赤穂化成、硬度の異なる水によるヘリコバクター・ピロリ菌の増殖抑制と運動性抑制効果を確認
室戸海洋深層水から調製した硬度の異なる水による
ヘリコバクター・ピロリ菌の増殖抑制と運動性抑制に及ぼす影響
(2006年10月13日日本臨床検査自動化学会第38回大会にて発表)
赤穂化成株式会社(本社:兵庫県赤穂市、代表取締役:池上良成)では、高知大学医学部と共同で室戸海洋深層水(※1)から調製した硬度(※2)の異なる水による、生体外でのヘリコバクター・ピロリ菌の増殖抑制と運動性抑制に及ぼす影響について検討し、日本臨床検査自動化学会第38回大会(2006年10月13日)にて発表しました。
ヘリコバクター・ピロリ菌(以下、ピロリ菌)は人の胃内に定着・感染し、上部消化管疾患をはじめとした様々な疾患へ関与することが報告されています。現在、ピロリ菌の除菌にはプロトンポンプ阻害剤と2 種類の抗生物質の3剤療法により実施されていますが、耐性菌の出現や副作用などによって除菌不成功例が増加しています。これまで弊社では、高知大学医学部と共同で以下の発表をしてきました。
(1)室戸海洋深層水から調製した高ミネラル水「海の深層水天海の水硬度1000」によるピロリ菌の増殖抑制に及ぼす影響(※3)
(2)室戸海洋深層水から調製した5種類の高ミネラル水による、ピロリ菌の増殖抑制と運動性阻害に及ぼす影響。(※4)
今回の試験では、臨床分離株51株のピロリ菌に対する、硬度の異なる海洋深層水の増殖抑制と運動性抑制効果について検討を行いました。試験には海洋深層水より調製した高ミネラル水(硬度を100、500、1000、2000に調製)および対照にはミリQ水を用いて増殖抑制試験ならびに運動性抑制試験を実施しました。
増殖抑制試験ではブルセラブロス(馬血清10%添加)寒天培地で2日間培養したピロリ菌をブルセラブロス培養液に懸濁し、この懸濁液を適宜希釈し、試験水または対照水を含むブルセラブロス寒天培地に10μLずつ滴下後、37℃、CO210%環境下で3日間培養した後のコロニー数(CFU)を測定しました。
また、運動性抑制試験ではブルセラブロス寒天培地で2日間培養したピロリ菌を試験水または対照水を含むブルセラブロス軟寒天培地に接種しました。37℃、CO210%環境下で7日間培養した後、コロニーの直径を測定しました。
結果、対照におけるコロニー数及びコロニーの直径を100%として、試験水のピロリ菌増殖抑制効果及び運動性抑制効果を評価したところ、増殖抑制・運動性抑制効果は硬度および菌株によりその程度に差は認められたものの、硬度の高い水の方がピロリ菌に対して高い増殖抑制・運動性抑制効果を示す傾向にありました。
今回の研究の結果から、室戸海洋深層水から調製した高ミネラル水がピロリ菌の感染予防あるいは感染菌数を減少させる可能性があることが示唆されました。弊社ではさらに研究を重ね、室戸海洋深層水に含まれるミネラル成分がどのようにピロリ菌に影響するか、そのメカニズムについて解明を行っていく予定です。
研究内容に関する詳細は、別紙の通りです。
(※1) 室戸海洋深層水
一般的に海洋深層水とは、太陽の光さえ届かない水深200m以深の水温が急に冷たくなっている層にある海水のことをいいます。その海水は陸水や大気由来の化学物質にさらされる機会が少ないため、きわめて清浄です。「室戸海洋深層水」は、高知県室戸沖の水深344mから汲み上げられた水をいいます。
今回の試験では、市販されている弊社「海の深層水天海の水」硬度1000及び硬度1000を2倍希釈したもの(硬度500)、10倍希釈したもの(硬度100)と、同じ組成の硬度2000を使用しました。
(※2) 硬度
硬度=(Ca量(mg/L)×2.5)+(Mg量(mg/L)×4)
(※3) 2005年9月30日「日本臨床検査自動化学会第37回大会」にて発表
(※4) 2006年5月24日「106th General Meeting[American Society For Microbiology]」にて発表