くなる”ことや“特殊なスクリーンが必要”などの理由で、民生用のニーズに十分に対応できる薄型プロジェクションテレビの実現は困難とされてきました。
しかしながら当社は、この“常識”を打破すべく技術的検討を続け、今回、凹面ミラーを用いた「スリムファンクション光学エンジン」の開発に成功。これにより、60V型クラスで奥行き約27cmの、テーブルトップデザイン薄型フルハイビジョンプロジェクションテレビを実現しました。