ノークリサーチ、「2006年中堅・中小企業向けERP市場の実態調査」結果を発表
2006年 中堅・中小企業向けERP市場の実態調査報告
ノーク・リサーチ(本社 〒124-0001 東京都葛飾区小菅4-12-5:代表 伊嶋謙ニ 03-5629-2163、URL: http//www.norkresearch.co.jp )では06年の中堅・中小企業向けERPの実態調査を実施し、その分析結果を発表した。
< 中堅・中小企業向けERP市場の実態調査のポイント >
■05年度のERP市場は前年比8.1%の伸びで1064億円、06年度見込みは1154億円
-中堅・中小企業向け市場規模は2年連続で2桁の13.4%の伸びで670億円
-06年度も2桁成長を遂げ741億円へ。2010年には1027億円市場へ-
■中堅・中小企業向け市場の伸びの要因は景気回復感による投資意欲増進、老朽化した基幹システムのリプレース、内部統制、J-SOX法などの「コンプライアンスブーム」が追い風
■中堅企業と中小企業に住み分けが明確化。特に中堅市場は「ヒートアップ」
■富士通、大塚商会、住商情報の上位3社は変わらないが、「寡占化」から「混戦市場」へ
■中小企業ERPは大塚商会が圧倒的、ミロク、OBCは差を埋められない
■NECの本格参入で06年度はますます混戦模様。SAP、オラクルの実績はいつ顕在化するか
対象ベンダ:富士通、大塚商会、住商情報システム、オービック、OBC、内田洋行、日本電気、SAP、日本オラクル、
などERPベンダ26社
調査方法:直接面接調査
調査分析期間:2006年7月~11月(05年度は05年4月~06年3月)
[ 全体市場規模推移 ]
- 05年度は8.1%の伸びで1064億円、06年度は1154億円と順調に拡大 -
05年度のERP全体市場規模は1000億円を超えて対前年比8.1%増の1064億円で、06年度には対前年比8.5%増の1154億円に達する見込みだ。しかし大企業向けERP市場は飽和感が強く伸びは小さい。実際にERP市場の伸びを牽引しているのは中堅・中小企業向けERPだ。
- 中堅・中小企業向けERP市場は、2年続けて2桁の伸びで対前年比13.4%アップ -
中堅・中小企業向け05年度ERP市場は、2年続けて2桁の伸びで対前年比13.4%アップ、670億円となった。二桁成長を維持している要因は、景気の回復によるIT投資意欲の増加と、オフコン、PCサーバなどの老朽化(によるリプレース)した基幹系システムの見直しでERPへのリプレース、内部統制やJ-SOX法などの「企業コンプライアンスブーム」が追い風となって、ベンダがユーザにERPを営業、提案する機会が増えたこと、ユーザ企業も課題対応のソリューションとして検討したことが要因だ。
今後、J-SOX法の実施基準が明確になる2007年以降も順調に市場の拡大が見込まれ、2010年には1000億円を超えることが予測される。
[ ERPベンダシェア推移 ]
- シェアトップは昨年同様富士通で16.1%、2番手に大塚商会で13.3% -
2005年度中堅・中小企業向け市場(年商500円未満企業)のERPシェアトップは3年連続で富士通の「GLOVIA-C」で16.1%だった。次いで、大塚商会の「SMILE α AD」が13.3%で、住商情報システムの「ProActive」が8.5%となっている。一見昨年のシェアから大きな変化はないように見える。富士通、大塚商会、住商情報システムの上位3社の位置づけは変わらない。ただし下位ベンダとのシェアは微妙に詰まってきている。それは過熱気味の中堅企業への全ERPベンダによる集中展開が、上位3社による「寡占状態」を拒んでいる要因だ。特に飛躍的に伸びたベンダは見当たらないが、「住み分け」によるベンダ得意カテゴリでの位置取りが明確になっている。特にNECによる本格参入が、ERP市場のシェア争いの混戦模様をさらに激化させている。
[ 年商別ERPベンダシェア ]
- 「中小で大塚商会」、「中堅で富士通」、「中堅の上位で住商情報システム」がトップシェア -
「年商50億円未満」の中小企業市場では大塚商会の「SMILE α AD」が38.5%と際立ったシェアでトップを堅持している。中小企業市場はまだら模様の景気状況で必ずしも全般的に好転しているとは言えない状況で、「豊富な既存顧客に着実な提案をし続ける」地道な営業活動をベースに、セミナーなどで新規顧客も獲得する政策が功を奏し、2年連続でシェアトップを維持している。
「年商50億円-100億円」、「年商100億円-300億円」の市場では富士通の「GLOVIA-C」が2年連続トップだ。既存顧客のリプレースに加えて、中堅企業市場攻略に特化した新しい事業部設立による「オール富士通」としての販売力強化などが実績を高める弾みとなっている。
「年商300億円-500億円」では住商情報システムの「ProActive」が16.8%で昨年から引き続きシェアトップ。昨年はグループ会社へまとめて導入するなど規模の大きな案件が多く、シェアの維持に繋がっている。この中堅上位層の市場でオラクル、SAPの名前が出始めている。大企業市場に強みを持つ2社だが、中堅上位以下では2社の実績は少なく、SMB市場攻略に苦戦していることがわかる。
[ ベンダ勢力マップ ]
- 2極化が明確化してきたERP市場、「ヒートアップ」している中堅市場 -
中堅企業大企業COMPANYOracle EBSmy SAPBusinessSuiteGLOVIA-COBIC7exProActiveSuperStreamCORE PlusGRANDITSMILE ieスーパーカクテル人事人事販売奉行新ERPSmile α AD会計会計会計SCAW会計販売中堅市場に「販売のベクトル」が集中しているのは明らかだ。しかもシェア上位3社は当然のごとく競合視されていながら、シェアを維持している。その要因は、「販売力」だ。富士通は富士通ビジネスシステムを中心とした富士通グループのチャネル網、住商情報システムには住商エレクトロニクスなどの住商グループの総合力、オービックは自社の強力な営業力をもっている。そして、まだこの競合視されることは少ないが、この上位3社と同様の販売力を持ち、この構図を崩す可能性を持っているのはNECだ。
また「業種・モジュール別」という住み分けを行い、ニッチな戦略を進めているベンダもいる。内田洋行は「製造業の販売管理」を基点に展開している。SSJは「中堅企業の財務会計」という足場を固めようとしている。東洋ビジネスエンジニアリングは「製造業の生産管理」の方針を貫いている。一方外資系ベンダは苦戦を強いられている。SAPはBusinessOneのチャネル戦略、パートナープログラムの見直しを行うことで現状からの脱却を図っている。オラクルは「JD Edwards」のブランドを復活させ、短期導入パックの販売などの政策を打っているが、SAP同様に苦戦している。国産ベンダが激しくせめぎ合う中堅・中小企業市場で、パートナーの「頭数を揃える」のではなく、「売ることができるパートナー」の存在が課題となっている。
このように、競合が激戦化している中堅企業市場は「自社または他社製品の基幹システムのリプレース」市場で、いずれ大企業市場同様に飽和状況となるのは時間の問題だ。今後潜在需要の大きな中小市場(年商30億円~100億円)に力点が移るのは間違いないところだ。
(※ 詳細は添付資料「オリジナルリリース」を参照してください。)