住友金属鉱山、波長選択性を持つ光アイソレ-タを米社と共同開発
FTTH用新型光アイソレータの開発について
-新機能偏光子による小型化で光加入者用ONUへの展開を実現-
住友金属鉱山株式会社(本社:東京都港区、社長:福島孝一)は、このたびナノオプト社(本社:米国ニュージャージー州、社長兼CEO:Barry J.Weinbaum)との共同開発により波長選択性を持つ光アイソレ-タを開発いたしました。
光ファイバ通信は半導体レーザーから発せられた光信号が光ファイバを通じて伝送されフォトダイオードにより受信されることで行われます。この光信号が光ファイバの間に存在する光学部品によって反射されて、もとの半導体レーザーに戻ると動作が乱されて伝送特性劣化の原因になります。これを防ぐために利用されるデバイスが光アイソレータです。
今回開発された新型光アイソレータは、発信側の光信号の波長に対しては光アイソレータとして機能する一方で、受信側からの光信号の波長に対してはガラスの様な透過特性を持つものです。この新型光アイソレ-タは、これまでにはない新たに開発された波長選択性を持つ偏光子と従来のファラデー回転子を組合せることでこうした機能を実現いたしました。
現在急速に普及が進んでいるFTTH(Fiber To The Home)で使用されている受発光モジュール内に、この新型光アイソレータを用いることによって、光アイソレータの大幅なサイズダウンが出来ることになります。この製品の採用で一芯双方向受発光モジュ-ルとしての価格低減が可能となりますので、今後高速化が進むFTTHにおいて、既に使用されているOLTだけでなくONUにもこの製品が使用されることで新たな光アイソレータの市場が創出されることが期待されます。この製品の形状につきましては、お客様のご要望に合わせて提供することが可能であり、4月よりサンプル出荷の予定です。
なお、この新型光アイソレ-タ-は、3月27日から29日まで米国アナハイムで開催される「Optical Fiber Conference(OFC)」に参考出展いたします。
※従来の光アイソレータ
現在、急速に進んでいるFTTH向けの一芯双方向受発光モジュールに従来の光アイソレータを使用する場合、従来の偏光子が広い波長帯域で機能するために、モジュール内部でのアイソレータは発信用半導体レーザーの直後にしか置くことができず実装位置に制約がありました。この実装位置の制約のため,相対的にサイズの大きい光アイソレータが必要となり,このことが光アイソレータの価格を押し上げる大きな要因となっていました。
【 用語の解説 】
■FTTH(Fiber To The Home)
光ファイバによるアクセス系高速通信サービスの総称。従来、銅線で行われていた電話局から各家庭への通信を光ファイバに置き換えることで上り下り双方向において高速通信サービスが可能です。
■偏光子
自然光(無偏光)や円偏光から特定の偏光成分(直線偏光)のみを透過させる光学素子です。
■ファラデ-回転子
磁界を印加し、磁界の方向に光が伝搬する時、光の偏向面が回転するファラデー効果を利用して、偏光面の角度を制御する素子(結晶膜)です。
■OLT(Optical Line Terminal)
光アクセス回線の電話局側に設置される終端装置で光と電気を変換する機能を持ちます。
■ONU(Optical Network Unit)
光アクセス回線のユーザー側に設置される終端装置で光と電気を変換する機能を持ちます。
1.住友金属鉱山株式会社の概要
1)本 社:東京都港区新橋5丁目11番3号
2)資本金:891億円(2006年12月31日現在)
3)売上高:4,826億円(2005年度実績、単独)
4)代表者:福島 孝一(代表取締役社長)
5)社員数:2,131名(2006年3月31日現在)
6)事業内容:資源開発、非鉄金属の製錬・販売、電子材料・機能性材料の製造・販売
2.NanoOpt Corporationの概要
1)本 社:1600 Cottonrail Lane Somerset, Nj USA
2)代表者:Barry J. Weinbaum(社長兼CEO)
3)事業内容:ナノオプト社は独自のナノテクノロジーを光部品に適用し、高性能、高付加価値で量産性の高い製品を光通信だけでなく民生品にも展開し、2006年10月には、ルックス・リサーチの「提携価値のあるナノ技術スタートアップ企業」世界ランクの1位に選ばれています。
http://www.nanoopto.com
以 上