松下と松下電池、ノートPCなど向け第3世代高容量リチウムイオン電池を開発
第3世代高容量リチウムイオン電池を開発
リチウムイオン電池用の合金系負極を開発
当社と当社の連結子会社である松下電池工業株式会社(社長:石田 徹、以下、松下電池工業)は、リチウムイオン電池用合金系負極を開発し、エネルギー密度740Wh/Lの第3世代高容量リチウムイオン電池(※1)を試作いたしました。当社の第2世代電池よりも20%、当社従来品の第1世代電池からは40%エネルギー密度を高めることが可能となります(※2)。
なお、この第3世代高容量リチウムイオン電池の試作品を、2007年1月8日~11日に、米国ラスベガスで開催される「2007 International CES(※3)」において参考出展(※4)いたします。
リチウムイオン電池は、ノートパソコン、携帯電話やデジタルスチルカメラなどユビキタス社会を支えるモバイル機器やデジタル機器の電源としてその需要が大きく伸びている成長商品ですが、市場からはさらなる「高容量化」と「安全性向上」とが求められています。
現在ノートパソコンに搭載されているリチウムイオン電池の大半は、コバルト系正極を用いた第1世代電池であり、その容量は、使用目的に応じ、2.0Ah~2.6Ahまであり、2.4Ah品が主流となっています。また、電池の充電電圧は4.2V、放電終止電圧は3.0Vです。また一部の高級機種には、当社が2006年4月より商品化しているニッケル系正極を用いた第2世代高容量リチウム電池が使用されています。第2世代電池の容量は2.9Ahと第1世代電池よりも高容量で、電池の充電電圧は4.2V、放電終止電圧は2.5Vと利用電圧範囲が拡大しています。また、第1世代電池、第2世代電池ともカーボン系負極を採用しています。
今回、当社では、負極に従来のカーボン系材料に代わり合金系材料を開発しました。この負極を採用した第3世代高容量リチウムイオン電池の充電電圧は4.2Vで従来世代のリチウムイオン電池と同じですが、最適放電終止電圧は2.0Vになり、利用電圧範囲は第2世代電池よりもさらに拡大します。
合金系負極は、従来のカーボン系負極と比較し電極容量が向上するため、さらなる高容量化が期待されるものの、充放電の繰り返しで極板が膨張・収縮して破壊されるためサイクル寿命性能が低下するなどの課題があり、実用化が困難であると言われていました。当社では、負極組成の最適化と新工法の採用により、極板の膨張・収縮を緩和させることに目処をつけました。これにより、負極の寿命性能を従来のカーボン負極と同等レベルに向上させました。その結果、高容量化と寿命性能とを両立し、当社従来電池比40%アップのエネルギー密度740Wh/Lの第3世代高容量リチウムイオン電池の試作が可能となりました。
今後も、更なる長寿命化技術に注力し、第3世代高容量リチウムイオン電池の開発を加速し、「高容量」と「安全」の両立を追求し、ユビキタス社会の発展に貢献してまいります。
※1:リチウムイオン電池のうち、ニッケル系正極と合金系負極を採用した電池を当社 では第3世代イオン電池と呼んでいます。また、第1世代イオン電池はコバルト系正極とカーボン系負極を、第2世代イオン電池はニッケル系正極とカーボン系負極をそれぞれ採用しています。
※2:ノートパソコン用の標準サイズである18650サイズ円筒形電池での場合。
※3:Consumer Electronics Show(国際コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)。
世界最大級のコンシューマ・エレクトロニクスの展示会。
※4:本試作品は、開発中の技術試作品であるため商品化時期等に関しては未定です。
【今回試作品と当社従来品との比較】(18650サイズ円筒形電池の場合)
* 関連資料 参照
【関連特許】
111件(出願中)
以上