SIIナノテク、高分解能・高精度の走査型プローブ顕微鏡ユニット2モデルを発売
走査型プローブ顕微鏡ユニット2モデルを発売
大型ステージユニット「L-traceII」と多機能型ユニット「S-image」
エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社(略称:SIIナノテク、社長:船本 宏幸、本社:東京都中央区新富2-15-5 RBM築地ビル、TEL:03-6280-0070)は、高分解能、高精度の走査型プローブ顕微鏡ユニット2モデルを開発し、本日12月4日より発売します。開発したモデルは大型ステージユニット「L-traceII(エルトレースツー)」と、多機能型ユニット「S-image(エスイメージ)」です。
近年では、半導体などの電子デバイス、素材、バイオなどの分野を中心として、超微細観察、計測、加工といったいわゆる「ナノテクノロジー」への期待が一層高まっています。特に「走査型プローブ顕微鏡(SPM : Scanning Probe Microscope)」は、原子レベルで表面の三次元形状と物性の同時観察ができる上、電子顕微鏡で困難な大気中や水中などでの観察もできることから、大学官庁などの研究機関に留まらず産業界の研究開発部門からもその可能性に大きな期待があります。SIIナノテクは1989年日本で初めてSPMを開発以来、常にその時代を開く装置を投入してきました。今回発売する2モデルは最先端の研究者や産業界の要望に応えて更なる精度、分解能、操作性などの向上を実現したモデルです。以下に両モデルの概要と主な特徴をご説明します。
●大型ステージユニット「L-traceII」
ナノオーダーの微細加工技術として光リソグラフィー、電子リソグラフィーまたナノインプリント法等の技術が注目されています。これらナノオーダーの微細加工形状の評価機として定評のある高精度形状計測装置L-traceの改良モデルです。新開発のアキュレートスキャナと低コヒーレント光学系(光干渉の少ない光学系)の採用により、ナノオーダーの形状をより正確に高い精度で計測します。また、試料サイズは従来同様6インチ(オプションで8インチ)まで対応しますので、マイクロレンズや、半導体等の大型試料を切断することなくそのままホルダーに装着できます。
【L-traceIIの主な特長】
1.新型Accurate(アキュレート)スキャナによるZ直進エラーの低減化
従来型Zスキャナ(高さ方向をコンロールするスキャナ)では、素子の感度ムラによりZ動作時にX,Y方向へのクロストークが発生します。このためにトレンチ構造などの凹形状において非対称な側壁形状になったり、マイクロレンズなどの凸形状において底部と頂部の中心ズレが発生したりしていました。今回搭載した新型のアキュレートスキャナは素子の感度ムラを補正する機能を搭載しており、この結果、側壁形状における左右の角度差1°以下を達成し、信頼性の高い形状測定を可能にしました。さらにSIIナノテク独自のSISモード(Sampling Intelligent Scan)ともあいまって、マイクロレンズや半導体のL&S測定といった産業分野での活用が期待されます。
2.低コヒーレント型新光ヘッドによるS/N比向上と光ノイズ低減
カンチレバーの変位を検出する光ヘッドの光源を低コヒーレント型(光干渉が少ない)にすることで、高出力時のモードホップノイズや戻り光ノイズの発生をなくすことに成功しました。また高出力化によりS/N比を改善しナノオーダーの一層の高分解能観察を可能としました。更に光干渉ノイズを低減化させることで、試料表面とカンチレバーとに働く力学特性をより精度高く計測することができます。
3.熱源抑制効果による低ドリフト化
ユニット内部の熱源を徹底して排除した構造にすることで、従来の1/4以下のドリフト量を実現しました。ナノオーダーの構造解析には欠かせない基本性能の向上により信頼度を高めました。また、1画面目から安定した測定が行えるようになり、測定時間を無駄にしません。
4.ヒステリシス、クリープの影響の少ないクローズドループスキャナ標準搭載
従来のオープンループスキャナではクリープの影響を受けフレーム移動後に歪が生じたり、ヒステリシスの影響により変位の再現性を欠いたりしていました。クローズドループスキャナは、スキャナ自体に変位センサを取りつけ、センサ信号とスキャナ変位量を比較しフィードバックする機構で、より正確な位置決め、測定精度の向上を実現しました。(L-traceより採用)
5.カンチレバー自動交換と探針の自動評価による操作性の向上
消耗品のカンチレバーは、探針の寿命に伴い都度交換する必要があります。本モデルは自動カンチレバー交換機能を備え、誰でも気軽に使えるツールとなっています。また、ハイアスペクト対応の探針の評価を自動化させることで、計測精度の確認を手軽に行うこともできます。(L-traceより採用)
●多機能型ユニット「S-image」
新開発の低コヒーレント光学系の採用、熱源の抑制化により更なる高分解能化、低ドリフト化、光干渉の低減化を実現した高分解能多機能型ユニットです。走査型プローブ顕微鏡は、電子顕微鏡で観察が困難な絶縁的な有機材料や水分を含む生体試料の観察が可能ですが、S-imageは、このようなナノレベルでの有機・高分子・バイオ系材料の研究利用を主な目的として開発された装置です。
【S-imageの主な特徴】
1.低コヒーレント型新光ヘッドによるS/N比向上と光ノイズ低減
カンチレバーの変位を検出する光ヘッドの光源を低コヒーレント型(光干渉が少ない)にすることで、高出力時のモードホップノイズや戻り光ノイズの発生をなくすことに成功しました。また高出力化によりS/N比を改善しナノオーダーの一層の高分解能観察を可能としました。更に光干渉ノイズを低減化させることで、試料表面とカンチレバーとに働く力学特性をより精度高く計測することができます。
2.熱源抑制効果による低ドリフト化
ユニット内部の熱源を徹底して排除した構造にすることで、従来の1/10以下のドリフト量を実現しました。ナノオーダーの構造解析には欠かせない基本性能の向上により信頼度を高めました。また、1画面目から安定した測定が行えるようになり、測定時間を無駄にしません。
3.ヒステリシス、クリープの影響の少ないクローズドループスキャナ(オプション)
従来のオープンループスキャナではクリープの影響を受けフレーム移動後に歪が生じたり、ヒステリシスの影響により変位の再現性を欠いたりしていました。クローズドループスキャナは、スキャナ自体に変位センサを取りつけ、センサ信号とスキャナ変位量を比較しフィードバックする機構で、より正確な位置決め、測定精度の向上を実現しています。
以 上
この件に関するお問い合わせ先
<お客様>
エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社
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TEL:03-6280-0063