マンダム、製品使用時に人が感じる「清涼感」について適切に評価する技術を確立
マンダムが清涼感の官能評価方法を確立
人が感じる“心地よい清涼感”の研究と応用
~ただ、クールだけでもない、さわやかだけでもない~
株式会社マンダム(本社:大阪市 社長執行役員:西村 元延 以下マンダム)は、化粧品(医薬部外品)の機能とともに使用感を重視し、人の「快と感じるさまざまな要素」について研究しています。その研究の一環として、製品使用時の「清涼感」について適切に評価する技術を独自に確立しました。「清涼感」とは、人が「冷感」と「爽快感」を同時に感じるときに快感と感じるとマンダムでは定義していますが、清涼成分と他の配合成分とのバランスにより、痛みや灼熱感などの不快感を伴うことがあります。したがって、清涼感の適切な評価をすることが、さらに心地よい清涼感を与える製品開発に反映されることになります。
なお、この研究成果について、本日開催される「第60 回日本化粧品技術者会(SCCJ)研究討論会(大阪国際交流センター)」において発表致します。
1.研究背景・・・清涼感と不快感は紙一重。
近年続く猛暑の影響や男性の清潔意識の高まりから、男性のデオドラント剤使用率は若年層を中心に年々増加傾向にあります。デオドラント剤に求める機能について、特に清涼感への期待が高く、さらに、男性特有の傾向として清涼感の持続が求められていることが明らかとなりました(2005 年マンダム調査)。しかし、清涼感の強さが求められる反面、灼熱感やヒリヒリするといった不快感につながることが知られており、快適な清涼感を持続させるということは容易でありませんでした。一方、清涼感の評価方法については、官能評価による定性的な評価によって差異の識別は可能でしたが、個人の感受性によるばらつきが生じ、的確な評価とはいえません。また、官能的な評価を、定量的かつ精度よく評価することも困難でした。
そこで、マンダムでは、清涼感を正確に評価できる方法の研究と、痛みなどの不快感につながらない快適な清涼感の処方研究を行ってきました。
2.清涼感の評価方法・・・耳の下部(首)がもっとも官能評価に適した部位である。
従来は、腕や腋を用いて清涼感評価を行ってきました。この方法では、実使用状態に近い反面、評価部位や人によるばらつきが大きく、正確に評価できているとは言えませんでした。そこで、我々はより正確に清涼感が評価できる方法を見出すべく、男性被験者のべ36 名に対して、腕、頬、腋下および耳下部において、代表的な清涼成分であるl-メントールを配合したモデル化粧水の評価を行いました(図1 参照)。
※図1は、添付資料をご参照ください。
前腕内側部や腋下部では、感度が低く、l-メントール配合量の違いによる清涼感の差異を識別できませんでした。また、頬下部においては、感度は高いと考えられますがサンプル間の差異を識別できず、被験者の髭剃りの影響や、目に対する刺激の影響が懸念されるため、評価部位としては適切ではないと判断しました。一方、耳下(首)の場合は、l-メントール配合量の異なる2種類のサンプルの清涼感の差異を有意に識別でき、以上のことから、精度よく評価可能であると考えられる耳下(首)がもっとも適切な評価部位であることを見出しました(図2参照)。これは、耳下(首)は清涼感の感受性の高い顔面に近く、敏感な部位であるためであると考えられます。
※図2は、添付資料をご参照ください。
3.製品評価・・・“快適な清涼感”の範囲は狭い!クール感が強ければよいというものではない。
l-メントールを0.5%配合したモデル化粧水では、被験者全体の30%以上が痛みや灼熱感といった不快感を感じておりました。しかし、l-メントール0.3%配合モデル化粧水で不快感を感じた被験者は5%以下でした。
この時、l-メントール0.5%配合モデル化粧水の清涼感スコアは3 から4 の間でしたが、0.3%の場合には清涼感スコア3 以下で推移していました(図3)。
*図3は、添付資料をご参照ください。
これらの結果から、適度であれば心地よいと感じる清涼感も、清涼感スコア3 を超える場合には強すぎて不快感に繋がることが明らかとなりました。これらのことから、我々が確立した清涼感評価法において、清涼感スコア1 から3 の領域を清涼感の“快適ゾーン”であると定義しました。しかし、単純に等の清涼成分の配合量のみで、清涼感をコントロールすることは困難であり、清涼成分だけでなく他の配合成分も含めた処方検討による清涼感制御技術が非常に重要となります。
これらの結果をもとに、研究開発を進めた結果、“快適ゾーン”内を長時間キープすることができるギャツビー アイスデオドラントスプレーを開発することができました(図4)。
*図4は、添付資料をご参照ください。
マンダムでは、今回開発したアイスデオドラントスプレーだけでなく、今後もこの研究を続けていくことによって、痛みや灼熱感などの不快感を伴わず、心地よい清涼感を長時間持続できる製品を上市していく予定です。