DNAチップ研究所、パスウェイ解析用DNAチップ「ConPath」と解析ツールを開発
臨床研究分野に最適な高性能DNAチップとその解析ツールを開発
-新DNAチップ「ConPath」による新受託解析を開始-
株式会社DNAチップ研究所(社長:松原謙一、本社:神奈川県横浜市)は、パスウェイ解析用DNAチップ「ConPath(TM)(コンパス;Concise Pathway)チップ」と、その簡便な解析ツール「ConPath Navigator」を開発しました。
これまでのDNAチップは多くの遺伝子を一度に解析することを目的にした「網羅解析型」が主流でした。しかしながら、解析する遺伝子数の増加に伴ってデータのノイズも増加し、煩雑な統計学的処理が必要とされ、それが使用者の大きな負担になっていました。また、数多くの網羅的遺伝子解析の結果から、生物学的、医学的に重要な遺伝子も絞り込まれてきました。
今回開発したConPathチップは、独立行政法人産業技術総合研究所から技術供与を受け、GenMAPP(注1)に含まれる約100種類のヒトの遺伝子ネットワーク(パスウェイ(注2))に関わる約4,000種類の主要な遺伝子を抽出したパスウェイ解析型DNAチップです。このDNAチップの特徴としては次の4点が挙げられます。
(1)各種生命現象に関わる重要な遺伝子が選択されている。
(2)各遺伝子を高い特異性で検出する高純度なDNAプローブが搭載されている。
(3)一枚のチップで多検体サンプルの同時解析が可能である。
(4)従来の約1/20分量のRNA量(50ng)で検出が可能である。
このように、ConPathチップは、少量のサンプル量から重要な遺伝子の発現解析を同時に複数行うことが可能であり、さらにそのプローブの高い特異性によって、使用者はより正確なデータを得ることができます。
また、ConPath Navigatorは、ConPathチップから得られたデータを取り込み、そのデータを各パスウェイの遺伝子ネットワーク上に反映させることが可能です。GenMAPPよりも、遺伝子発現の変化を視覚的にわかりやすく表示でき、さらに各遺伝子に関する詳細なアノテーション及びパスウェイ情報の取得も可能にしています。
これらConPathチップとConPath Navigatorを併用することによって、通常であれば数週間から数ヶ月間必要なデータ処理、パスウェイソフトの習得及び情報検索等の作業時間を、大幅に短縮させることが可能になり、解析に時間をかけられない臨床研究分野の研究者、さらにこれまでDNAチップを利用しなかった新たな顧客にとっても本システムが大いに役立つと考えています。
今後、DNAチップ研究所ではDNAチップを活用した遺伝子診断ビジネスを開始する予定であり、今回のConPathチップによる新受託解析は、今後の遺伝子診断ビジネスへの重要な布石と位置付けています。
価格はConPathチップ1枚の解析(合計4解析)にConPath Navigatorを付けて約50万円程度を想定しており、本システムを活用した新たな受託解析事業を平成19年5月より開始し、3年後には約2億円の売り上げを見込んでいます。
尚、ConPathチップの開発は、経済産業省の平成18年度中小企業産業技術研究開発委託費の成果を活用して実施しました。
◆図1.本システムを活用した新たな受託解析事業
(※ 関連資料を参照してください。)
注1 GenMAPP(Gene Map Annotator and Pathway Profiler)
アカデミックの組織(Gladstone Institute, University of California at San Francisco)が、マイクロアレイなどの発現データを生物的なパスウェイに表示することを目的に開発しているツール。
現在、研究者によって投稿された約100種類のパスウェイ(Contributed Pathways)が利用可能。
http://www.genmapp.org
注2 Pathway
一般的にはパスウェイは生物現象をテーマごとに分類したグループであり、パスウェイを構成する遺伝子間の制御、相互作用などの関係を視覚的に表示している。例として、細胞死(apoptosis)、細胞周期(cell cycle)などのパスウェイがある。
以上