J.D.パワー、「2006年日本軽自動車初期品質調査」結果を発表
ダイハツ・ムーヴラテと三菱i(アイ)が、軽自動車初期品質調査で第1位
2006年日本軽自動車初期品質調査(IQS)
CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D.パワー アジア・パシフィック(本社:東京都港区、代表取締役社長:蓮見南海男、略称:J.D.パワー)は、2006年日本軽自動車初期品質調査(Initial Quality Study、略称IQS)の結果を発表した。
当調査は、軽自動車の初期品質に対するユーザーの不満に関し、性能分野別に9つのカテゴリーに分類される133の詳細項目について不具合指摘件数を調べるものである(単位はPP100:Problems Per 100 Vehicles、数値が小さいほど不満指摘が少なく、品質が良いことを示す)。9つのカテゴリーは、「走行性能分野」、「装備品分野」、「シート分野」、「オーディオシステム分野」、「空調関係分野」、「外装分野」、「内装分野」、「トランスミッション分野」、「エンジン分野」である。
6回目となった今年は2006年7月に郵送調査を実施し、新車購入後2~7ヶ月を経過して発生した不具合について、2005年12 月から2006年5月の間に軽自動車を新車で購入した3,164 人から回答を得た。調査対象となった車両は5メーカー、35 モデルである。
◆業界全体で大幅な改善が進む◆
今年の総合IQS スコアの業界平均は91PP100 だった。昨年の99PP100 から8ポイント減少しており、業界全体では昨年に引き続き、大幅な改善が見られた。分野別に見ると、「エンジン分野」(15.3PP100:昨年比-4.3)と「装備品分野」(9.2PP100:昨年比-2.6)において不具合指摘件数が大幅に減少している。
不具合指摘件数が多かった分野は「走行性能分野」と「エンジン分野」で、指摘件数全体に占める割合は合わせて40%となっている。これは昨年の42%より減少傾向にあるものの、2分野へ不具合指摘が集中する傾向は例年の調査結果と同様である。
詳細項目別に見て最も不具合指摘が多かったのは「エンジンのパワー不足」(6.6PP100:昨年比-3.1)で、以下「ブレーキの異音」(5.4PP100:昨年比+1.4)、「乗り心地が不良/不快」(3.6PP100:昨年比-0.5)、「ラジオの受信不良/不能」(3.5PP100:昨年比+0.4)、「エアコンの効きが悪い」(3.5PP100:昨年比-1.1)の順で多かった。昨年の調査結果でもほぼ同様の項目が上位に挙がっていた。しかし、今年は「エンジンのパワー不足」が昨年より不具合指摘が減少しており、このことは注目すべき点のひとつである。
また、今回の業界全体における不具合指摘件数の減少の一因としては、ダイハツ車の品質の向上が挙げられる。ダイハツ全体の総合IQS スコアは85PP100 で、昨年の112PP100 から大幅に不具合指摘件数を減少させている。昨年よりも不具合指摘件数が減少している項目が多かったことがその一因である。ダイハツ車は調査対象期間に販売された軽自動車の約3割を占めており、業界全体の水準の向上に影響を与えている。
◆ニューモデル・フルチェンジモデルが改善をリード◆
モデル別ランキングでは、ダイハツ・ムーヴラテと三菱i(アイ)が61PP100 で共に首位に立った。第3位は、ホンダ・ゼストと日産・モコ(68PP100)だった。第5位は昨年1位のホンダ・ライフ(72PP100)、第6位はダイハツ・エッセ(73PP100)、第7位はダイハツ・ムーヴ(83PP100)と続き、これらの7モデルが業界平均よりも高い品質水準を達成した。
前回までの調査と同様、今回の調査でもニューモデルおよびフルチェンジモデルの4モデルが業界平均以上にランクインした。これらの4モデルは昨年の1位の総合IQS スコアより優れた結果となっている。この傾向は、以前から軽自動車ユーザーが指摘していた不具合について、メーカー各社が新型車で重点的に取り組んできた成果の現れと考えられる。特にニューモデル/フルチェンジモデルは、従来軽自動車で不具合指摘の多い「走行性能分野」と「エンジン分野」の不具合指摘が少なく、今まで苦手とされていた分野を強みに変えていることがわかった。
乗用車市場の伸び悩みが続く中、軽自動車市場が年々拡大の一途をたどっている。今回の調査から、軽自動車間の品質改善の競争が非常に厳しいものとなっている様子が改めて明らかとなった。その背景には、従来の軽自動車間の競争に加えてコンパクトカークラスを始めとする登録車との競争も激化し、ユーザーが軽自動車の品質に対して期待する領域や視点も変化してきていることが挙げられる。メーカーはユーザーの品質に対する期待を継続的に把握し期待を上回る品質を提供することが必要で、今後もそれが軽自動車市場での競争の重要な鍵となる。
<株式会社J.D.パワー アジア・パシフィックについて>
当社は米国J.D.パワー・アンド・アソシエイツの日本を含むアジア地域でのビジネスの拠点として1990年に設立された。自動車業界を始めコンピューター、通信関連、OA 機器、サービス産業、金融など様々な業界において顧客満足に関する調査やコンサルティングを実施している。ISO9001 およびプライバシーマーク取得。会社概要や提供サービスなどの詳細は当社ウェブサイトhttp://www.jdpower.co.jpまで。
<J.D.パワー・アンド・アソシエイツについて>
ザ・マグロウヒル・カンパニーズの一部門であるJ.D.パワー・アンド・アソシエイツ(本社:米国カリフォルニア州ウェストレイク・ビレッジ)は、マーケティング・リサーチ、生産・販売予測、コンサルティング、教育・トレーニングおよび顧客満足度調査を実施している国際的な情報サービス企業である。数百万人の消費者からの回答をもとに品質や顧客満足度に関する調査を毎年行なっている。ISO9001取得。
<ザ・マグロウヒル・カンパニーズについて>
1888年に設立されたザ・マグロウヒル・カンパニーズは、スタンダード&プアーズ、マグロウヒル・エデュケーション、ビジネスウィーク、J.D.パワー・アンド・アソシエイツなどを通じて金融サービス、教育、ビジネスに関する情報を提供している国際的な情報サービス企業である。世界38 カ国に290 カ所以上の拠点を有し、2005年の売上高は60億ドルにのぼる。詳細はウェブサイトhttp://www.mcgraw-hill.comまで。