富士経済、4分野35製品向け大型二次電池と部材の市場調査結果を発表
4分野35製品向け大型二次電池と部材の市場を調査
― 2012年度予測 ―
●リチウムイオン電池は鉛・ニッケル水素電池からの移行により拡大し、06年度20倍の1千億円超規模に
総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 代表取締役 阿部英雄03-3664-5811)は、このほど大型二次電池を搭載する4分野35製品における大型二次電池と部材の市場を調査した。その結果を報告書「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望2007(上・下巻)」にまとめた。
※大型二次電池:二次電池とは充電できる電池で、大型とは電動工具や電動アシスト自転車以上の大型製品に使用される電池を対象としている。携帯電話やノートPCなど小型民生機器等の二次電池は含まない。
<調査結果の概要>
1.種類別大型蓄電デバイス市場と予測
種類 2006年度見込 2012年度予測 12/06年度比
リチウムイオン電池 51億円 1,111億円 2178.4%
ニッケル水素電池 818億円 1,488億円 181.9%
電気二重層キャパシタ 19億円 64億円 336.8%
その他 1,744億円 2,136億円 122.5%
合計 2,632億円 4,799億円 182.3%
※その他は鉛電池、ニカド電池、NAS(ナトリウム一硫黄)電池、レドックスフロー電池である。
※鉛電池については、一般の四輪自動車・二輪車用の補機用バッテリーは対象外としている。
大型蓄電デバイスを搭載する4分野35製品における蓄電デバイスの市場規模は、06年度で前年比11.7%増の2,632億円になったと見込まれる。特に注目されるのはリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、電気二重層キャパシタである。
リチウムイオン電池は、自動車/輸送機器分野で7製品、家電/DIY機器分野では3製品、産業用機械/工作機械分野では3製品で採用が進み、中でも電動アシスト自転車での採用は進んでおり、トータル市場51億円の50%を電動アシスト自転車が占めている。リチウムイオン電池は大型蓄電デバイス市場の2%に満たない規模であるが、今後はニッケル水素電池やニカド電池、鉛電池等からの代替で新規にハイブリッド自動車や住宅用発電システム、太陽光発電システム(産業・公共用)、直流電源装置、無線基地局(携帯電話)などにも採用が見込まれている。そのため2012年度には1,100億円規模へ拡大し、全体の23%を占めると予測される。幅広い分野に拡がりを見せるが、主にハイブリッド自動車をはじめとする自動車分野をターゲットとした製品開発が進められており、ハイブリッド自動車への採用拡大が市場拡大の主要因である。
ニッケル水素電池は、既にハイブリッド自動車や電動アシスト自転車などの製品で主要デバイスとなっており、トータル市場は06年度で818億円になったと見込まれる。リチウムイオン電池と競合した場合、エネルギー密度(単位質量あたりの容量)の高いリチウムイオン電池が優勢であり、パソコンや携帯電話などの小型製品用途ではいち早くリチウムイオン電池に移行している。しかし、大型製品用途では、電動アシスト自転車や可搬型製品が多い電動工具などの一部の製品はリチウムイオン電池へ移行が進むものの、当面急激な需要増が期待できるハイブリッド自動車には採用が続き、鉛電池やニカド電池からの代替需要も見込まれることから市場は拡大すると予測される。
電気二重層キャパシタ(化学反応を伴わず電気を直接蓄電できるデバイス。キャパシタはコンデンサの別名)は、トータル市場は06年度で19億円になったと見込まれる。ハイブリッド照明や自発光タイプの道路鋲、無停電電源装置にも採用されているが、大半はハイブリッド自動車(乗用車)の電動ブレーキ用バックアップ電源用途が占めている。電気二重層キャパシタの特長は、放電サイクル性能が高く数十万回の繰り返し使用が可能、高い充放電効率、環境性能に優れるなどで、今後はハイブリッド自動車(トラック・バス)や燃料電池自動車(トラック・バス)、鉄道車両、建設機械などにも採用が見込まれている。特にアイドリングストップ車や住宅用発電システム、フォークリフトでの採用拡大に期待が高い。しかし現状では、電圧が低く、エネルギー密度が低い、コストが高いなど欠点がある。開発メーカーでは電極材料や電解液の改良による特性向上や量産化によるコスト削減への取り組みが活発化しており、長期的には採用製品や用途は更に拡大すると予測される。
2.種類別大型発電デバイス市場と予測
大型発電デバイスの市場規模は06年度で812億円になったと見込まれる。シリコン系太陽電池が90%近くを占めている。06年度のシェア4%程度の燃料電池は、07年度以降、住宅用発電システムで急速に採用が拡大し、2012年にはその市場の3%を占めると予測される。
<大型蓄電デバイスの製品用途別市場とその予測伸長率ランキング>
* 関連資料 参照
06年度の大型蓄電デバイスの製品用途市場のランキングは、フォークリフト、ハイブリッド自動車(乗用車)、電動工具の順になっている。この内、近年国内生産数量を増加させているのがハイブリッド自動車(乗用車)である。
ハイブリッド自動車(乗用車)は北米を中心とした世界的な市場拡大に伴い、05年度は前年度比2倍の30万台が生産された。京都議定書の温室効果ガスの削減目標に係わる要請や世界的な環境規制の強化などを背景に、環境対応自動車及び輸送機器への需要は大きく拡大している。特にハイブリッド自動車(乗用車)は06年度も輸出の増加を中心に国内生産台数は37万台になったと見込まれ、今後も高い成長が予測される。このハイブリッド自動車(乗用車)に搭載されている蓄電デバイスは616億円で、その97%を占めるのが、ニッケル水素電池である。ハイブリッド自動車(乗用車)の生産台数増加に伴い、ニッケル水素電池の市場も拡大していくが、09年度を目途にメーカー数社がリチウムイオン電池へ移行するとみられ、以降はリチウムイオン電池が拡大し、長期的にはニッケル水素電池を逆転すると予測される。
2012年度予測の大型蓄電デバイスの製品用途別市場の対06年度伸長率ランキングは、アイドリングストップ機構付自動車、業務用ロボット、ハイブリッド自動車(トラック・バス)の順と予測される。特にアイドリングストップ機構付自動車は対06年度の24倍が予測される。
アイドリングストップ機構付自動車(以下、アイドリングストップ車)の06年度国内生産台数は、軽自動車、普通・小型車、トラック・バスを含め約6千台になったと見込まれる。バス(主に路線バス)を中心にアイドリングストップ機構の採用が進んでおり、近年では環境問題に対する意識の高まり、アイドリングストップ機構搭載車種のラインナップの拡充、搭載車の導入促進補助金制度といった行政施策による後押しや、乗用車の90%を占めるAT車へのアイドリングストップ機構の搭載が可能となったことから、再び注目を集めている。今後は、環境規制などを背景に09年度頃から急激に需要が拡大し、2012年度は23万台以上が生産されると予測される。このアイドリングストップ車に搭載されているのは主に鉛電池(一部リチウムイオン電池が搭載されている)であるが、今後は鉛電池に加え、スターター始動用として電気二重層キャパシタの採用も拡大すると見込まれる。
<調査対象>
* 関連資料 参照
<調査方法>
富士経済専門調査員による業界関係者への直接面接取材(一部、TEL・FAX等の間接取材)及び公開データの収集と分析。
<調査期間>
2006年12月~2007年4月
以上
資料タイトル :「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望2007(上・下巻)」
体裁 :A4判 上巻:281頁 下巻:295頁
価格 :上巻・下巻 各95,000円 (税込み 99,750円)
上・下巻セット価格 180,000円 (税込み189,000円)
上・下巻セット価格 + CD-ROM付 190,000円(税込み199,500円)
調査・編集 :富士経済 東京マーケティング本部 第四事業部
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