飛島建設、「コンクリート構造物断面修復用湿式吹付け工法」の営業展開を強化
「TDRショット工法」(コンクリート構造物断面修復用湿式吹付け工法)
― 鉄道構造物に適用し、品質・性能を実証、本格営業展開へ ―
飛島建設(株)(社長・池原 年昭)では、コンクリート構造物の断面修復工法として開発してきました「TDRショット工法」を鉄道構造物に適用し、平成18年5月より施工を開始し、鉄道振動下での工事において十分な品質と施工性能の確保が得られることが確認できました。今後、これまでの道路橋等補修実績を含めた結果を元に営業展開の強化を図ります。
【TDRショット工法】
(※参考画像あり)
TDRショット工法は、中性化、塩害、凍害、アルカリ骨材反応などにより損傷を受けたコンクリート構造物の湿式吹付けによる断面修復工法です。平成15年度より研究に着手し、「低コストで施工性に優れる」をコンセプトとして開発を進めてきました。本工法の特長は、無機系材料を使用し硬化促進剤を併用する点にあります。従来工法のポリマーセメントモルタルを用いる湿式方式や超速硬セメントを用いる乾式方式などに比べ、下記のような多くの優位性を有しています。
1)硬化促進剤の使用で安定した厚付けが可能となり、施工の効率化とローコスト化を実現
2)早期強度の増進が早く、振動下での施工に強い
3)モルタルの流動性が高く、50m程度の長距離圧送に対応可能
4)硬化促進剤の添加量を調整することでコテ仕上げが可能で、平滑な部材表面を形成可能
5)粉塵・リバウンドが少なく、市街地での施工にも対応可能
6)硬化収縮特性、耐久性はポリマーセメントモルタルに匹敵する性能を有す
7)従来、品質確保が困難とされてきた橋梁支承周りのような狭隘部に対応できる特殊ノズルを開発
【開発経緯】
本工法の開発着手以降、(社)施工技術総合研究所における旧日本道路公団の性能規定に準拠した各種試験の実施、NETISの「評価試行方式(Aタイプ)」での登録などを行うとともに、道路橋等の補修を中心に施工実績を積んできました。一方、鉄道構造物に対しては、昨年、無機系材料としては初めて西日本旅客鉄道株式会社の断面修復材の性能認定を受け、今年度より弊社が施工する新幹線高架橋の補修工事に採用してきました。現在、施工面積は1,500m2を超えていますが、この間、施工機器、吹付け技術について様々な改善を施してきています。
【今後の展開】
新幹線高架橋の補修工事の施工は順調に推移してきており、この成果を元に鉄道構造物への展開をさらに強化します。
この他、無機系材料の特性としてポリマー系に比べ、補修箇所と補修しない箇所の境界部分の鉄筋が腐食するマクロセル腐食に対する抵抗性が高いことが想定でき、現在、東京大学生産技術研究所との共同研究において供試体実験を実施しています。この成果によって、塩害による再劣化が問題視される断面修復工法において、他工法に対し新たな品質上の優位性を持つことが出来るものと期待しています。
■ 技術・資料に関するお問い合わせ
飛島建設(株) 土木本部 環境リニューアルグループ
Tel : 03-5214-7085
【新幹線高架橋の補修工事施行状況写真】(*添付資料参照)
写真1 吹付け前の状況
写真2 1層目 吹付作業中の状況
写真3 1層目 80mmを吹付け後の状況
写真4 2層目 15mmで補修完了状況