ユビキタス研と住友大阪セメント、「ucode」を利用したしゃべる「電脳コンクリート」を開発
世界初のしゃべる「電脳コンクリート」の開発に成功
―建築物・構造物の信頼性向上に、ユビキタス・コンピューティング技術を活用―
ユビキタス・コンピューティングの基盤研究所であるYRPユビキタス・ネットワーキング研究所(東京都品川区、代表:坂村健・東京大学教授、以下:UNL)と、セメント業界大手の住友大阪セメント株式会社(東京都千代田区、社長:渡邊穰)は、UNLのユビキタス・コンピューティング技術「ucode(ユーコード)」を利用して、世界初のしゃべるコンクリート「電脳コンクリート」の開発に成功しました。
建築物や構造物で利用されるコンクリートは、セメント、砂利、砂を水に混ぜた複合体が、時間の経過とともに固まり、必要な強度や品質が生まれてきます。
このため、練り混ぜ直後のコンクリートから供試体(きょうしたい)と呼ばれるサンプルを多数作り、28日後に供試体へ力を加えて目標強度が得られているかどうかをテストしています。この供試体の品質管理は従来、人の手で記録されてきましたが、今回、UNLと共同でucodeタグで管理した「電脳コンクリート」とすることで、供試体のトレーサビリティを確立し、試験の効率化と正確性の向上を目指します。
さらに住友大阪セメントではこの「電脳コンクリート」の技術を活かし、「品質」、「製造方法」、「生産年月日」など、各製品固有のデータを購入者も確認できる「コンクリート製品トレーサビリティシステム」を構築します。このほか、ビルやマンションなどに利用されるパネル形状の電脳コンクリート「ICTコンクリートパネル」に装着したucodeタグにより、コンクリート構造物の品質管理だけでなく、住宅、建築物のユーザの方々の品質に関する不安を解消し、知りたい情報をいつでも提供できる「建築物トレーサビリティシステム」へと進化させていく予定です。
またUNLでは、国土交通省の協力を得て自律移動支援システムの開発を進めてきました。「電脳コンクリート」の開発により、既設の施設へ後からucodeタグを貼付するのではなく、建築物や構造物にはじめからucodeタグが貼られていることで、より一層、生活者の利便性を向上させる真のユビキタス・コンピューティング社会の創出が進展するものと、期待しています。
【補足資料】
YRPユビキタス・ネットワーキング研究所
「モノ」や「場所」に128ビットの識別番号ucode(ユーコード)をつけ、そのucodeを端末で読み取ることにより、モノや場所に関連する様々な情報を表示するユビキタスID技術基盤を研究開発している研究所です。
ucodeタグ
ユビキタス・コンピューティング環境構築のためのオープンなリアルタイムシステム開発プラットフォーム・T-Engineアーキテクチャの研究開発を推進するT-Engineフォーラム(東京都品川区、会長:坂村健)の中に設置されたユビキタスIDセンター(http://www.uidcenter.org/)が認定しているタグです。あらゆるモノや場所に世界で一意の番号を付与するための識別子をucodeと呼び、128bitのコードエリアを持ちます。このucodeを実際にモノや場所にくくりつけるデバイスをucodeタグと呼び、バーコードやRFID、アクティブチップなど、インタフェースやセキュリティにより、さまざまな形状を用意しています。
住友大阪セメント株式会社 プロフィール
本社所在地 東京都千代田区六番町6番地28
設立 1907年11月29日(2007年で創立100年)
業種 ガラス・土石製品
代表者 渡邊 穰
資本金 416億円
売上高 連結1,919億円 単独1,372億円 (2005年度)
従業員数 1,292人(2006年3月31日現在)
コアとなるセメント事業のほかに、光電子・新材料事業や建材事業における既存製品の拡販や新製品の市場投入、環境ビジネス・発電事業の拡大に取り組んでいます。