沖電気、MPEG-4のエンコードLSIをサンプル出荷
沖電気、MPEG-4 エンコード LSIを製品化
~独自のアルゴリズムによりワンチップ化かつ高画質を実現~
沖電気工業株式会社(社長 篠塚勝正、以下沖電気)は、このたび監視カメラ、ネットワークカメラなどの画像機器向けに、MPEG-4 画像圧縮(エンコード)処理をワンチップでリアルタイムに行うLSI(商品名:ML86410)を開発しました。沖電気独自のアルゴリズムの活用および専用アクセラレータの開発により、高画質を、今までにない低コスト・低消費電力で実現しました。なおサンプルは本日より出荷を開始します。
【開発の背景】
近年のブロードバンドの普及で映像を取り込んだ通信が身近になり、ネットワークカメラを用いた動画配信システムが一般的になってきました。またセキュリティに対する感心の高まりから、倉庫や社屋の監視、個人の留守宅の様子確認などの需要が高まってきています。
しかしながら、これまでの監視カメラ向けの動画像の符号化方式として一般に用いられたMotion-JPEG(注1)は圧縮率が低いためにネットワーク配信をするには画像サイズを小さくする、画質を落とす、あるいはフレームレートを落とすなどの制約がありました。そこで弊社は、動画像符号化の国際標準であるMPEG-4を採用することにより、高圧縮でありながら高画質な映像を実現したMPEG-4エンコードLSIを開発しました。
今までMPEG-4エンコードを実行するには高速CPUやDSPが必要でしたが、本LSIでは専用アクセラレータの開発により、高速CPUや DSPが不要になり、これらの方式に比べて低消費電力と大幅なコストダウンが可能になりました。
更に弊社画像LSIで構成した「MPEG-4ネットワークカメラリファレンスデザイン(注2)」、高性能、高画質なビューワーソフトウェア(MPEG-4デコード)もあわせてご提案可能で、お客様の幅広いご要求にお応えすることができます。
【製品の概要・特徴】
本LSIは、弊社の映像配信サーバ「OKI MediaServer(注3)」で培ってきた独自の高速化技術、高品質化技術をベースに、従来ソフトウェアで実現していたMPEG-4エンコード処理を専用ハードウェアアクセラレータで実現しています。高速かつ高品質の動き探索方式、緻密な符号化データの制御により、動きの激しいシーンや低ビットレート時の画質の低下を防ぎ、高画質な映像を提供いたします。
【今後の展開】
今後弊社は、本LSIをベースに、オーディオエンコーダ、ビデオ/オーディオ多重化機能を内蔵したLSI、MPEG4コーデックLSI、H.264(注4)関連LSIなどの開発により、さまざまなアプリケーションに対応していきます。
このMPEG-4エンコードLSIおよびリファレンスデザイン、ビューワーソフトのデモを2006年11月9日から11日まで六本木ヒルズで開催される「OKI情報通信融合ソリューションフェア2006」(http://www.oki.com/jp/event/sf2006/tenji.html)にて実施します。
MPEG-4ネットワークカメラリファレンスデザインボード写真
(※参考画像あり)
【主な仕様】
・画像符号化方式:MPEG-4 SP/ASP
・対応画像:NTSC@29.97fps、PAL@25fps、VGA/QVGA@30fps
・データフォーマット:輝度信号8ビット、色差信号8ビット(4:2:2)
・インタレース画像対応(NTSC/PAL)
・入力フレームレート変換
・エンコードモード:CBR/VBR
・外部SDRAMインタフェース
・汎用的な8/16ビットホストCPUインタフェース
・電源電圧:3.3V±0.3V(IO)、+1.5V±0.15V(CORE、PLL)
・パッケージ:144ピンプラスチックLQFP
【主なアプリケーション】
・監視カメラ、ネットワークカメラ
・デジタル画像記録機
・PC用ビデオキャプチャカード
・セキュリティシステム
・その他各種産業用画像機器
【販売計画等】
・サンプル出荷時期:2006年10月
・サンプル価格:3,500円 (税別)
・量産出荷予定:2007年3月
・販売予定数:10万個/月
【語句の説明】
(注1)Motion-JPEG
動画像の圧縮方式の一つで、フレーム毎に画像をJPEGにより圧縮したもの。
フレーム間圧縮を行わないためMPEGと比較して同一ビットレートでの圧縮効率は低い。
(注2)MPEG-4ネットワークカメラリファレンスデザイン
MPEG-4ネットワークカメラシステム全体を容易に構成するためのリファレンスデザインで、沖電気のLSIであるML7668(ビデオデコーダ)、ML87V2107(ノイズリダクションFIFO)、ML69Q6201/ML69Q6203(ARM9 MCU)、ML2308(オーディオCODEC)、MD56V62320(SDRAM)を採用したリファレンスボード、デコーダソフトウェア、MCU制御ソフトウェア、ネットワークソフトウェアなどにより構成されている。
(注3)OKI MediaServer
沖電気の汎用ビデオサーバシステムで、代表的なビデオ配信機能を標準的なサービスエレメントとして統合し、ソリューションとして提供する。VOD(ビデオオンデマンド)ライブ配信システム、中継・監視システムをはじめ、映像と音声を活用した多彩なシステムが容易に構築できる。URL:http://www.oki.com/jp/BMC/
(注4)H.264(MPEG-4 AVC)
2003年5月にITU(国際電気通信連合)によって勧告された、動画データの圧縮符号化方式の標準の一つ。ISO(国際標準化機構)によって動画圧縮標準MPEG-4の一部(MPEG-4 Part 10 Advanced Video Coding)としても勧告されている。このため、一般的には「H.264/MPEG-4 AVC」「H.264/AVC」のように両者の呼称を併記する場合が多い。
・記載されている会社名、製品名は一般に各社の商標または登録商標です。
-本リリースに関するお客様からのお問い合わせ先-
シリコンソリューションカンパニー 販売本部企画部 第二チーム
TEL 03-5445-6027 E-mail:semi-salesjp@oki.com