塩野義製薬など、新規HIVインテグレース阻害薬の最初の臨床試験を完了
グラクソ・スミスクラインと塩野義製薬が新規HIVインテグレース阻害薬の最初の臨床試験を完了
本日、グラクソ・スミスクライン(GSK)と塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、社長:塩野 元三)は、HIV感染症治療薬として開発中の新規HIVインテグレース阻害薬(364735)のヒトにおける最初の臨床試験を完了したと発表致しました。インテグレース阻害薬は、ウイルスがヒト免疫細胞の遺伝関連物質と結合するのを防ぎウイルスの増殖を抑制する新しいタイプの抗HIV薬です。364735は、現在、GSKと塩野義製薬により設立された合弁会社によって開発されています。
GSKの感染症領域治療薬開発センターのシニアバイスプレジデントのリーン・マークス博士は、以下のように述べています。「ターゲット、耐性プロファイルが異なり、安全性や忍容性が改善された新しい抗レトロウイルス剤を開発することは、未治療患者にも既治療患者にも求められており、特に多剤耐性HIV感染症患者には強く求められています。そしてインテグレース阻害薬がこれらの医療的な必要性を満たす可能性が最近明らかにされてきました。GSKは、そのようなことを実現するため、新しいHIV感染症/AIDS治療薬の創出に日々取り組んでいます。」
塩野義製薬の手代木功取締役専務執行役員医薬研究開発本部長は、以下のように述べています。「インテグレースは、HIV感染症/AIDSに対する新しい治療薬の研究において今後も重要なターゲットであり、塩野義製薬はこの領域における新薬候補の発見、開発に取り組み続けます。364735の更なる開発の進展に期待しています。」
先般、健常被験者における安全性と体内動態を検証する為、364735の第1相試験が米国内で実施されました。この試験の結果は、2007年に開催予定の関係学会で公表される予定です。この試験データにより、第2相臨床試験における用量設定が可能となりました。第2相臨床試験はHIV感染症患者において2006年後半に開始される予定です。
インテグレースはヒトにはないウイルス独自の酵素で、薬剤ターゲットとして注目されています。新しい治療薬は、薬剤耐性や副作用のために使用可能な他治療薬が無くなりつつある患者にとって、とても必要とされています。これらの患者には薬剤耐性ウイルスに対しても強い抗ウイルス効果を発揮する複数の治療薬を併用してウイルスの増殖を押さえ込むことが必要であり、しかも患者の日常生活の質を下げない安全性の向上した新薬、既存の薬剤と相加的あるいは相乗的に作用する新規メカニズムを有する薬剤が求められています。