ルネサステクノロジ、民生・産業機器向け16ビットマイコン32品種を製品化
16ビット高性能CPUコア「M16C/60」を搭載し機能/性能を向上したフラッシュメモリ内蔵マイコン「M16C/64グループ」「M16C/65グループ」32品種を製品化
- 最大768KBのフラッシュメモリを内蔵、
システムコスト削減に貢献できる周辺機能を搭載し、当社従来品を最大約1.3倍に高速化 -
株式会社ルネサス テクノロジ(本社:東京都千代田区、会長&CEO 伊藤 達)は、このたび「M16Cファミリ」(注1)における16ビットマイコン「M16C/60シリーズ」のラインナップ強化として、カーオーディオやホームオーディオ等の民生機器や産業機器向けに「M16C/64グループ」12品種、「M16C/65グループ」20品種の合計32品種を製品化しました。「M16C/64グループ」は2007年7月から、「M16C/65グループ」は2007年末から、サンプル出荷を開始します。
本製品は当社既存「M16C/62Pグループ」の機能と性能を向上させシステムコスト削減に貢献できる周辺機能を搭載した製品であり、従来の「M16C/60シリーズ」と互換性があるため、システムの機能拡張やバージョンアップにも柔軟な対応ができます。加えて、少ピン品、USB搭載品、1.8V対応品を今後追加する計画です。このラインアップ強化によりPC、OA、産業、民生分野の大半の機器に最適な製品を提供します。
特長は以下のとおりです。
(1)128K~768Kバイトのフラッシュメモリを内蔵した豊富な品揃えにより、市場への応用製品投入期間短縮を実現
両グループの全製品にフラッシュメモリを内蔵しています。フラッシュメモリを内蔵することで基板実装後のプログラム書き換えが可能になることから、市場への応用製品投入を短縮できます。「M16C/64グループ」は128K、256K、512Kバイトの3種類のフラッシュメモリ容量を内蔵した100ピンパッケージ品です。「M16C/65グループ」は128K、256K、512K、768Kバイトの4種類のフラッシュメモリ容量を内蔵し、100ピンと128ピンパッケージ品を揃えました。また、「M16C/65グループ」では今後、384Kバイト内蔵品、640Kバイト内蔵品、80ピンパッケージ品を追加する予定です。
(2)高精度を実現し、CPUと同じ電圧範囲で動作可能な高速オンチップオシレータやパワーオンリセット機能を内蔵し、システムコスト削減に貢献
両グループは当社従来品の周辺機能にシリアルI/OやDMAコントローラのチャネル数を増加し、周辺機能を強化しました。さらに、「M16C/65グループ」はパワーオンリセット機能や±1.0%以下の高精度を実現し、CPUの動作電圧2.7~5.5Vで動作可能なオンチップオシレータを搭載しました。これにより、リセットICや発振子などの外付け部品が削減でき、機器の小型化、低コスト化に貢献します。加えて、従来品では簡易I2C-bus機能を搭載していましたが、本製品ではソフトウェアの設定負荷が少ないハードウェアマルチマスタI2C-busと1秒から1週間までカウントできるリアルタイムクロックを追加しました。
(3)当社従来製品から最大約1.3倍高速化、動作電圧範囲拡大、高い互換性により機器の高性能化を容易に実現
当社従来品「M16C/62Pグループ」の24MHz、3.0V~5.5V動作に比べ、「M16C/65グループ」は最大動作周波数を最大約1.3倍の32MHzに高速化し、2.7V~5.5Vと動作電圧範囲の下限を拡大しました。一方「M16C/64グループ」でも動作電圧の下限を拡大し25MHz、2.7V~5.5Vで動作可能です。さらに従来品とピン配置互換、周辺機能上位互換を維持しています。これにより、容易に機器の高性能化を実現できます。
<製品化の背景>
「M16Cファミリ」は、高信頼度設計で開発されたマイコンです。低不要輻射ノイズや高ノイズ耐性、誤動作対策やセキュリティ機能に定評があり、また低消費電力、高いROMコード効率でも高い評価を受けています。その中でも16ビット高性能CPUコアを搭載した「M16C/60シリーズ」は、PC、OA、産業、民生分野の大半の機器に幅広く採用されています。
当社は、これまで機器の高性能化、高機能化のニーズに対応する製品を数多く開発し、市場に投入しています。しかし、更なるニーズの一つとして、カーオーディオやホームオーディオ等の民生分野では、既存のハードウェア、ソフトウェアを継承しながら、かつ機能や性能の向上があります。そこで、今回「M16C/60シリーズ」のラインアップ強化として、既存の資産を継承でき、機能や性能の向上を図った「M16C/64グループ」「M16C/65グループ」を製品化しました。
<製品について>
「M16C/64グループ」「M16C/65グループ」は16ビット高性能CPUコア「M16C/60」を搭載しており、既存システムのプログラムが流用可能です。最大動作周波数は「M16C/64グループ」は25MHz、「M16C/65グループ」は32MHzで、高速動作が可能です。動作電圧は両グループともに2.7V~5.5Vです。さらに、高信頼度マイコンとして定評のある「M16Cファミリ」の特長を継承し、多くの誤動作対策設計による高い安全性や低不要輻射ノイズ、高ノイズ耐性を実現しています。
両グループにはタイマやシリアルI/O、A/Dコンバータ、DMAコントローラなど豊富な周辺機能を搭載しています。特に「M16C/65グループ」は、これらの機能以外に、パワーオンリセット機能や±1.0%以下の高精度を実現しマイコンの動作電圧2.7~5.5Vで動作可能なオンチップオシレータを搭載しました。これにより、リセットICや発振子などの外付け部品が削減可能です。
従来は、マスクROM内蔵製品をラインアップしていましたが、市場から応用製品開発期間をより短縮できるフラッシュメモリ内蔵製品の要望が強いため、両グループともにフラッシュメモリ内蔵品のみラインアップとしました。
内蔵するフラッシュメモリ容量は、「M16C/64グループ」では、128K、256K、512Kバイトの3種類、「M16C/65グループ」では128K、256K、512K、768Kバイトの4種類です。
両グループともにデータフラッシュ(注2)領域を4Kバイト×2ブロック設けています。
パッケージは、「M16C/64グループ」と「M16C/65グループ」ともに100ピンQFP(14mm×20mm)、100ピンLQFP(14mm×14mm)の小型パッケージを用意しています。「M16C/65グループ」では128ピンLQFP(14mm×20mm)も用意しています。
動作温度範囲は一般向け(-20~85℃)、広温度範囲向け(-40~85℃)を揃えています。これらの豊富なラインアップによりユーザは機器に最適な製品の選択が可能となります。
開発環境としては、フラッシュプログラマとしても使用可能な新オンチップデバッギングエミュレータ「E8a」を用意しています。また、低価格化を図った新フルスペックエミュレータも開発中です。
今後も、市場ニーズに対応したパッケージや機能、性能を最適化した製品展開を図り、ユーザの要求に応える製品を提供していきます。
■注記
(注1)M16Cファミリ:
制御系CISCマイコン(マイクロコントローラ)で、M16CシリーズとM32Cシリーズによる16ビットから32ビットまでの多彩な製品ラインアップがある。高効率C言語対応、優れたノイズ特性、低消費電力、豊富な内蔵周辺機能などを特長とする。同一アーキテクチャで、ピン配置互換、周辺機能上位互換を保持したローエンドからハイエンドまでのシリーズ展開により、自動車分野、産業分野、民生分野などの幅広い応用分野に対応している。
(注2)データフラッシュ:
当社独自のもので、通常はソフトウェア格納用として使用されるフラッシュメモリとは別に、主にデータ格納用として使用するフラッシュメモリ。
* その他記載の製品名、会社名、ブランドは、それぞれの所有者に帰属します。
■応用機器例
民生機器、産業機器、通信機器等
■価格
※ 関連資料参照
(※補足資料あり)