富士キメラ総研、エレクトロニクス製品及び部品55品目の世界市場の調査結果を発表
注目エレクトロニクス製品及び部品 55品目の世界市場を調査
― 2006年、トータル市場は93億台、中国が生産量63%、需要量43%のシェア ―
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 表 良吉 03-3664-5841)は、このほど注目されているエレクトロニクス製品及び部品の55品目を対象に世界市場の観点から日系メーカー、外資系/ローカルメーカーの生産実績を調査分析した。その結果を報告書「2007 ワールドワイド エレクトロニクス市場総調査」にまとめた。
<ワールドワイド市場(生産量)とその動向>
【関連資料「表(詳細)」参照】
06年のワールドワイドエレクトロニクス市場は前年比14.7%増の92億9,877万台となった。製品分野別の成長率(対前年比)は情報通信機器が18.1%増ともっとも高く、続いて、各製品に使用されるユニット製品/部品が16.3%増、家電製品が5.5%増、AV機器が2.9%増となった。
AV機器ではLCD-TV(液晶テレビ)が前年比2倍以上、PDP-TV(プラズマテレビ)も前年比74%増と、急激な需要増で市場拡大に貢献した。その他ではDVDレコーダ、据置型ゲーム機、ポータブルゲーム機なども市場拡大の牽引役となったが、07年をピークに需要は縮小傾向に転じるとともに、PDP/LCD-TVの成長率も少しずつ鈍化していくため2010年は06年比マイナスと予測される。
一方、家電製品は大きな動きは見られないが、アジア地域全体の普及率アップによる需要拡大が見込まれており、今後も堅実に市場は成長していくと予測される。また、情報通信機器では、市場の50%以上を占める携帯電話が市場拡大を牽引した。07年以降は携帯電話の需要の伸びは緩やかになるが、引き続きパソコン(特にノートブックタイプ)やポータブルGPSは高い伸びを維持し、2010年は06年比27%増と予測される。
<地域別生産/需要ウエイト(2006年)>
【関連資料「表(詳細)」参照】
地域別の生産ウエイトは、中国が63.1%、アジアが23.0%、日本が7.2%、欧州が4.1%の順となっている。エレクトロニクス製品の生産は世界同時発売、人件費や関税対策などのほかコスト競争がキーワードとなっている。高付加価値製品やオンリーワン製品は自国又は需要地に隣接する地域での適地生産、コスト競争が激しい製品は中国やアジアへの生産移転といったトレンドが定着した。とはいうものの中国への集中が飽和しつつあることや、中国沿岸地域の人件費上昇もあり、新天地への新規投資が見受けられる。また、一方ではメイド・イン・マーケット(需要のあるところでの生産・販売)の傾向が強まっている。
地域別の需要ウエイトは、中国が42.6%、アジアが16.6%、欧州が14.5%、北米が13.2%の順となっている。これまで需要拡大を牽引してきた欧州と北米は、世界経済とともに需要が減速傾向にあることは否めない。今後は中国やアジアの内需拡大、特に最大の生産地であり、消費地である中国での北京オリンピック開催はその需要拡大の促進が期待される。
<主要品目の生産と需要の動向>
1. PDP/LCD-TV
PDP-TV 2006年 990万台(前年比173.7%) 2010年予測 2,060万台(06年比208.1%)
LCD-TV 2006年 4,490万台(前年比220.1%) 2010年予測 12,600万台(06年比280.6%)
06年のPDP-TV(プラズマテレビ)とLCD-TV(液晶テレビ)の市場は、低価格化とCRT-TV(ブラウン管テレビ)からの移行、サッカーワールドカップやトリノオリンピックの開催が急激な市場成長をもたらしたといえる。今後も北京オリンピックを初めとするスポーツイベントや、アナログ停波に伴う地上波デジタルの普及が追い風になると予測される。アナログ停波は北米が2009年、日本が2011年、欧州が2012年、中国では2015年前後とみられ、それによる駆け込み、買換え需要の期待は大きい。
LCD-TVは大手メーカーによる強力なセールスプロモーション活動により、大型化が予想より早く進み、PDP-TVはLCD-TVとの競合を避けるため50型以上へ注力していくと見られる。大型化により生産地域は輸送コストや関税などの問題から、需要地域に近いエリアでの生産が基本となり、大型製品の需要がある北米や、今後大型製品への需要が期待できる欧州への供給は中南米や東欧拠点となっていくと見られる。一方、日本や、低価格化により需要が期待される中国とアジアへの供給は中国とアジアが生産拠点となっていくと予測される。
2. プロジェクタ
2006年 500万台(前年比111.1%) 2010年予測 745万台(06年比149.0%)
日本とアジアのメーカーの中国生産移管が進み、中国の生産量は全体の69%を占めるようになった。主な需要地域は欧州と北米で、各々160万台と、両地域で全需要の64%のシェアを占めている。欧州ではサッカーなどのスポーツ観戦用途が大きな需要になっている。北米では既にプロジェクションTVが普及している背景があり、低価格化により市場開拓が進められた。日本ではビジネスユースの販売が主体であったが、個人でホームシアターを設置するマニア層の開拓、中国やアジアは富裕層と低価格化により更に幅広いユーザー層の開拓が進められている。
3. 携帯電話
GSM 2006年 68,000万台(前年比119.9%) 2010年予測 57,500万台 (06年比 84.6%)
CDMA 2006年 19,600万台(前年比147.6%) 2010年予測 22,000万台 (06年比112.2%)
WCDMA 2006年 9,800万台(前年比167.5%) 2010年予測 42,500万台 (06年比433.7%)
その他 2006年 570万台(前年比 25.9%) 2010年予測 0万台 (06年比 ― %)
合計 2006年 97,970万台(前年比125.5%) 2010年予測 122,000万台 (06年比124.5%)
※ 上記は通信方式別の携帯電話の市場である。GSMはGSM、GPRS、EDGE、CDMAはcdma-One、cdma2000-1x、ED-VO、WCDMAはWCDMA、HSDPA、UMTS、TDSCDMA、その他はTDMA、PDCなどを、対象とした。
GSM方式携帯電話は低価格化により、今まで携帯電話の普及率が低かった地域まで広がり、06年で前年比19.9%の6億8千万台になった。主に欧州と北米メーカーが中国を生産拠点としており、中国が生産量の70%強のウエイトを占めている。欧州、アジア、中東、北米など、既に世界100カ国以上の地域で採用されているが、特に欧州の需要が高く、全体の30%以上を占めている。しかし、同地域ではWCDMAのサービスが開始されており、次第にWCDMA方式に移行していくものと見られ、07年をピークに市場は減少傾向に転じると予測している。
CDMA方式携帯電話は一般に通話品質が高く、高速データ送信が可能であるなどの特長が有り、付加価値の少ないGSM方式携帯電話に対して優位性があることなどから需要は拡大しており、06年で前年比47.6%増の1億9千6百万台になった。世界トップの生産量を持つ韓国メーカーが、自国と米国向けに自国内で生産していることから、アジアが生産量の50%強を占めている。CDMAサービスは日本や中国、アジア、オーストラリアなどの大洋州地域、北米、カナダ、南米でも開始されている。その需要の中心はアジアと北米であるが、今後需要の伸びが期待されるのはアジアでもインドやベトナム、南米のブラジル、欧州の東欧やウクライナ、ロシアなどである。
ITUが進める日欧標準方式であるWCDMA方式携帯電話は日本や香港、欧州の一部で既にサービスが開始されており、06年で前年比67.5%増の9千8百万台と急激に需要が拡大した。WCDMAサービスは08年以降中国でも開始が見込まれ、サービスが開始された地域では次世代携帯電話として需要拡大が期待されるとともに、今後の携帯電話のディファクトスタンダードになっていくものと見込まれている。06年の生産量では日本が40%近いウエイトを占めているが、今後は中国やアジア地域での生産が増加し、日本のウエイトは下降していくものと予測される。その他の方式の携帯電話は世代交代を迎えており、07年を最後に終焉になると予測している。
4. PDA/ポータブルGPS
2006年 2,120万台(前年比143.4%) 2010年予測 4,300万台(06年比202.8%)
※ PDA(personal digital assistant:個人用の携帯情報端末)はPalm Source、Windows CE/Mobile、Linuxなどの独自OSを採用した製品。ポータブルGPSは無線通信機能付きPDAフォン、PND(GPS機能付きPDA、GPS専用端末)としている。
PDA市場は2000年に1,000万台を越える市場であったが、それをピークに下降し、06年は当時の半分以下の市場にまで縮小している。PDA専業メーカーの注力方向も無線通信機能付きPDAフォンやPNDにシフトしている。一方でPNDと呼ばれるGPS専用端末は安価な価格的メリットを売りに、05年には欧州で急激に需要を伸ばし、06年以降は北米や中国などの地域まで拡大してきている。日本でも生産されているが、国内シェアの大半を占める2社の内1社が撤退したため、量的には非常に少なくなり、アジアと中国でほぼ100%の生産量を占めている。
<調査対象品目>
AV機器18品目、家電製品6品目、情報通信機器17品目、ユニット製品/部品14品目
<調査対象地域及びメーカー>
1.調査対象地域
日本、中国/香港、アジア(台湾、韓国、フィリピン、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、インド、その他)、北米、欧州(東欧、ロシアを含む)、中南米、その他(アフリカ、オセアニア、中近東など)
2.調査対象メーカー
AV機器、家電製品、情報通信機器、ユニット製品/部品メーカー(日系及び外資系/ローカルメーカー)
<調査方法>
調査対象品目に関わる調査対象地域各国の公式データ収集と(株)富士キメラ総研専門調査員による調査対象メーカーに対するインタビューサーベイ及び(株)富士キメラ総研社内データベースの活用による分析
<調査期間>
2007年1月~3月
以上
資料タイトル :「2007ワールドワイド エレクトロニクス市場総調査」
体裁 :A4判 404頁
価格 :97,000円 (税込み101,850円)
CD-ROM付価格117,000円(税込み122,850円)
調査・編集 :株式会社 富士キメラ総研 研究開発本部 第一研究開発部門
TEL:03-3664-5815 FAX:03-3661-5134
発行所 :株式会社 富士キメラ総研
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