東レ、韓国で電子回路用の基板フィルムを事業化
韓国で電子回路用の基板フィルムを事業化
液晶パネル需要の急増に対応 5年後グループ売上高180億円
東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:榊原 定征、以下「東レ」)は、このたび、韓国で電子回路用のフレキシブル基板フィルムを現地生産することを決定しました。韓国子会社の東レセハン株式会社(本社:大韓民国ソウル特別市、社長:李 泳官、出資比率:90%、以下「TSI」)に、総額約30億円を投じて、高密度電子回路用電解メッキ法2層型フレキシブル基板フィルム“メタロイヤル”の生産設備を新設します。生産能力は年70万平方メートル(COF標準品換算)で、平成19年10月からの稼働開始を目指します。
“メタロイヤル”は、当社のフィルム加工事業の中核拠点である東レフィルム加工株式会社(本社:東京都中央区、社長:山口 進、出資比率:94.33%、以下「TAF」)が開発、生産販売している2層型フレキシブル基板フィルムで、ノートパソコンや液晶テレビ、携帯電話等の液晶パネルの駆動用半導体チップを搭載する回路基板や高密度コネクター機材等に広く使われています。電解メッキ法によりポリイミドフィルムの表面に厚さ2~18ミクロンの銅メッキ加工を施したもので、銅メッキ層とベースフィルムの密着性が高く、ファインピッチ・エッチング加工性や耐屈曲性、耐熱性に優れています。
近年、回路基板フィルムの分野では、大型液晶パネルの薄型化や駆動装置の小型化の流れを受けて、フィルムと銅箔を接着剤で貼り合わせた3層型基板フィルムから“メタロイヤル”を主流とした2層型基板フィルムへの転換が予想を上回る速さで進展しています。このような技術革新とともに、日本をはじめ、韓国、台湾における液晶関連需要の好調により、今後も2層型フレキシブル基板フィルムの需要拡大が期待されています。
今回の韓国における事業化は、同国市場における需要の急増に対応するもので、現地生産による迅速なユーザー対応と同時に、日本のTAF社における製品供給体制の安定化を図ります。東レは引き続きTAF社とTSI社の両拠点で順次増設を進め、国内外の旺盛な需要を取り込むことで、平成23年度には“メタロイヤル”のグループ売上高を現在の3倍にあたる180億円に拡大する計画です。
TSI社に導入する生産設備は、耐屈曲性、耐金メッキ性、耐密着性、表面品位等、品質性能面における優位性に加え、今後進展するファインピッチ化に対応するため、異物や表面突起の低減技術等を盛り込んだTAF社独自開発の最新鋭設備で、ユーザーからの品質向上要請にいち早く対応することができます。
東レは本年10月からスタートした中期経営課題“プロジェクトInnovation TORAY 2010”(IT-2010)の一環として、情報・通信・エレクトロニクス分野における先端材料の拡大を推進しています。当社はフィルム加工事業をその重要な柱として位置づけ、グローバル規模で同事業の育成拡大に取り組んで参ります。
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