JFEスチール、自動車エキゾーストマニホールド用超高耐熱ステンレス鋼を開発
自動車エキゾーストマニホールド用超高耐熱ステンレス鋼の開発
当社は、自動車の燃費向上に大きく貢献することにより、CO2や有害ガスの排出量を削減し地球環境保全に寄与する、自動車エキゾーストマニホールド(エキマニ)(*1)用の超高耐熱フェライト系ステンレス鋼を開発し、サンプルの提供を開始いたしました。
自動車のエンジンから排出される排ガスの温度は、自動車の燃費向上に伴い高温化しています。このため、エキマニ用材料には、より高温での耐久性に優れた素材として、耐酸化性と耐熱疲労特性が高いステンレス鋼が使用されています。特にフェライト系ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼に比べて、(1)熱膨張が30%以上も小さく、耐熱疲労特性に優れていること(*2)、(2)高温でのスケール剥離が少ないこと、(3)熱伝導特性に優れ触媒に送り込まれる排ガス温度の低下が少なく排ガス浄化に有利なことから、エキマニ用材料として現在広く使用されています。
エキマニ用フェライト系ステンレス鋼の中でこれまで最も耐熱温度が高い製品は、エキマニ用SUS444と、それと同等の高耐熱疲労性を持つ当社独自開発の『JFE-MH1』でした。当社は、熱疲労特性向上に関する研究開発を続け、エキマニ用SUS444や『JFE-MH1』よりも耐熱温度を50℃以上高めた熱疲労特性を持つ新しいエキマニ用フェライト系ステンレス鋼の開発に成功しました。特長は、以下の通りです。
(1)高温強化元素の添加などにより、エキマニ用SUS444に比べ耐熱温度を50℃以上向上。
(2)耐熱性向上を目的とした高合金化により低下する常温での加工性を、高純度化技術と最適製造技術によりエキマニ用SUS444と同等以上に改善することで、部品加工時の制約を解消。
本開発鋼は、より高温の使用環境に耐えられる自動車エキマニ用材料としてのみならず、従来環境でも、薄肉化による軽量化を実現する素材としてその優れた特性を発揮いたします(*3)。また、触媒コンバータのケース、燃料電池の熱交換器部材など、非常に厳しい耐熱性、耐熱疲労特性が要求される用途への適用も期待されます。
当社は、今後も地球環境保全に貢献する素材の開発・販売に取り組んでまいります。
【注】
(*1)エキゾーストマニホールド(エキマニ):
自動車のエンジンには複数の気筒があり(4気筒や6気筒など)、その複数気筒から排出されるガスを1ヶ所にまとめるための部品(排気管)。エンジン直後にあり高温の排出ガスにさらされる部品であるため、材料には高温での耐久性が求められる。
(*2)エキマニは高温の排ガスで加熱されると熱膨張により伸びようとするが、エンジンとエキマニ集合部に固定されているため、熱膨張が大きいと変形量が大きくなる。そのため、エキマニの加熱冷却により膨張収縮を繰り返すと、割れる可能性が高くなる。
(*3)従来の使用温度における高温強度が、汎用エキマニ用材料の『JFE429EX』やType429、および高耐熱エキマニ用材料である『JFE-MH1』やエキマニ用SUS444より高いという特性を利用。
図1 新開発の超高耐熱フェライト系ステンレス鋼の加工性と耐熱性
※添付資料参照
関連情報 (製品情報> 自動車)
http://www.jfe-steel.co.jp/products/car/index.html
関連情報 (製品情報> ステンレス)
http://www.jfe-steel.co.jp/products/stainless/index.html