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ニュースリリースのリリースコンテナ第一倉庫

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2007'05.16.Wed

タカラバイオ、三重大学医学部と「がん免疫再建療法」の臨床研究開発を共同で開始

レトロネクチン(R)によるリンパ球の拡大培養法を用いた
「がん免疫再建療法」の臨床研究開発を、三重大学医学部と共同で開始


 タカラバイオ株式会社(社長:加藤郁之進)と国立大学法人三重大学大学院医学系研究科 遺伝子・免疫細胞治療学講座 珠玖洋教授のグループは、すでに食道がんを対象としたTCR遺伝子治療の研究開発をおこなっていますが、今回、骨髄腫、食道がん、頭頚部がん、卵巣がん等の難治性のがんを対象として、当社が開発したレトロネクチン(R)によるリンパ球の拡大培養法を用いた「がん免疫再建療法」の臨床研究を行うための共同開発契約を、平成19年5月14日付けで締結しました。

◆レトロネクチン(R)を用いた拡大培養法
 当社は、リンパ球の拡大培養時にレトロネクチン(R)を用いると効率よくリンパ球の拡大培養(細胞を増やす)を行うことができるだけでなく、その増殖した細胞中には未分化な細胞であるナイーブT細胞の特徴(CD45RA+CCR7+)を備えた細胞が多く含まれていることを既に確認し、第65回日本癌学会学術総会(2006年)などで発表しています。このナイーブT細胞は、リンパ節で教育を受け、がん細胞を特異的に破壊する能力をもった細胞傷害性Tリンパ球(CTL)に分化し、長期間その機能を維持することが期待されます。当社と珠玖教授らとは、この技術の臨床への応用に向けた「がん免疫再建療法」の臨床研究を進めていくことに合意しました。

◆がん免疫再建療法について
 米国の国立がん研究所(NCI)のローゼンバーグ博士を中心としたグループは、がんの細胞免疫療法を行う際に、がん患者に予め抗がん剤などの投与によってがん患者のリンパ球を枯渇(Lymphodepletion)させておいてから、患者自身の予め拡大培養されたリンパ球を体内に戻したほうが、優れた治療成績が得られることを報告しています。一方、NCIグループは免疫機能の低下したがん患者から採取した少量のリンパ球を増殖させる際に、抗CD3抗体と呼ばれるタンパク質の刺激によってリンパ球を活性化しています。当社は当社が開発したレトロネクチン(R)刺激によって、さらに高いがん細胞破壊能力をもったリンパ球を増やすことを発見しています。

 がん細胞免疫療法を適用する前に、細胞毒性の強い抗がん剤を投与してがん患者のがん組織の縮小と患者のリンパ球をも傷害させる治療法は、直感的には無理があるように思われがちですが、がん患者の免疫系にはがん組織を逆に守ろうとする調節型のリンパ球(Regulatory T細胞)などが存在し、活性化した新リンパ球の働きを妨害することなどが知られています。
 期待される治療効果のひとつは、抗がん剤の投与によってがん細胞が破壊され、それらがマクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞に提供され、がん抗原が多く提示された状態となっていることが予想されるため、CTLが誘導されやすい環境となっていると考えられます。すなわち、抗がん剤投与後に、レトロネクチン(R)により拡大培養した細胞集団を投与することは、がん細胞特異的なCTLの体内での誘導を期待するという観点において理想的な状態と考えられ、レトロネクチン(R)により拡大培養したナイーブT様細胞の特徴を生かした抗腫瘍効果が期待されます。

 つまり、「がん免疫再建療法」とは、がん患者のリンパ球系を一旦破壊しておき、活性化されたがん細胞攻撃能力を持った新しい免疫細胞系を再び体内に戻しがん免疫を再建する治療法です。レトロネクチン(R)は、この新しい細胞系のナイーブ細胞の存在比率を上げることによってがん細胞攻撃能力を強めます。なお、このような組み合わせで、ヒトに対するがん免疫療法の臨床研究の試みは世界で初めてです。


*当資料取り扱い上の注意点
 資料中の当社の現在の計画、見通し、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の業績に関する見通しであり、これらは現時点において入手可能な情報から得られた当社経営陣の判断に基づくものですが、重大なリスクや不確実性を含んでいる情報から得られた多くの仮定および考えに基づきなされたものであります。実際の業績は、さまざまな要素によりこれら予測とは大きく異なる結果となり得ることをご承知おきください。実際の業績に影響を与える要素には、経済情勢、特に消費動向、為替レートの変動、法律・行政制度の変化、競合会社の価格・製品戦略による圧力、当社の既存製品および新製品の販売力の低下、生産中断、当社の知的所有権に対する侵害、急速な技術革新、重大な訴訟における不利な判決等がありますが、業績に影響を与える要素はこれらに限定されるものではありません。


<参考資料>

【語句説明】

●レトロネクチン(R)
 レトロネクチン(R)は、ヒトフィブロネクチンと呼ばれる分子を改良した組換えタンパク質です。当社はレトロネクチン(R)に関する日本を含む世界各国における物質特許を保有しています。標的細胞とレトロウイルスの両者に対して特異的相互作用を持つことにより、シャーレに固定化されたレトロネクチン(R)上で、レトロウイルスと標的細胞が密接に接触し、遺伝子導入効率が上がると考えられています。このようなレトロネクチン法によって、従来技術では困難であった、造血幹細胞等の血球系細胞へのレトロウイルスベクターによる高効率遺伝子導入が可能となりました。レトロネクチン法は、いまやレトロウイルスによる遺伝子治療の臨床研究のスタンダードとなっています。また、当社ではレトロネクチン(R)の新たな機能として、リンパ球の拡大培養効果も発見しています。

●ナイーブT細胞
 特異的な抗原により刺激を受け活性化されたことがないT細胞で、血液中を循環し、2次リンパ組織において抗原提示細胞により抗原の提示を受け、CTLやヘルパーT細胞などに分化します。体外で活性化され増殖した細胞集団中にあるナイーブT細胞と同様の細胞マーカーを持つ細胞は、一度活性化されているため、ナイーブT様細胞としています。

●細胞傷害性T細胞(CTL:Cytotoxic T Lymphocyte)
 ウイルス感染細胞やがん細胞など特定の抗原を細胞表面にもつ細胞を殺傷するT細胞です。CD8分子を持つT細胞が主です。

●抗原提示細胞
 特異的な免疫応答を誘導する抗原とMHC分子の複合体を細胞表面上に提示して、T細胞を抗原特異的に活性化することができる細胞。樹状細胞はもっとも強力な抗原提示細胞と考えられています。

●がん抗原
 がん細胞において発現している抗原タンパク。その一部(がん抗原ペプチド)はがん細胞の表面にMHCクラスIとともに発現していることがあります。がん抗原特異的なCTLはこのがん抗原ペプチドを認識しがん細胞を殺傷すると考えられています。

●TCR遺伝子治療
 T細胞受容体(TCR)は、T細胞が抗原を認識する受容体です。TCR遺伝子治療は、がん患者からリンパ球を採取し、がん抗原を認識するTCRの遺伝子を導入後、この遺伝子導入されたリンパ球を大量に培養してがん患者に戻す治療法です。

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