東芝、32nm世代LSI向けメタルゲート技術を開発
32nm世代向け高性能メタルゲート技術の開発について
― 低温製造・低電圧化を同時に実現する新プロセス ―
当社は、32nm世代以降のLSIに適用されるメタルゲート技術の実用化に向け、従来技術の課題であった低温製造と低電圧化を同時に実現する新プロセスを開発しました。
32nm世代以降で主流となるニッケル・フルシリサイドと呼ばれるメタルゲート技術では、ゲート電極をシリコンとニッケルの金属化合物(シリサイド)で形成し、電極の仕事関数をnMOSとpMOSそれぞれ最適に調整して高性能化します。
従来技術では、nMOS側でシリコン比率の高いシリサイドが必要とされ、これを形成する際の650℃程度の高温が、チャネル両脇の拡散層を劣化させる問題がありました。
今回、ゲート材料組成はnMOSとpMOS共通とし、nMOSのみアルミニウム・イオンを注入して500℃程度の低温で処理すれば、それぞれ最適な性能にできることを解明しました。
これにより、高温による悪影響を防止でき、さらに熱処理後ゲート界面に偏析するアルミニウムの効果でnMOSゲートの閾値電圧は従来限界より0.1V以上低減が見込まれます。
しきい値電圧の低減については、放射光施設SPring-8*における界面分析結果により、アルミニウムがニッケル、シリコンなどと結合した金属状態である程度存在する影響と見られます。
今回の成果は、メタルゲートの形成に関し実用性ある要素技術を確立したもので、今後当社は、さらにCMOS素子としての性能検証などを進め、早期実用化を目指します。
なお、今回の技術については、米国サンフランシスコで開催されている半導体の国際学会IEDM(International Electron Devices Meeting)において、本日(現地時間12月11日)発表しました。
*世界最高性能の放射光を利用した大型実験施設
以 上