NTTインフラネットなど3社、光ファイバーと無線中継システムを使った地上デジタル放送配信実験に成功
光ファイバと無線中継システムを用いた地上デジタル放送配信実験の成功について
-地上デジタル放送の視聴やブロードバンド通信の利用が光ファイバの敷設ができない地域でも可能に-
エヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社(以下 NTTインフラネット)、京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下 KCCS)、古河電気工業株式会社(以下 古河電工)の3社は、地上デジタル放送信号を光ファイバと無線中継システムを用いてシームレスに伝送できる中継・配信システムの実用化に向けた実験に成功しました。
今回の実験により、光ファイバで伝送された地上デジタル放送信号を光ファイバの敷設が困難な地域や伝送区間でも、高品質のまま無線を使って中継・配信できることを実証しました。
1.背 景
総務省では、2010年までには、全国にブロードバンド環境を普及させるという目標を立てています。また、地上アナログ放送も2011年までに、地上デジタル放送に全面的に切り替える目標を立てています。こうしたデジタル放送とブロードバンド通信の普及には、光ファイバを使った方式が注目されており、全国で光ファイバを使ったFTTHシステムの整備が進んできています。
ところが、山間部や離島では、環境条件の厳しさから光ファイバの構築に著しくコストがかかってしまうといった条件不利地域が多数存在し、それらの問題を解決する手段がありませんでした。
2.実証実験の概要
本実験は、岐阜県防災交流センターで受信した地上デジタル放送信号を、「岐阜情報スーパーハイウェイ※1」を用いて約130km(光ファイバ距離)離れた下呂市まで光信号で伝送するという実験です。伝送された地上デジタル信号は、下呂総合庁舎から無線機(親局)を用いて18G/19GHzの周波数で伝送し、約2.6km先の無線子局で受信します。親局から子局に至るまで河川を2回、大型道路を3回横断しています。無線子局からは、既設の共聴施設の同軸伝送路(光-無線-同軸方式)とFTTH(光-無線-FTTH方式)にそれぞれ接続され、モニタ宅で鮮明な地上デジタル放送を視聴することが可能になりました。
また、IP通信実験では、アクセスシステムとして、FTTH設備および無線LAN(IEEE802.11J+11G)を仮設構築し、FTTH伝送路および無線LANにおいても問題なく伝送できることを確認しました。
本実験では、地上デジタル放送のみでなく、インターネット接続など双方向のIP通信を同時に実現するために、無線リンクを双方向化(18G/19GHzの双方向化)し、データ通信の信号を直接伝送する検証実験も行いました。モニタ宅において、インターネットサービス、IP告知端末サービス、VODサービスを安定して受けられることを確認しました。
実験に使用した無線周波数は、自治体向け割当周波数である18G/19GHz帯を用い、地上デジタル放送波の伝送のほか、IPデータ伝送用信号も多重伝送し、加入者宅では、地上デジタル放送を楽しめるだけでなく、双方向のインターネットサービスも利用できるようになります。
3.各社の役割
(会 社) (役 割)
NTTインフラネット:光ファイバ整備に関するノウハウ提供と、各システムのコーディネート
KCCS :本システムの無線技術の提供
古河電工 :光長距離中継システムと閉域実験網内のFTTHシステム及び地上デジタル放送伝送技術の提供
4.今後の展開
本実験では、無線周波数を18G/19GHzで検証実験をしましたが、現在、23GHz帯周波数において多チャンネル伝送の検討を進めており、2007年春には、それぞれの周波数に対応したシステムの実現が可能になる予定です※2。
デジタルデバイド解消に向けた取り組みは地方自治体でも行われていますが、山間部や離島ではコスト的な理由から光ファイバの敷設が困難という地域が多く存在します。NTTインフラネット・KCCS・古河電工の3社は、それら条件不利地域における地上デジタル放送視聴の問題解決手段の一つとして、本システムをさらに発展させ、デジタルデバイド解消の一翼を担います。
※1 岐阜県が地域情報化の基盤となる地域公共ネットワークとして整備した県内光ファイバ網のこと。
※2 伝送方式の技術的確認のこと。法令整備に関するものではありません。
【 会社紹介 】
〇エヌ・ティ・ティ・インフラネット株式会社について
NTTインフラネットは、NTTが保有する管路・とう道・マンホールなどの地下情報設備のオープン化に伴い、これらの利用申込みなどの全国一元窓口役、地下基盤設備に関わる業務を一元的に継承する目的で1999年に設立されました。従業員数1,851名(2006年6月現在)。
全国約67万kmの管路、約1,000kmのとう道(共同溝含む)、約70万個のマンホール等をハンドリングしてきたノウハウ・技術を基にして、各種情報通信インフラをはじめとした社会インフラの充実・高度化に貢献しています。
NTTインフラネットの詳しい情報についてはWebサイト、http://www.nttinf.co.jp/index.htmlをご覧下さい。
〇京セラコミュニケーションシステム株式会社について
京セラコミュニケーションシステム株式会社は、京セラグループの一員として1995年9月に設立。従業員数、1,415名(2006年3月現在)。システムインテグレーションやソフト開発・販売等の情報システム関連と、D@TA Centerやネットワークの設計・構築、セキュリティ事業を手掛けるネットワークシステム関連を横断し、総合的なソリューションを提供するICT(Information and Communication Technology)事業、通信インフラの建設・保守を行う通信エンジニアリング事業を展開しております。KCCSの詳しい情報については、Webサイトhttp://www.kccs.co.jp/をご覧下さい。
〇古河電気工業株式会社について
古河電気工業株式会社は、1896年に設立。従業員数、4,350名(2006年3月現在)。古河電工のブロードバンド製品部門では、光伝送製品にかかわる製品の開発とシステムのトータルインテグレーション、およびエンジニアリングサービスを行っています。古河電工のブロードバンド製品に関する詳しい情報については、Webサイト、http://www.furukawa.co.jp/broadbandをご覧下さい。
【関連情報】
本製品は、2006年11月15日(水)~17日(金)に幕張メッセで開催予定のInterBEE2006※1に出展予定です。古河電工関連会社の「ブロードワイヤレス株式会社」ブースにて出展予定。詳しくは、下記URLを参照ください。
※1 2006年11月15日(水)~17日(金)まで、幕張メッセにて開催。
http://bee.jesa.or.jp/2006/ja
<参考資料>*添付資料をご参照ください。
■実験構成イメージ
■モニター地点の設置構成イメージ