旭化成ファーマ、尿中ミオイノシトール測定キット「ルシカMI」の承認を取得
尿中ミオイノシトール測定キット「ルシカMI」の承認取得について
-簡易に糖尿病確定診断の糖負荷試験必要者の選別が可能に-
旭化成ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区 社長:大江 啓)は、糖尿病確定診断の糖負荷試験が必要な人を簡便に選別できる、尿中のミオイノシトールを測定する新規体外診断用医薬品(販売名:「ルシカMI」)の承認を2007年3月28日付けで取得致しましたのでお知らせします。
1. 背景
現在の糖尿病の確定診断は、健康診断などで空腹時血糖が高いと指摘された人に対して、ブドウ糖を飲む前後の血糖値を測定し、空腹時血糖に加えて負荷後の血糖値上昇も併せて見る方法によって行われています。しかし、検査の煩雑さなどのため、この検査を受けた方が良いと思われる人が、年間200万人以上と推定されるのに対し、医療機関で実施される検査数は約40万件(2005年:社会医療診療行為別調査報告)と、実施される割合は低いのが現状です。こうした状況下で、検査が簡易にできるニーズが高まっていました。
2. 内容
今回承認を取得した「ルシカMI」キットは、当社の技術である酵素法を用いたもので、これまではガスクロマトグラフィー等の特殊な機器を用いないと測定できなかったミオイノシトールを、通常の生化学用自動分析機で簡便に測定出来るようにした画期的な製品です。当社は株式会社ビー・エム・エル(本社:東京都渋谷区 社長:荒井 裕)と共同で予備的試験、臨床性能試験を行い2005年に承認申請を行っていました。
3. 「ルシカMI」の特長
糖アルコールの一種であるミオイノシトールは、糖尿病患者の様に体内でのブドウ糖の処理能力が低下した人では、食後あるいはブドウ糖を飲んだ後の尿中に多量に排泄されることが報告されています。近年、糖尿病では高リスクと見なされている食後高血糖を反映する指標と考えられています。
本キットによる測定は、ブドウ糖負荷前後の尿を取るだけで血液採取の必要はないため、患者様にも医療の現場にも負担が少なく、ブドウ糖負荷試験を行うことが必要な人を簡便に選別できる方法として期待されます。
「ルシカMI」は第一試薬と第二試薬で構成され、第一試薬によって尿中に含まれるブドウ糖はあらかじめ消去され、第二試薬によってミオイノシトールの測定が行われます。1キットは二本組みで、約400テストを行うことができます。
当社は今後、保険点数収載申請を行うとともに、約1年をかけて市場への展開を検討するための拡大試験を行う予定です。なお、保険点数収載までの間においては、株式会社ビー・エム・エルがミオイノシトールの検査受託を行います。
4. 販売目標
2010年度に1億円
以上
※「ルシカ」は、旭化成ファーマ株式会社の登録商標です。
<ご参考>
ミオイノシトール
ブドウ糖と良く似た形の糖であり、細胞の中にあって、神経の作用を助ける働きをしている。体の中で作られるとともに食物からも摂取されて体内には多く存在する。正常な人でも、尿 1000mLあたり20mg前後のミオイノシトールが排泄されるが、ブドウ糖負荷を行ってもその量はほとんど変化しない。一方、糖尿病患者では、負荷後の量が5倍から10倍に増加する。
ブドウ糖負荷試験
被験者に75gのブドウ糖を飲んでもらい、直前と2時間後の血糖値を測定して糖尿病かどうかの判定を行うための試験。空腹時が110mg/dL未満かつ2時間後が140mg/dL未満なら正常型、空腹時が126mg/dL以上もしくは2時間後が200mg/dL以上であれば糖尿病型と判定される。どちらでもない場合を境界型という。 -日本糖尿病学会
ルシカGA-Lとの違い
当社が販売しているグリコアルブミンキット「ルシカGA-L」は、糖尿病患者の血糖管理状況を調べるためのものであるのに対し、「ルシカMI」を用いた尿中ミオイノシトールの測定は、健康診断などの一次健診と糖尿病の確定診断を行う二次検査の間で行われる検査と位置付けられる。