ナリス化粧品、「おとりDNA」を用いて次世代型美白メカニズムを解明
ナリス化粧品、「おとりDNA」を用いて次世代型美白メカニズムを解明
チロシナーゼ転写抑制に成功、DNAレベルでの次世代型美白に布石
株式会社ナリス化粧品(本社:大阪市、社長:村岡弘義)は「デコイDNA(decoy=おとり)」を用いて、メラニン産生に関与するDNA転写因子(=MITF)による、チロシナーゼ転写抑制に成功しました。本成果は、日本薬学会第127年会(2007年3月28日~30日、富山市)において、神戸大学医学部との共同研究として発表します。
(研究背景)
●「シミ」は老化現象の一つとして、いつも日本人の肌悩みランキングの上位に位置します。美白化粧品の日本での売り上げ規模は世界のトップレベルにあり、化粧品会社各社はより効果の高い、新しい美白成分の開発に余念がありません。これまで、シミが出来るまで、出来たシミが消えていくまで等、様々な段階で作用する美白成分がいくつも見出され、常に新しい成分が期待されています。
●一方近年、遺伝子レベルでの医療技術が進んでおり、色んなデコイDNAの研究がなされています。アトピーに関するデコイDNAは臨床試験段階にあり、その他いくつかの遺伝子治療には既にデコイDNAが検討されています。
(研究結果)
MITFはメラニン産生に必須である酵素チロシナーゼ、TRP-1及び2(いずれもチロシナーゼ関連酵素)の発現を制御する転写因子です。今回このMITFと結合するデコイDNAを作成しMITFと結合させることで本来結合すべきDNAとの結合を阻害し、細胞でのチロシナーゼなどのメラニン産生関与酵素の転写抑制を確認しました。
先ず、チロシナーゼを産生させるDNAと類似の塩基配列を含むオリゴDNAを「MITFデコイDNA」として設計、作成しました。このMITFデコイDNAをヒトメラノーマ細胞に70~80%の効率で導入することが出来、細胞中のMITFと結合できていることを確認しました。また、このMITFデコイDNAが導入されたヒトメラニン細胞から、mRNAを抽出した結果、メラニン合成に関与するチロシナーゼ等のmRNAの発現が強力に抑制されていました。今回、MITFデコイDNAを作成し、ヒトメラノーマ細胞に導入し、(1)単に細胞に導入するだけでなく、チロシナーゼ発現に関与するMITFをトラップすることが確認された(2)チロシナーゼ、TRP-1(チロシナーゼ関連タンパク1)、TRP-2(同2)といった酵素のmRNAの発現を抑制していたという以上2つのことが分かりました。即ち、MITFの制御はメラニン産生をコントロールする大きな因子であると考えられ、美白に期待できる研究結果となりました。
今後当社では、以上の結果を踏まえ、美白製品、アンチエイジング製品など「効果の実感できる」化粧品作りを続けたいと考えています。
(参考資料)
●(株)ナリス化粧品 ホームページ http://www.naris.co.jp/