小野薬品と米メダレックス、完全ヒト型抗PD-1抗体「ONO-4538/MDX-1106」のIND申請が承認を取得
完全ヒト型抗PD-1抗体「ONO-4538/MDX-1106」のIND申請が承認される
小野薬品工業株式会社(本社:大阪市、社長:是金俊治)とメダレックス社(本社:米国ニュージャージー州、社長兼CEO:Donald L.Drakeman)は、昨年5月に締結した共同研究契約に基づき創製した完全ヒト型抗PD-1抗体「ONO-4538/MDX-1106」について、メダレックス社より米国食品医薬品局(FDA)に対し、癌の治療を目的とし、新薬治験申請(IND申請)を行っておりましたが、今般、本申請が承認されましたので、お知らせいたします。
今回IND申請が承認されたことに伴い、メダレックス社は米国においてONO-4538/MDX-1106の第I相試験を開始します。本試験は、再発または治療に抵抗性を示す癌患者を対象としたもので、ONO-4538/MDX-1106の薬物動態と安全性を評価することを目的としています。
PD-1は、リンパ球の表面にある受容体の一種で、生体において異物を攻撃する免疫機能である活性化したリンパ球を沈静化させるシステム(負のシグナル)に関与しています。癌細胞やある種のウイルスは、このシステムを利用して免疫反応(生体にとって不利益な病原体の侵入や発生した癌細胞を排除しようとする生命維持のための生体機能)から逃れているという研究成績が報告されています。ONO-4538/MDX-1106は、リンパ球を沈静化させるPD-1の働きを抑制することで、癌やウイルスを異物と認識してこれを排除する免疫反応を増進するものと期待しております。
メダレックス社の社長兼CEOのDonald L. Drakeman氏は「ONO-4538/MDX-1106は、患者さんの免疫応答を増強して、癌やウイルスを排除できるように設計された、新しいクラスの免疫賦活剤になり得ると期待しています。
私たちは小野薬品との共同研究の進行には満足しており、癌と戦うための全く新しい、且つ、効果的なアプローチとしてONO-4538/MDX-1106を開発することを楽しみしています。」と述べています。
小野薬品の取締役開発本部長の松岡昌三氏は「ONO-4538/MDX-1106は全く新しい作用メカニズムを有する薬剤で、これまでの化学療法とは全く異なり生体自身の持つ免疫機構により腫瘍の増殖を抑制し、有効な治療法のなかった癌などにも効果を発揮することが期待されます。小野薬品とメダレックス社は今後も協力して、全世界の患者さんのために本剤の開発を早期に進めていきます。」と述べています。
以上
(参考)
メダレックス社について
メダレックス社は、癌、炎症、自己免疫疾患および感染症といった疾患を治療するため、完全ヒト型抗体医薬品候補の創製、開発、商業化することに焦点を当てたバイオ医薬品企業です。メダレックス社のテクノロジーを活用し創製された33の医薬品候補は、現在、臨床試験中あるいは、試験を実施するためのIND申請が行われており、最も開発の進んでいる6つの医薬品候補は第III相臨床試験を実施中です。
なお、メダレックス社の詳細な情報に関しては、www.medarex.com のウェブサイトをご参照下さい。
