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ニュースリリースのリリースコンテナ第一倉庫

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2024'11.19.Tue
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2007'05.08.Tue

産総研、産総研つくばセンターに「糖鎖医工学研究センター」を設立

■「糖鎖医工学研究センター」を設立

-病気の早期診断技術の開発を目指して-


●ポイント
・がんなどの病気を早期に診断する新たな技術の開発を行う、糖鎖医工学研究センターを設立しました。
・これまでの産総研の糖鎖解析技術を継承・発展させるために、この技術を用いた診断装置の開発等を目指します。
・産学官が一体となった研究実施体制を築いており、研究成果の効率的な社会還元を目指します。


【 概要 】
 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)は、平成18年12月1日付けで産総研つくばセンターに「糖鎖医工学研究センター」【研究センター長 成松 久】を設立しました。産総研ではこの5年来、糖鎖合成に関わるヒト糖鎖遺伝子の網羅的探索および糖鎖構造を迅速に解析するための基盤技術を世界に先駆けて開発し、糖鎖研究における国際的な中核研究機関としての地位を築きあげてきました。本研究センターはその技術を継承・発展させるために設立されました。さらに、本研究センターは独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」という)が「健康安心プログラム」の一環として平成18年度より企業・大学・研究機関との共同で実施している「糖鎖機能活用技術開発」に参加しています。

【 背景 】
 がんなどの病気になると、タンパク質表面に存在する糖鎖の枝分かれ構造などが変化することが知られています。この変化を目印(バイオマーカー)として利用することにより、病気をより早期に、高感度に、迅速に診断することが可能になると考えられます。しかし、糖鎖の枝分かれ構造は非常に複雑で解析が難しく、これが糖鎖のバイオマーカーを発見・同定するにあたっての障壁となっていました。また、糖鎖が生体内においてどのような機能を持つかについては不明な点も多く残されていました。

【 経緯 】
 従来、糖鎖の構造解析は、特別な技術を持った専門家により、複数の分析法を組み合わせても大量の試料を用いなければ解析できませんでした。産総研ではこの5年来、誰でも簡単に微量の試料で分析できるような迅速解析システムを開発してきました。そして昨年度までに、そのようなシステムの基盤技術を確立し、わずか1ナノグラム(10億分の1グラム)の試料から数分で複雑な糖鎖構造を解析できるようになりました。現在は、この基盤技術を活用し、実地のバイオ医療に役立つ糖鎖医工学研究を実施する段階に入っています。

【 内容 】
 本研究センターでは、これまでの糖鎖構造解析の基盤技術を活用して、「がん」、「免疫」、「再生医療」、「生殖医療」、「感染症」などにおいて診断・治療指針となる有用なバイオマーカーとなる糖鎖構造を見出す研究を行います。これによって、病気を早期に診断する新たな技術の開発とこの技術を用いた診断装置の開発が期待されます。さらに、糖鎖の生体内での役割を明らかにする研究も併せて実施します。この研究により、発病に至るメカニズムを知ることができるようになり、病気の治療や早期発見・予防につながる新しい技術が生み出されることが期待されます。

【 今後の方向性 】
 糖鎖を利用したがん治療に期待が高まる中、本研究センターが中心となり企業、大学、公的研究機関、医療機関とが密接に連携し、産学官が一体となった研究実施体制を築いています。これによって、研究成果の効率的な社会還元を目指します。

【 用語の説明 】
◆糖鎖
 ブドウ糖などの糖類が鎖状につながった分子。生体内では、タンパク質や脂質などに結合して存在しており、それらの機能を調節していると考えられている。血液型も糖鎖の違いであることが知られている。

◆糖鎖機能活用技術開発
 産総研の成松 久らをプロジェクトリーダーとするNEDO事業の一つ。事業期間は平成18年度から22年度。産総研とバイオテクノロジー開発技術研究組合、大学及び研究機関(国立がんセンター、愛知県がんセンター、国立成育医療センター、筑波大学、北里大学、藤田保健衛生大学、慶應義塾大学、東京大学、東京工業大学など)と共同で、生体試料から種々のバイオマーカーとなりうる極微量の糖鎖を特定し、その機能を分子レベルで解明する基盤技術を開発している。

◆バイオマーカー
 人間の健康状態を定量的に把握するための科学的な指標。糖尿病の場合、血糖値が高くなるが、これもひとつのバイオマーカーである。疾患の状態の変化や治癒の程度を特徴づけることができるため、早期診断や病気の経過観察には重要であることが知られている。しかし、一部の病気に対してしかバイオマーカーは利用されていないため、さまざまな病気に対するバイオマーカーの発見が望まれている。がんでは、細胞が悪性化することで糖鎖の枝分かれ構造や立体構造が変化することが知られており、このような糖鎖は、バイオマーカーの最有力候補として注目を受けている。


< 問い合わせ >
 独立行政法人 産業技術総合研究所 広報部
 広報業務室 〒305-8568 茨城県つくば市梅園1-1-1 中央第2
 つくば本部・情報技術共同研究棟8F
 電話:029-862-6216 FAX:029-862-6212 Eメール:presec@m.aist.go.jp

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