ユビキタス研、最適構成がとれる小型軽量ユビキタス・コミュニケーターを開発
アタッチメントにより応用向けに最適構成がとれる
小型軽量の新型ユビキタス・コミュニケータを開発
ユビキタス・コンピューティングの基盤研究所であるYRPユビキタス・ネットワーキング研究所(東京都品川区、代表:坂村健・東京大学教授、以下:UNL)は、ユビキタス・コンピューティング環境と人とが対話するための携帯情報端末「ユビキタス・コミュニケータ(以下、UC)」の新モデルの開発に成功しました。新型UCは、本体を小型軽量にし、有線または無線で接続されるアタッチメントにより、応用向けに最適構成がとれます。本体は、118mm×70mm×15mm、バッテリ込みで145gと従来モデルに比べて小型軽量化を達成しました。
ユビキタス・コンピューティングは、インターネットやコンピュータゲームで代表される『仮想空間』と、『現実の物、場所、環境』とを結び付ける技術です。
たとえば、食品にICタグやバーコードなどでucode(ユーコード)と呼ぶ個別識別番号を付け、生産・流通・販売店の一連の流れの中で情報を蓄積し、消費者が個別識別番号をUCで読み取ることで、生産者がどのようにその食品が作られたかを語ったり、流通過程の状況で何時食べごろになるのかを知らせてくれます。また、場所に付けられたucodeを電波や赤外線信号で定期的に発信しておき、UCがucodeを察知すると、その場所に関連した情報を得ることができます。
新型UCは、大型3.5インチの有機ELディスプレイを採用しました。液晶に比べ輝度が高く応答速度が速いため、屋外での視認性向上とスムーズな動画再生を達成しました。また、消費電力を低減することで従来モデルに比べ約60%の容量のバッテリで同等の稼動時間を達成し、小型軽量化を実現しています。
アタッチメントは、主にヘッドホン、マイクなどの音声関係機能と、ucodeを取得するためのICタグ、赤外線マーカ受信機、電波マーカ受信機などの機能で構成されます。観光案内などで観光客にレンタルする場合は、本体と合体して首から提げるためのアタッチメントが適しています。パーソナルユースの場合は、Bluetoothによる無線接続で利用できるアタッチメントやBluetoothヘッドホンなどを利用できます。
新型UCは、組込みのオープンソース・スタンダードOSであるT-Kernel、T-Kernel/Standard Extensionを基礎としてさまざまなマルチメディアを処理するミドルウェア、ucodeから関連情報を取得するミドルウェア、地図と場所の連携やナビゲーション機能を実現するミドルウェア、ユーザとのインタフェースを司り、プラグイン拡張可能なUCブラウザなど高度なソフトウェアが組み込まれています。
なお、新型UCは、ユーシーテクノロジ株式会社が販売元となり、2007年第一四半期よりシステム構築者向けに販売を開始し、今後の実用案件や実証実験で利用展開を図ってまいります。
【 補足資料 】
「ユビキタス・コミュニケータ」の仕様
CPU:32bit 216MHz
メモリ:64MB
マスストレージ:ミニSD
ディスプレイ:3.5インチ有機EL タッチパネル付き
無線LAN:IEEE802.11b
近傍無線:Bluetooth
スイッチ類:プッシュ付きジョグダイヤル、プッシュスイッチ×2
モーションセンサー:地磁気および加速度
セキュリティ:eTRON SIMスロット内蔵
拡張インタフェース:USB(マスストレージクラス対応)、ucodeデバイス向けインタフェース
バッテリ:リチウムイオンバッテリ 1100mAh
本体外形寸法:118×70×15mm(突起部を除く)
本体質量:145g
「アタッチメント」の仕様
音声出力:ネックストラップ付きステレオヘッドホン
音声入力:マイク内蔵
ucode取得デバイス:ISO15693(13.56MHz) RFIDリーダライタ、赤外線マーカ受信機(880nm)、無線マーカ受信機(429MHz特定省電力)
その他:バイブレータ