サーチナ、中国消費者のパソコンに対する意識調査結果を発表
サーチナ総合研究所:中国消費者のパソコンに対する意識調査を実施
-根強い「レノボ」人気、「IBM」「デル」「ソニー」3社の競争は熾烈に-
中国に特化したシンクタンクである「サーチナ総合研究所」(所在地:東京都中央区、所長:有田直矢、以下サーチナ総研)は、2006年9月13日~20日にかけて中国消費者のパソコン(PC)に対する意識調査を実施し、北京市、上海市、広東省を中心とする中国全土のモニター1500人から有効回答を得ました。サーチナ総研は同調査を半年に1回実施しており、今回は第7回目となります。
■好きな中国PC:圧倒的人気の「聯想(レノボ)」、台湾系も健闘
デスクトップ、ノートを問わず好きな中国のPCメーカーを三つ挙げてもらったところ、前回2005年12月の調査と変わらず「聯想」が78.8%でトップとなった。第2位には前回と同じく「清華同方」(31.2%)が、第3位には前回第4位だった「ASUS(華碩)」(23.1%)が入った。トップの「聯想」は前回から1.2ポイント増となり、世代別では「30代」(83.0%)、年収別では「999元以下」(82.4%)の支持が集まった。IBMのPC事業部門買収から1年が経過し、北京オリンピックのオフィシャルスポンサーとして8月には北京五輪公式PC「新開天」を発表するなど、話題の製品を提供していることも、人気集中の要因といえるだろう。
台湾系メーカーでは、第3位に「ASUS」、第5位に「ACER(宏碁)」(20.5%)が入り、どちらも前回から約3ポイント増と安定した支持を獲得している。中でも「ASUS」は、06年6月に上海市に建設した大型生産拠点が操業を開始するなど大陸市場に力を入れており、北京市や上海市では「清華同方」を上回って第2位となっている。(図1参照)
また好きなメーカーを選んだ理由を尋ねたところ、「品質」(82.6%)が最も多く、以下「性能」(77.1%)、「価格」(66.9%)、「メーカーのブランドイメージ」(61.5%)と続いた。男女別でみると、「価格」「メーカーのブランドイメージ」は男性がより重視する傾向にあり、女性は「アフターサービス」「実際の利用者の意見」を重視する傾向にある。
世代別では、「20代」は他の世代よりも「メーカーのブランドイメージ」が多く、「10代」では「アフターサービス」が低い。また、若い世代ほど「実際の利用者の意見」を重視するなど、世代間の差が現れた結果となった。(図2参照)
■好きな海外PC:「IBM」「デル」を「ソニー」が追い上げ
好きな海外のPCメーカーを尋ねたところ、トップ3は前回2005年12月の調査に続いて「IBM」(49.5%)、「デル」(45.5%)、「ソニー」(42.0%)の順となった。
順位の変動はなかったものの、横ばいの「デル」に対して、「IBM」と「ソニー」は前回より支持を増やしている。
また性別による開きが目立っていることが特徴で、「IBM」の場合は男性が53.7%に対し女性は45.3%。「デル」も男性47.7%に対し女性43.2%と、男性が女性を大幅に上回った。逆に「ソニー」は女性46.9%、男性37.1%と、女性が男性を9.8ポイントも上回っており、女性だけでみると全体の第1位となっている。
トップの「IBM」は地域別では北京市、世代別では「20代」「30代」で高い支持を得ている。月収別でみると、収入が多くなるにつれて支持が高くなる傾向があり、「999元以下」と「6000元以上」の間には、20.7ポイントもの開きがある。
第2位のデルは、世代別では「40代」「50代以上」で「IBM」を抜いてトップとなっている。また、第3位の「ソニー」は世代別では「10代」、月収別では「999元以下」でトップとなっており、各メーカーとも地域、世代、月収によって順位が変わってくる。(図3参照)
他のメーカーでは、「ヒューレット・パッカード(HP)」が37.4%で第4位、「サムスン」が26.5%で第5位となっており、日系メーカーでは「東芝」が17.3%で第6位にランクインしている。
また、選んだ理由を挙げてもらったところ、「品質」(89.2%)がトップとなり、以下「性能」(84.2%)、「メーカーのブランドイメージ」(68.1%)と続いた。「好きな中国のPCメーカーを選んだ理由」と比べれば、「価格」が25.6ポイント少なく、逆に「製品のブランドイメージ」は11.2ポイント多い。(図4参照)
■所有PC:8割がデスクトップも、購入希望はノート
所有するPCの種類を尋ねたところ、8割以上が「デスクトップ」と回答し、「ノート」を大幅に上回った。その一方、次回購入したいPCの種類を尋ねたところ、「ノート」(53.6%)が「デスクトップ」(46.4%)を上回り、ノート志向が強くなっていることが分かった。(図5参照)
デスクトップPCの所有状況をみると、月収別では「1000-1999元」(90.7%)で圧倒的な支持を集めている。その一方、デスクトップPC離れが進んでいるのは、地域別では北京市(70.8%)、月収別では「6000元以上」(65.6%)となっており、地域や所得による差が大きくなっている。
どのくらいの期間でPCを買い換えるかと尋ねたところ、「2年ごと」(27.9%)、「3年ごと」(26.5%)、「4年以上」(26.6%)の回答がほぼ横並びになった。世代別では「40代」「50代」で「4年以上」の回答が多く、「10代」「20代」では「2年ごと」が最も多かった。また「4年以上」が占める割合は、月収「6000元以上」で他を大幅に下回った。(図6参照)
■購入予定PC:依然として高い「聯想」人気
今後PCを購入したいと回答した消費者に、中国メーカー海外合わせた25社の中から希望するメーカーを一つ選んでもらった。前回2005年12月の調査に続いて「聯想(レノボ)」(35.1%)、「IBM」(13.4%)、「デル」(11.2%)が上位3社となった。上位3社に続いて、第4位が「ソニー」(9.0%)、第5位が「ヒューレット・パッカード(HP)」(6.4%)、第6位が「清華同方」となっており、前回の順位と変化はなかった。(図7参照)
トップの「聯想」は、全体的に高い支持を集めているが、地域別では上海市で18.2%と相対的に低いことが分かった。
第2位の「IBM」は月収が高くなるにつれて支持が増えており、第3位の「デル」は、上海市(18.2%)で「聯想」と並んでトップとなった。
男女別で見ると、女性が選んだ上位3社は「聯想」「IBM」「ソニー」の順となっており、好きな海外PCメーカーの調査同様、ソニーを支持する女性が多かった。なお、男性の上位5社は全体と変わらなかった。
また、購入前にPCに関する知識をどのような方法で入手するかを五つ挙げてもらったところ、「ネット広告」が65.1%でトップとなった。以下、「家族、友達、知人」(59.6%)、「新聞・雑誌広告」(55.2%)、「テレビ広告」(49.0%)の順となっている。男女別でみると、男性の回答が女性を大きく上回ったのは「ネット広告」「新聞・雑誌広告」で、女性の回答が男性を大きく上回ったのは、「家族、友達、知人」だった。調査の結果から、男性が広告重視、女性が口コミ重視という傾向がはっきりと表れている。
■PC購入予算:5000元前後に集中、高価格帯も増加
今後PCを購入したいと回答した消費者を対象に購入予算を尋ねたところ、全体では「5001-6000元」が21.2%でトップとなった。以下「4001-5000元」(17.9%)、「6001-7000元」(15.5%)と続き、回答者の半数以上が「4001-7000元」の価格帯に集中する結果となった。(図8参照)
月収別でみると、月収6000元以上の層では、購入予算「10001元以上」の回答が最も多く、全体の24.6%を占めている。地域別では、北京市で購入予算が高くなる傾向にあり、「8001元以上」との回答が全体の約4割にも上っている。
また、購入する際に関心があるものを挙げてもらったところ、「性能」が90.2%でトップとなり、以下「価格」(74.6%)、「サービス」(61.7%)、「メーカーの知名度」(50.6%)、「機能」(50.3%)の順となった。(図9参照)
男女別では、女性のほうが男性よりも「メーカーの知名度」「機能」「デザイン」を重視する傾向にあり、男性は女性よりも「拡張性」を重視する傾向にある。世代別では、若い世代よりも中高年世代のほうが「サービス」や「メーカーの知名度」を重視しており、逆に若い世代のほうが「デザイン」を重視している。
※図など詳細は添付資料を参照