日立、「ミューチップ」を活用して電気ケーブルの複雑な配線作業を容易に行える技術を開発
「ミューチップ」を活用して電気ケーブルの複雑な配線作業を
容易に行える技術を開発
電力プラントなどのケーブル接続工事における信頼性と作業効率を向上
株式会社日立製作所(執行役社長:古川 一夫/以下、日立)は、このたび、非接触型ICチップ「ミューチップ」を活用して、電気ケーブルの複雑な配線作業を容易に行える技術を開発しました。本技術は、「ミューチップ」をケーブル側とケーブルが接続される機器側に取り付け、これら2つの「ミューチップ」を読み取り、設計情報と照合することで、電気ケーブルの接続が設計どおりであることを確認することができるものです。大型の電力プラントや産業プラントなどの保守点検や改修工事に伴う電気ケーブルの接続工事では、従来、電気ケーブルの接続を目視に頼る方式で行い、多くの時間を要していましたが、本技術を用いることにより、接続工事における作業効率の向上や信頼性を高めることが可能になります。
大型の電力プラントや産業プラントなどの設備では、安全にシステムを運用するために、定期的にプラント設備の保守点検や改修工事などが行われています。これらの保守点検や改修工事を行う際には、機器と機器の間を接続している電気ケーブルを取り外し、工事終了後に再度接続するという作業が行われますが、従来は、目視により図面情報と実際の電気ケーブルの接続を照合し、特に安全と品質を重視する箇所では照合作業を複数回行う方法がとられていました。しかし、これらのケーブル接続作業では、接続の確認をするのが複雑で多くの時間を要する場合もあるため、ケーブルを効率良く接続できる技術が求められています。日立はこれまでも、電力プラントや産業プラントなどの電気ケーブル接続工事にRFIDを利用する技術開発を行い、ケーブルの接続を指示することまでは可能でしたが、接続後の確認までを行うことはできませんでした。そこで、このたび、日立では、「ミューチップ」を活用して、電気ケーブルの複雑な配線作業を容易に行える技術を開発しました。今回開発した技術の特長は以下のとおりです。
1.ケーブル側と機器側の「ミューチップ」を対とみなし、設計図面上の接続と照合する技術
・電気ケーブルの接続では、ケーブル側と機器側に各々「ミューチップ」を取り付け、接続された2つの「ミューチップ」を対とみなし、読み取った「ミューチップ」の対と設計図面上の接続情報とを照合することで接続の正誤判定を行います。
2.整列した端子に接続された状態でケーブル側と機器側の1組の「ミューチップ」を読み取る技術
・機器側の端子にはさまざまな形状がありますが、電力プラントで多く用いられる機器では10mm前後のピッチで端子が並ぶため、接続後は狭い範囲に多くの「ミューチップ」が存在することになります。そこで、接続されたケーブル側と機器側の「ミューチップ」のみを対としてリーダで読み取る技術を開発し、確実に結線の正誤を判定することを可能にしました。
日立は今後、今回開発した「ミューチップ」の技術を、電力プラントのケーブル検査に適用できるよう応用システムの開発をめざします。また、本技術を、各種プラントなど社会インフラにも適用を拡大し、さまざまな環境に対応したケーブル接続作業の支援技術として利用していくことをめざします。