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ニュースリリースのリリースコンテナ第一倉庫

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2024'11.25.Mon
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2007'06.08.Fri

新日鉄、耐熱性などに優れた100mm口径炭化ケイ素(SiC)単結晶ウェーハを開発

「高品質100mm 口径炭化ケイ素(SiC)単結晶ウェーハ」の開発


 新日本製鐵株式會社(社長:三村明夫)は、同社技術開発本部先端技術研究所において、100mm口径炭化ケイ素(*1)(以下、SiC)単結晶ウェーハの世界最高レベルの低欠陥化(マイクロパイプ密度(*2):1個/cm2以下、マイクロパイプフリー領域(*3):90%以上)に成功しました。
 SiC単結晶ウェーハは、現在半導体デバイスの基板材料として用いられているシリコンウェーハに比べ、耐熱性・耐電圧性に優れ、電力損失も数十分の一から十分の一に抑えられるため、次世代の半導体材料として、高性能・省電力のインバータ機器、家庭電化製品用パワーモジュール、電気自動車用パワー半導体素子(*4)等への利用が進み、今後大きな市場に拡大していくことが期待されています。
 SiC単結晶ウェーハは、経済産業省が策定した「新・国家エネルギー戦略」においても、次世代省エネデバイス用材料として取り上げられており、今後SiCを用いたパワー半導体素子の実用化が進むことにより、各分野において大きな省エネ効果が期待されるとしています。
 このSiC単結晶ウェーハは、通常、昇華再結晶法と呼ばれる結晶成長法により製造されます。この方法では、高温(摂氏2400度以上)のルツボ中で、SiC粉末原料から昇華させた蒸気を、種結晶上に再結晶化させることにより結晶成長を行いますが、超高温での結晶成長であるために、プロセス制御が難しく、これまで大口径結晶成長時に結晶欠陥が多く発生してしまうという問題がありました。このため、現在市販されている高品質ウェーハは2~3インチ口径のものに限定され、デバイスの量産に適する100mm口径の高品質SiC単結晶ウェーハは市場において希求されていました。特にSiC単結晶中に存在するマイクロパイプと呼ばれる結晶欠陥は、デバイスにとって致命的な欠陥となるため、その極低密度化(1個/cm2以下)はSiCパワー半導体素子の実用化に向けて喫緊の課題とされていました。
 今回、当社は計算機シミュレーション技術をベースに、独自のルツボ構造と結晶成長時の温度分布や昇華蒸気の物質移動等のプロセス制御の最適化によって、従来問題となっていた100mm口径結晶成長時の欠陥発生を大幅に抑制することに成功し、マイクロパイプ欠陥密度が1個/cm2以下と、極めて高品質な100mm口径SiC単結晶ウェーハを実現しました。
 今後、当社では、産業機器用インバータや、エアコン等の家電製品など、エネルギーの効率化が求められる分野でまず実用化をはかっていく予定です。また、今回の成果が、素子製造メーカーでのSiC パワー半導体素子開発を加速するものと強く期待しております。

備考)なお、本開発成果については、6月19日に大阪市で開かれるSEMI FORUM JAPAN 2007「パワーデバイスセミナー-実用化に向かう革新的パワーエレクトロニクスデバイス-」で発表予定です。


<用語解説>

(*1)炭化ケイ素
 炭化ケイ素(SiC)とは、シリコン(Si)と炭素(C)が1対1の組成比で構成された化合物半導体材料である。絶縁破壊電界強度が大きい(シリコンの約10倍)、熱伝導率が高い(同約3倍)等の特徴を有する。

(*2) マイクロパイプ、マイクロパイプ密度
 マイクロパイプ欠陥とは、直径1~3μm程度の中空貫通欠陥。通電不良の原因となり、デバイス、特にパワー半導体素子にとっては致命的な欠陥である。マイクロパイプ密度とはウェーハ内のマイクロパイプ欠陥の密度のこと。

(*3) マイクロパイプフリー領域
 マイクロパイプ欠陥が全く存在しないウェーハ領域。マイクロパイプ欠陥は、ウェーハ面内に均一に分布しておらず、特定の部位に集中して存在する。その結果、マイクロパイプ密度の低いSiC単結晶ウェーハでは、大きなマイクロパイプフリー領域を有することになる。

(*4) パワー半導体素子
 半導体素子とはトランジスタや集積回路(IC、LSI)に代表される固体機能素子(デバイス)のこと。パワー半導体素子は、電力機器向けの半導体素子である。直流-交流変換、周波数変換等の電力の変換や制御用に使用される。通常の半導体素子に比べて、高耐圧化、大電流化されているのが特徴である。整流ダイオード、パワーMOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などが知られている。SiCパワー半導体素子では、従来用いられてきたSiパワー素子に比べ、高耐圧化、高周波数化が可能なため、使用される電力機器の省エネルギー化、小型化が実現される。

以上

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