アナログ・デバイセズ、自動車のバッテリ監視用高精度バッテリ・センサー「ADuC703x」を発表
アナログ・デバイセズ、自動車のバッテリ監視用高精度バッテリ・センサー「ADuC703x」を発表
自動車のバッテリの状態を監視し、バッテリ寿命を延長し、クリティカルな機能の完璧な作動を保証する高集積ミックスド・シグナルIC
アナログ・デバイセズ社(ニューヨーク証券取引所:ADI)は、本日、自動車のバッテリ監視にブレークスルーをもたらす高集積高精度バッテリ・モニタ・ファミリ「ADuC703x」を発表しました。自動車に搭載される電子機器は増え続けていますが、それに伴い自動車の電子回路故障の60%がバッテリの故障または放電による(アルゲマイネル・ドイッチェル・オートモービル・クラブ調べ)という問題も起きており、バッテリ容量の連続的な監視と、車の電気システムへの電力配分の高度な管理が求められています。ADuC703xファミリは、ADIの高精度アナログ・マイクロコントローラ技術により、バッテリの電圧、電流、および温度を高精度に測定し、これらの変数を用いてバッテリの充電状態(state-of-charge)と劣化状態(state-of-health)を監視することが可能です。そしてこれらのメトリックスを用いて、エンジン起動のようなクリティカル機能を優先しつつ、バッテリの充電と放電プロファイルを制御し、バッテリの信頼性の向上とバッテリ寿命の延長を実現します。
ドイツのBMW社の担当者は、次のように述べています。「当社は、高精度なアナログ機能とデジタル回路技術とを組み合わせたアナログ・デバイセズ社のミックスド・シグナルICの設計能力を評価し、インテリジェント・バッテリ・センシング用の集積ソリューションとして採用することを決定しました。多数の個別部品を用いると、コストが掛かり、精度も劣ります。ADIの高集積高精度バッテリ・センサー・ファミリは、これを置き換える、ソリューションです。ADuC703xファミリにより自動車システムの設計者は、バッテリ管理の大幅な改善が可能となり、クリティカル・タスクが常に実行されていることを保証し、バッテリ切れによる機能停止をなくし、そしてバッテリ寿命を延ばすことができるようになります」
シングル・チップADuC703xは、車のバッテリから直接駆動されるデバイスで、最大3個のA/Dコンバータ(ADC)、ARM7マイクロコントローラ、ローカル・インターコネクト・ネットワーク(LIN)トランシーバ、組込みフラッシュメモリ、広範囲にわたる電流測定用のオンチップPGA(プログラマブル・ゲイン・アンプ)、バッテリ電圧直接測定用のオンチップ減衰抵抗、そして外付けまたはオンチップ温度センシング機能を集積しています。このような高集積を特長とするADuC703xは、スタンドアロンのプロセッサと、LINトランシーバ、ロー・ドロップアウト・レギュレータ(LDO)、およびアナログ・フロントエンド(AFE)で構成される個別部品設計方式を置き換える、コスト効率が良く、省スペースで、シンプルな設計方式です。このデバイスは、バッテリの負極に直接配置することができるため、全体的なバッテリ管理システムの設計を簡素化するとともに、大幅なコスト節減と省スペース化というメリットを提供します。
アナログ・デバイセズ社高精度信号処理部門のプロダクト・ライン・ディレクター、マイク・ブリッチフィールド(Mike Britchfield)は、次のように述べています。「最近の車では、新しいセキュリティ・システム、エンターテインメント、ナビゲーション、パワー・トレイン・システムなど充実した装備がされています。その最新システムの基盤となっているのは、電子サブシステムの高度化です。これらの新しく魅力的な機能により、自動車の性能が改善されますが、どの機能においても優れたバッテリ管理機能によりバッテリの信頼性向上と長寿命化を図る必要があります。高集積なADuC703xファミリは、シングル・チップでこれらのニーズに効率よく適合し、既存のパッチワーク・ソリューションに比べ、使い易くて、高性能で、コスト効率も良いソリューションとなっています」
ADuC703x高精度バッテリ・モニタ・ファミリについて
ADuC703xファミリは、エンジンを切った状態でも、バッテリ状態の正確で連続的な測定を実現するだけでなく、ローパワー・モードで300μA、ノーマル動作モードでも10MHzで10mA未満という低消費電力になっています。デバイスの16ビット・シグマ・デルタADCは、バッテリ電圧(直接接続、外付けの減衰回路は不要)を3.5Vから18Vの範囲で、バッテリ電流を1mA未満から1500Aまでの範囲で測定します。ADuC703xでは、オンチップPGAと温度センサー入力が組み合わされているので、システム・インテグレータは、モニタ・チップのフラッシュメモリに組み込まれている独自のアルゴリズムを用いて、バッテリのSOCおよびSOHを決定できます。その情報は、オンチップLIN 2.0(スレーブ機器用)規格準拠のトランシーバを経由して、ECU(電子制御装置)に伝送されます。
新しいバッテリ・モニタ・ファミリには、電圧と温度を監視するデュアルADCバージョン(「ADuC7030」「ADuC7033」)と、電圧と温度を同時に監視することができる3個のADCを備えたバージョン(「ADuC7032」)があります。ADCはすべて最大8kHzのコンバージョン・レートです。電流測定用のADCは、完全差動バッファ付き入力と、パワーダウン・モードでバッテリ電流を個別に監視する機能と、低コンバージョン・レートにおいて60nV rmsのノイズ性能を備えています。オンチップFIFO(ADuC7032のみ)は、コアがビジー状態の時に、複数の電圧および電流コンバージョン・データを格納することができます。
ADuC703xシリーズのコアとなる処理エンジンはARM7TDMIで、コア・クロック・レートは最高20MHzで動作します。JTAG(ジョイント・テスト・アクション・グループ)またはLINインターフェース経由で、インサーキット・プログラミングすることができ、フラッシュメモリの記憶保持時間は85℃で20年です。これら新しいデバイスは最大電源電圧33Vをサポートし、すべての仕様は3.5Vから18Vの範囲にわたって適用されます。
供給と価格について
ADuC703xファミリのデバイスはすべて現在サンプル出荷中で、量産は2006年11月の予定です。動作温度範囲は-40℃から+125℃で、すべての仕様が+115℃まで適用されます。各デバイスの価格は、以下を参照ください。(米国における参考価格です)
(※参考表あり)
詳細情報に関しては、ウェブサイト http://www.analog.com/pr/ADuC7030 をご覧下さい。
アナログ・デバイセズについて
アナログ・デバイセズ(ADI)は、半導体市場において40年という長い間成長を続けてきましたが、その成長を支えてきたのが技術革新、高性能、および卓越した技術力を受け継いできた企業文化です。ADIは、データ・コンバージョンおよびシグナル・コンディショニング技術の世界的リーディング企業として、業界で高い評価を得ており、実質的にあらゆる種類の電子機器分野を網羅する世界各国の60,000社以上の顧客にサービスを提供しています。アナログおよびデジタル信号処理アプリケーションに用いられる高性能集積回路の世界的なリーディング・メーカーとして、40年以上の歴史を誇るADIは、本社をマサチューセッツ州ノーウッドに構え、従業員数は8,900名です。マサチューセッツ州、カリフォルニア州、ノース・キャロライナ州やアイルランド、フィリピンに製造拠点があります。アナログ・デバイセズの普通株はニューヨーク証券取引所に上場しており、ADIはS&P 500インデックスに挙げられています。http://www.analog.com
- 製品に関する読者からのお問い合わせ先 -
アナログ・デバイセズ株式会社
techsupport.japan@analog.com