富士通総研、「携帯電話の利用実態」調査結果を発表
富士通総研が調査レポート『携帯電話の利用実態とニーズ分析2006 -先送りされたシェア変動と携帯電話コモディティ化の影響-』を発表
株式会社富士通総研(東京都港区,代表取締役社長 長谷川 展久)は、携帯電話の利用実態を調査し、機能やサービスに対するニーズを分析したレポート『携帯電話の利用実態とニーズ分析2006 - 先送りされたシェア変動と携帯電話コモディティ化の影響-』を発表しました。
▽調査結果のポイント
・ 現在使用している携帯電話の購入時期が、1年以内の回答者は46.9%で、2年以内までを合わせると77.7%だった。前回調査(2005年2月)では、1年以内が54.2%、2年以内までで8割を超えていた(83.1%)。2年以上の回答は前回の15.0%から今回20.5%となり、携帯電話を長く使用する人が増加した。
・ 番号ポータビリティ制度の認知について「名前も内容も知っている」と答えた人は84.1%にのぼり、前回調査(45.3%)を大幅に上回った。一方、制度の開始後のキャリア変更意向は「ぜひ変更したい(2.9%)」と「(端末の)買い換え時に変更を検討する(32.7%)」が合わせて35.6%となり、前回の62.7%(ぜひ10.3%、検討52.4%)と比べてかなり減少した。変更意向者の変更希望先キャリアは、auが約4割(39.7%)で最も人気が高く、次にNTTドコモ(17.2%)、ソフトバンク13.7%の順となった。
・ 次回買い換え時にほしい機能として人気が高かったのは、カメラ、外部メモリー、赤外線通信、バーコード読取り、ゲーム等アプリのようなすでに多くの機種に搭載済み、かつ搭載機種所有者の使用率が高い機能だった。また、フルブラウザ、着うたフル、ワンセグ、PC用ドキュメント閲覧の次回希望は、比較的新しい機能としては高い。
▽掲載Webサイト
『携帯電話の利用実態とニーズ分析2006』
http://jp.fujitsu.com/group/fri/report/cyber/report/mobile2006.html
▽内容紹介
(※ 関連資料を参照してください。)
□サイレントマジョリティへの対応が鍵を握る
今回の調査では、使用している携帯電話の機種タイプによる携帯電話所有者の分類を試みた。結果は、自分の所有する携帯電話に一定のこだわりを持つ「ハイエンド型」、「デザイン追求型」、「専門特化型」が合わせて全体の約3割、さほどのこだわりはなく携帯電話をコモディティ(日用品)と見なす「バランス型」と通話、メール程度ができればよい「シンプル型」が合わせて全体の約7割を占めるかたちとなった。明確な嗜好を持ち携帯電話にかける費用が高い「ハイエンド型」、「デザイン追求型」、「専門特化型」は、端末やサービスに対する満足度も高く、キャリアのターゲットになりやすい。一方、「バランス型」と「シンプル型」は、同じ端末を長く使用し、携帯電話にかける費用は低く、満足度やロイヤルティも低い。ソフトバンクの端末価格負担なしの割賦販売は、最新より一つ前の機種を安く入手することの多い「バランス型」の一部取り込みも意図したものと見られるが、携帯電話料金やサービス内容に詳しくないグループ向けとしては、あまりに全体像が難解だ。この販売方式については、顧客獲得策としての有効性とともに収益性の議論も必要であり、auとNTTドコモは同様の方式の導入をソフトバンクの成果を見ながら検討すると予想される。
今後はどんな販売方式であれ、「ハイエンド型」、「デザイン追求型」、「専門特化型」に利するだけでなく、これまでサイレントマジョリティと見なされ、一律の割引サービスでしか恩恵を受けてこなかった「バランス型」を動かすサービスを提供できるかどうかが、中長期的な意味でのキャリアの浮沈の鍵を握るだろう。番号ポータビリティの次に来る変化の波は、キャリアと端末を切り離すSIMロック解除になると見られる。これは契約者からの月額料金を高機能端末への買い換えの補填とする現在のビジネスモデルの終焉を意味するものであり、それを機にサイレントマジョリティを狙った端末、料金プランの低価格競争が始まる可能性がある。
以上