丸紅と日本製紙、ブラジル植林・チップ生産輸出事業を共同買収
ブラジル植林・チップ生産輸出事業を共同買収
~国際競争力強化へ向けて戦略的に資源を確保~
日本製紙株式会社(社長 中村雅知、以下「日本製紙」)と丸紅株式会社(社長 勝俣宣夫、以下「丸紅」)は、インターナショナル・ペーパー社のブラジル現地法人(IP Brazil、以下「IP社」)から、アマパ フロレスタル エ セルロース社(Amapa Florestal e Celulose S.A.)など、ブラジルの植林・チップ生産、バイオマス燃料輸出事業(3社、以下「AMCEL社」)を100%買収することでIP社と基本合意しました。IP社とは年内に売買を完了する見込みです。
日本製紙と丸紅は年内に正式に株主間協定を締結し、AMCEL社に対し共同出資(比率50対50)を行います。この買収により、両社は近年世界的な需要増で森林資源の獲得競争が激しくなりつつある中、自前資源の確保・充実をはかり、国際的な競争力を強化します。
今回の買収の最大のメリットは、投資効果を即時に発現できることです。通常植林事業は、植林してから製紙原料用木材チップを輸出するまで10年近い年月を要するだけでなく、植林地やチップ積出港などのインフラ確保等にもコストがかかりますが、今回は植林からチップ輸出まで一貫した既存事業を買収することにより、資源の活用と資金の回収を同時に実現できます。
また、AMCEL社は約13万ヘクタール(東京都23区の2倍強の面積)の植林可能地を有し、すでに約6万2千ヘクタールの植林地が造成されています。日本企業が過去に手掛けた植林地としては最大規模の面積であり、将来に向けたさらなる拡大も可能です。
日本製紙は、「グループビジョン2015」に掲げる「企業価値の持続的成長の実現」に向けて、AMCEL社の買収により、世界的な木材チップ需要増に対して原材料を確実に確保し、さらに、将来の紙パルプ事業の積極的な海外進出に備えて企業基盤を着実に強化します。また、同社は海外植林事業「Tree Farm構想」において20万ヘクタールの植林地造成を目指していますが、AMCEL社の植林地が加わることにより、その面積は一挙に約16万6千ヘクタールまで拡大します。
丸紅は、「原料から製品までのバリューチェーンの拡充」を目指し、紙パルプ業界の川上から川下まですべての領域において事業を展開しています。特に川上においては、今後さらに価値が上昇する植林木資源の確保が一層重要性を増していると認識し、なかでも成長が早く競争力のあるブラジルでの買収を通じて、バリューチェーンの上流に有望な植林資源を確保します。さらに、AMCEL社の立地・実績から、従来丸紅では手掛けていなかったヨーロッパおよび米国向けの木材チップ販売のほか、ヨーロッパ向けの新規ビジネスへの参画が可能になります。
<AMCEL社概要>
会社名: Amapa Florestal e Celulose S.A.(AMCEL社)
IP Participacoes社(AMCEL社の持株会社)
Chamflora Amapa Agroflorestal LTDA社(土地保有会社)
※AMCEL社は1976年にカリビアンパイン植林事業を目的として設立され、2000年からP社ブラジル現地法人(International Paper Do Brasil Ltda.)の傘下となった。
本年2月、IP社が事業ポートフォリオ再編プランの一環として同社売却を決定した。
所在地: ブラジル連邦共和国 アマパ(Amapa)州、サンタナ(Santana)市
従業員: 364名(2006年4月現在)
事業内容: 植林・チップ生産・輸出、バイオマス燃料輸出
年商: 123百万レアル (約68億円)
植林地: 保有面積30万6千ヘクタール、(うち植林可能面積13万ヘクタール)
主要設備: 苗畑、組織培養室、植林・伐出用機材、チップ工場、荷役設備、積出港
気候・植物帯: 熱帯モンスーン気候、サバンナ
以上