田辺製薬と三菱ウェルファーマ、10月に発足する「田辺三菱製薬」の経営目標など策定
田辺三菱製薬株式会社の企業理念と目指す姿、
シンボルマークおよび経営目標等の策定について
田辺製薬株式会社(代表取締役社長 葉山 夏樹、以下「田辺製薬」)と三菱ウェルファーマ株式会社(代表取締役社長 小峰 健嗣、以下「三菱ウェルファーマ」)は、両社それぞれの定時株主総会(田辺製薬6月26日、三菱ウェルファーマ6月22日開催予定)の承認を前提に、本年10月1日に合併し、田辺三菱製薬株式会社(以下「田辺三菱製薬」)として発足する予定です。
今般、田辺三菱製薬の企業理念と目指す姿、シンボルマークおよび経営目標等を策定しましたので、お知らせします。
記
1.企業理念と目指す姿
【企業理念】
医薬品の創製を通じて、世界の人々の健康に貢献します
【目指す姿】
国際創薬企業として、社会から信頼される企業になります
2.シンボルマーク
*添付資料をご参照ください。
【シンボルマークの由来】
シンボルマークの形は、世界の人々の健康をやさしく包み込む手のひらであり、国際創薬企業として成長する田辺三菱製薬の未来への広がり、無限の可能性を象徴しています。
コーポレートカラーのブルーは、製薬会社としての「知性」「技術力」「倫理観」を意味し、さらに、世界の人々に役立つ医薬品の創製に挑戦する「積極性」を表しています。
田辺三菱製薬は、自らの「飛躍」と社会の皆様からの「信頼」の証として、このシンボルマークを制定しました。
3.基本戦略
田辺三菱製薬は、合併により拡大した事業規模と強化された経営基盤を最大限に活用し、グローバル新薬の創製と新たな事業機会への挑戦に向けて、以下の基本戦略を経営目標に掲げ、推進していきます。
・田辺製薬と三菱ウェルファーマそれぞれの強い創薬力を生かし、合併により強化された経営基盤を活用して海外事業展開を加速し、国際創薬企業としての地位を早期に確立する。
・合併によって国内トップクラスとなる営業力により、国内市場でのプレゼンスを高める。
・医療の変化に対応する新たな事業機会に積極的に挑戦する。特に、ジェネリック事業への参入と、三菱ケミカルホールディングスグループの診断・検査に関する基盤活用による新たなビジネスモデル(個別化医療等)を構築して、特色ある製薬企業の創生をめざす。
4.経営目標等の概要
両社の強みを生かして経営資源を有効活用し、早期に合併シナジーを顕在化させ、2010年度の経営目標達成に向けて取り組んでいきます。
(1)2010年度経営目標
売上高 4,800億円
営業利益(のれん償却前) 1,100億円
営業利益(のれん償却後) 1,000億円
当期純利益 0,600億円
(参考)研究開発費 0,870億円
本合併は企業結合会計の逆取得に該当するため、新会社の連結財務諸表は三菱ウェルファーマが田辺製薬を取得したものとして、「パーチェス法」が適用され、「のれん」が計上されます。現時点では、のれん概算値を約1,500億円、償却予定年数を15年として、のれん償却費を試算しています。
なお、最終的なのれん金額は、本年2月2日の合併基本合意発表日前の田辺製薬時価総額と本年9月末時点の田辺製薬の連結時価純資産額との差額によって確定します。
(2)2010年度合併シナジー
両社単独計画の単純合算と比較して、2010年度に、年間270億円の合併シナジーの実現をめざします。コストシナジーで年間200億円、売上シナジーで年間120億円を想定しているほか、合併に伴う支配権変更や製品カニバリゼーション等に伴う利益低下リスクとして、2010年度には年間50億円の潜在的ディスシナジーを見込んでいます。
また、早期退職、拠点統合、転籍支援、システム開発などの合併一時費用および構造改革費用として、2010年度までに累計175億円の発生を見込んでいます。
5.事業戦略
(1)営業戦略
国内トップクラスとなる営業力を生かし、国内市場のプレゼンス向上に取り組みます。具体的には、免疫(レミケード等)、脳疾患(ラジカット等)領域には、専門MRによる領域制の充実、強化を図ります。また、重点4製品【アンプラーグ(抗血小板剤)、タリオン(抗アレルギー剤)、ウルソ(肝・胆・消化機能改善剤)、タナトリル(ACE阻害剤)】へ営業資源を重点配分します。さらには、豊富な人的資源であるMRを、市場性を重視し、地域別に重点配置していく方針です。
なお、プロモーション体制については、2008年4月を目処に完全統合し、売上シナジーの最大化をはかります。
(2)研究開発戦略
研究においては、三菱ウェルファーマのテーマ発掘力と田辺製薬の最適化力という両社の強みを融合するとともに、現在複数のプロジェクトが進行中の「糖・脂質代謝疾患」、「脳神経疾患」、「腎・泌尿器疾患」の重点疾患領域に研究リソースを投入することで創薬研究力を強化し、世界に通用する新薬を継続的に創出できる体制の構築を進めていきます。また、国内開発においては、「免疫・炎症疾患」、「肝疾患」、「糖・脂質代謝疾患」等に両社の開発リソースを集中させることで、国内事業基盤の強化につなげていきます。
海外開発においては、当面は、腎領域のコレバイン(高リン血症用薬)およびMP-146(慢性腎不全用薬)の2製品を核として欧米での第III相臨床試験を展開し、欧米での自販体制の確立を進めるとともに、腎領域に続くグローバル開発疾患領域を、2010年頃を目処に選択し、海外での拡大をめざします。
(3)海外事業戦略
合併当初の海外事業収益は、中国ならびにその他アジア地域に大きく依存しますが、地域別の戦略を実行し、2010年度以降には、これら中国・アジア地域での収益に上乗せして、欧米地域での事業を展開し、海外事業を一層拡大していく方針です。
米国においては、現在開発を進めているコレバインおよびMP-146を軸に、腎領域における自販体制を構築し、その後の領域拡大により事業基盤を強化していきます。
欧州においても、現在ドイツおよびオーストリアで自社販売しているアルガトロバン(選択的抗トロンビン剤)の販売拡大に加え、コレバインとMP-146の展開により主要国での事業基盤を構築し、その後自販地域を拡大していく方針です。
6.新たな事業機会への挑戦
医療の変化に対応し、新たな事業機会に積極的に挑戦すべく、「ジェネリック医薬品事業」への参入と「個別化医療」の検討を推進していきます。
(1)ジェネリック医薬品事業
市場で培ってきた田辺三菱製薬のブランド力と事業基盤を有効に活用し、患者さんおよび医療関係者が安心して使用できる「リライアブル・ジェネリック」を提供することで、ジェネリック医薬品の普及に貢献していきます。
2008年度には、ジェネリック医薬品の販売子会社を設立して市場参入し、代替処方やDPCといった医療制度改革に対応した販売体制の構築をはかります。さらに、早期に製品ラインナップを拡充していくことで、2010年度には、売上高100億円以上をめざします。
(2)個別化医療
個々人の遺伝子情報等に基づいて最も効果的な医薬品を選択し治療を行う「個別化医療」への取り組みが指向されるなか、最適な治療法選択のための診断検査技術、遺伝子情報に基づいて医薬品を開発するゲノム創薬など、診断検査と医薬品開発を融合した新たな技術が求められています。
田辺三菱製薬は、三菱ケミカルホールディングスのヘルスケアグループ各社が培ってきた事業プラットフォームを活用し、疾患治療に必須とされるターゲッテドメディスンの品揃えをはかるなど、将来的に個別化医療におけるプレゼンスの確立をめざします。
7.合併後の資本金
合併後の田辺三菱製薬の機動的な財務諸施策を実現するために、三菱ウェルファーマは9月下旬に資本金及び資本準備金を減少させ、その他資本剰余金に振り替える手続きを行い、田辺製薬は、これらの手続き後の三菱ウェルファーマの資本金等を引き継ぐこととしています。これにより、合併後の田辺三菱製薬の資本金は500億円となる予定です。
以 上