アンリツなど、地上デジタル放送波の電界強度測定を実現したISDB-T SFN電測ソフトを開発
業界初 SFN環境下における地上デジタル放送信号の電界強度測定を実現
ISDB-T SFN電測ソフトウェア MS8911A-032
デジタル放送フィールドアナライザ MS8911A
アンリツ株式会社(社長:戸田 博道)は、日本放送協会(会長:橋本 元一)、株式会社NHKアイテック(社長:吉野 武彦)および財団法人NHKエンジニアリングサービス(理事長:大島 英男)と共同で、業界で初めて、SFN(注)環境下における地上デジタル放送波の電界強度測定を実現したISDB-T SFN電測ソフトウェア MS8911A-032を開発。11月13日から販売開始いたします。
ISDB-T SFN電測ソフトウェア MS8911A-032は、デジタル放送フィールドアナライザ MS8911Aと組み合わせることで、地上デジタル放送中継局の建設・保守において周辺の放送局の電波を停波させることなく、地上デジタル放送波の高確度な電界強度測定を実現。SFN環境下においても希望する到来波のみの電界強度、信号レベルの測定作業がいつでも行え、作業負担の大幅な軽減に貢献いたします。
*SFN
SFNは、Single frequency Networkの略で、単一周波数を使用した放送中継網のこと。複数の電波送信所が同じ周波数を使って放送できる。
[ 開発の背景 ]
2003年12月に東京、名古屋、大阪で開始された地上デジタル放送は視聴エリアの拡大が続き、さらなる全国普及に向けて、放送中継網の整備が急ピッチで進められています。地上デジタル放送では、同一周波数を使用した地上波中継網(SFN)が構築されますが、SFN環境下では、複数の放送局が同じ周波数を利用するため、希望する到来波以外に他の放送局や建物、山岳などからのマルチパス※1による影響で同一周波数内に遅延時間が異なる複数の電波が存在し、受信映像に影響を与える場合があります。
総務省は、中継網の建設にあたって、地上デジタル放送波の電界強度測定および信号レベルの報告を義務付けていますが、SFN環境下にある中継局の電界強度を測定するためには、周辺の放送局の電波を停波させて、測定を行う必要がありました。
今回アンリツは、日本放送協会、株式会社NHKアイテック、財団法人NHKエンジニアリングサービスと共同で、SFN環境下でも電波を停波させることなく測定作業ができるISDB-T SFN電測ソフトウェア MS8911A-032を開発。MS8911A-032をデジタル放送フィールドアナライザ MS8911Aと組み合わせて使用することで、SFN環境下においても希望する到来波のみの電界強度、信号レベルをより高確度に測定することができます。
[ 製品概要 ]
ISDB-T SFN電測ソフトウェア MS8911A-032は、デジタル放送フィールドアナライザ MS8911Aにインストールすることで、SFN環境下においても希望する到来波のみの電界強度、信号レベルをより高確度に測定することができ、周辺の放送局の電波を停波させることなく、何時でも測定作業が行えます。
また、MS8911Aは、ISDB-T解析ソフトウェアMS8911A/30およびISDB-T SFN電測ソフトウェアMS8911A-032をインストールすることで、送信設備や中継設備の保守を行う登録点検事業者※2の登録点検用測定器として使用できます。
■ISDB-T SFN電測ソフトウェア MS8911A-032 測定項目
地上デジタル放送信号の到来波毎の電界強度/電力/遅延時間/DU比、終端電圧、チャンネル電力、遅延プロファイル測定
*デジタル放送フィールドアナライザMS8911A
MS8911Aは、小型・軽量(313mm×211mm×77mm、質量:<3kg)・バッテリ動作のハンドヘルド測定器です。周波数帯域:100k~7.1GHz、表示平均雑音レベル:≦-153dBm(1GHz以下の代表値)という高性能スペクトラムアナライザ機能を有し、地上デジタル放送の各種信号解析が屋外でも簡単に行えます。
[ 対象市場・用途 ]
□放送事業者:地上デジタル放送波受信伝搬調査
□登録点検事業者などの保守業者:地上デジタル放送用送信設備、中継設備、アンテナ設備等の保守
[ 営業情報 ]
□販売開始日 :平成18年11月13日
□予定販売台数:100台(初年度1年間、国内)
□価 格 :ISDB-T SFN電測ソフトウェア MS8911A-032: 80万円
<参考>
デジタル放送フィールドアナライザMS8911A : 175万円
ISDB-T解析ソフトウェアMS8911A/30: 80万円
[ 用語解説 ]
※1 マルチパス
携帯電話やテレビなどにおいて、送信された電波が建物や地形などの障害によって反射・回折し、端末が複数の経路から同じ電波を受信してしまうこと。テレビ放送では、画面上の映像が重なり合って表示される。
※2 登録点検事業者
総務大臣の登録を受けた無線設備等の点検を行う事業者。但し、無線設備規則にて制定された項目の点検を行うにあたり、電波法で定める校正を実施した測定器を使用する必要がある。