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ニュースリリースのリリースコンテナ第一倉庫

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2024'11.07.Thu
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2007'03.15.Thu

住友商事、札幌医科大と前立腺癌に関する新規診断薬の共同開発を開始

サミット・グライコリサーチ、札幌医科大学と
前立腺癌に関する新規診断薬の共同開発を開始
~人工レクチンによる糖鎖解析技術の臨床応用を強力に推進~  


 住友商事株式会社(社長:岡 素之、以下住友商事)のバイオ分野の戦略事業会社である「サミット・グライコリサーチ株式会社(社長:堀本 泰三、以下、サミット・グライコリサーチ)」は、「糖鎖」の解析に有用な「人工レクチン」を利用して、札幌医科大学と、前立腺癌に関する新規診断薬の開発を共同で開始しました。

 前立腺癌は近年日本で患者数が急増しており、医療現場で早期発見や予後管理の重要性が高まっています。現在の前立腺癌の診断法は血中のPSA(前立腺特異抗原)と呼ばれる蛋白質の量を測定する方法ですが、PSA値は前立腺癌でなくても前立腺肥大症や前立腺炎などでも上昇する事が知られています。このような「偽陽性」の場合でも、前立腺癌が疑われた後の確定診断では、実際に生体から針を用いて前立腺組織を少量とり顕微鏡で検査して癌細胞を確認するという被験者に苦痛を伴う検査が必要となりますので、医療現場ではより正確で高感度な診断薬の開発が求められています。

 PSAは糖蛋白質と呼ばれる蛋白質に糖鎖が結合した生体内物質ですが、前立腺癌において、PSAの糖鎖変化が見られる事が報告されています。サミット・グライコリサーチと札幌医科大学(医学部病理学第一講座鳥越俊彦助教授)はこの糖鎖変化に着目して、サミット・グライコリサーチの人工レクチン技術を用いて、PSAの糖鎖の違いを検出する事で、より正確で高感度な診断薬の開発を共同で進める事に合意し、2006年8月1日に共同研究契約を締結しました。

 本共同開発において、サミット・グライコリサーチはPSAの糖鎖構造(グライコフォーム)を検出する「人工レクチン」を作製し、それを検出プローブとして利用して、前立腺癌を高感度に鑑別できる検出システムを開発します。更に、札幌医科大学と共同で、その検出システムを臨床研究で検証し、新規診断薬の開発を推進していきます。

 なお、前立腺癌の発症は人種や食生活等による差が大きく、欧米諸国に多く、特に米国人に多いと報告されており、日本人の発症数は従来は低かったものですが、近年日本でも食習慣の欧米化により急増しています。日本の年間前立腺癌患者は、1990年の新規発生約7,000名、死亡数約3,500名から2015年には各々約26,000名、約13,500名に達すると予想されており、発生患者数に関して固形腫瘍第一の伸びとなっています。このため、早期発見と的確なフォローアップを目的とした診断薬の開発はますます重要になっています。PSA検査は、前立腺癌の早期発見のためのスクリーニング法として広く用いられていますが、蛋白質の量的な変化を捉えるものなので、偽陽性の出現や癌の悪性度を特定することは難しいという課題があります。


【背 景】
 サミット・グライコリサーチは、2005年3月に基本特許(特許番号第3658394号『糖鎖解析用レクチン群及びその使用方法』)を取得した「人工レクチン」によって、天然由来のレクチンとは特異性、親和性を異にするレクチンの開発に成功しています。これら「人工レクチン」を用いることによって、既存の方法では検出できなかった糖鎖を検出できるようになりました。そこで、サミット・グライコリサーチは人工レクチンによる糖鎖解析技術の臨床応用を強力に推進することで、医療への貢献を目指しています。

 札幌医科大学医学部病理学第一講座鳥越俊彦助教授は、癌ワクチン等の癌研究の第一人者であり、また生体のストレス応答性を細胞分子レベルで担っているストレス蛋白(HSP)による免疫研究も行っています。鳥越俊彦助教授は、同講座佐藤昇志教授と独立行政法人科学技術振興機構「研究成果活用プラザ北海道」などの研究グループにて、世界で初めて癌ワクチンが個々の患者に有効かどうかを事前に判定する試薬の開発に成功しています。また、HSPは細胞内蛋白質の品質管理を行なうと同時に、抗原提示機構や自然免疫活性化などの免疫システムにも密接に関わっている為、HSPの発現や機能の制御による癌免疫制御の研究も進めています。


【札幌医科大学概要】

1.設立:1950年4月1日
2.所在地:札幌市中央区南1条西17丁目
3.学長:今井 浩三

 札幌医科大学は、1945年北海道庁立女子医学専門学校として創立、1950年に札幌医科大学として開学した。「進取の精神と自由闊達な気風」「医学・医療の攻究と地域医療への貢献」を建学の精神として掲げ、1993年には「保健医療学部」が設置されるなど、医系の総合大学として最先端の医療・保健・福祉の向上に貢献し、北海道の医療を牽引する多くの医学研究者・医療従事者を輩出している。


【これまでの経緯/今後の戦略】
 住友商事が、2003年1月に設立したサミット・グライコリサーチでは、入村達郎教授と山本一夫教授の2教授を取締役に迎え、産学協同で東京大学と糖鎖分野で共同研究を進めてきました。2003年11月には、株式会社医学生物学研究所(社長:西田 克彦、本社:名古屋市中区、以下医学生物研究所)の出資を受け入れ、次世代型の医薬品や診断薬、再生医療、研究試薬分野などに向けた研究開発を進めてきました。

 サミット・グライコリサーチでは、基本特許(『特許番号第3658394号 糖鎖解析用レクチン群及びその使用方法』)の成立と第三者割当増資による企業体質の強化により、バイオ研究の最先端「糖鎖」関連分野での事業化に向けて本格研究開発を推進し、新薬、診断薬や再生医療分野で協力関係を築ける製薬企業、診断薬企業、IT企業等と提携し、医薬品・診断薬等の製品開発や再生医療分野での実用化を更に加速していきます。



【サミット・グライコリサーチ会社概要 2006年8月31日現在】 
1.設立: 2003年1月31日 
2.本社: 東京都中央区晴海1-8-12 
3.経営陣: 堀本 泰三 代表取締役社長 
       川口 勉  取締役 
       入村 達郎 取締役(東京大学・大学院薬学系研究科 生体異物学教室 教授) 
       山本 一夫 取締役(東京大学・大学院新領域創成科学研究科 先端生命科学専攻 医薬デザイン工学 教授)       大村 祐章 取締役((株)医学生物学研究所 理事) 
       木村 榮  取締役(住友商事(株) メディカルサイエンス部長) 
      佐々木 雅啓 取締役(住商ファーマインターナショナル(株) 代表取締役社長) 
4.資本金: 327.29百万円 
5.社員数: 21名 
6.事業目的: 糖鎖生物学を利用した医薬品、診断薬等の開発と販売 

 住友商事は、2001年から、東京大学・大学院薬学系研究科 入村達郎教授の「遺伝子改変レクチンライブラリーによる糖鎖解析」に関する研究成果について事業化を目指すと共に、東京大学(入村研究室)と共同研究を進めてきました。また2002年からは、同大学・大学院新領域創成科学研究科 山本一夫教授の「カーゴレセプターの遺伝子改変による糖鎖ライブラリー技術」に関する研究成果の事業化についても検討してきました。住友商事は、これらの過去の実績を踏まえ、より本格的に基盤技術開発を促進し、画期的な医薬品や診断薬、研究試薬等の開発に挑戦する為に、バイオベンチャー企業「サミット・グライコリサーチ」を2003年1月31日に設立しました。


以 上 

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