扶桑薬品、がん治療用「新生血管阻害剤OTS102」の新種への適応症拡大
がん治療用の「新生血管阻害剤OTS102」
“新たながん種へも適応症拡大”のお知らせ
当社とオンコセラピー・サイエンス(株)(OTS社)が平成17年4月4日に契約を締結し、OTS社において開発中の、がん治療用「新生血管阻害剤OTS102」につきまして、当初予定しておりました大腸がんに加え、新たに他のがん種へ契約対象を追加拡大して開発および販売を行うことで合意ができ、本日契約を締結いたしましたので、お知らせいたします。これにより、本剤の市場規模は一段と拡がり、その開発効果に期待をかけております。
<合意の内容>
1.日本におけるOTS102の新たな適応がん種について、OTS社が開発を実施する。
2.扶桑薬品工業は開発マイルストーンおよび日本における開発経費を負担するとともに、上市後は販売高に応じたロイヤルティーなどを支払う。
この新薬の開発ターゲットは、昨年4月の当初契約に際してご説明いたしましたとおりでありますが、悪性腫瘍(がん)は、際限なく増殖して周辺の正常組織を破壊するとともに、近くにあるリンパ節や遠く離れた臓器にも転移します。悪性腫瘍が、このように成長して生命を脅かすような存在となるためには、自らを養うための酸素や栄養素を運ぶ血流が豊富であることが必要です。そこで、がん細胞は、いろいろな因子を分泌することにより新しい血管を増やす機能を持っているわけです。この作用機序を妨害して腫瘍の成長を阻むことができるのが、この新生血管を阻害する薬剤「新生血管阻害剤」で、近年、新しい考え方のがん治療薬として注目を集めております。
「OTS102」は、その新生血管阻害剤の一種でありますが、これまでに、他社で開発されてきたものとは、まったく違う作用機序を有しております。「OTS102」は、腫瘍血管の新生に関わる重要な分子で腫瘍新生血管内皮細胞に高発現しているVEGF‐R2というタンパクの一部からなる薬剤であります。「OTS102」を投与することにより腫瘍の新生血管内皮細胞に対する強い免疫反応が誘導されることにより抗腫瘍効果が得られることが動物実験で証明されております。また、がん周辺にはVEGF‐R2を発現する新生血管内皮細胞が多数存在しますが、正常血管内皮細胞はほとんどVEGF‐R2を発現していないことから、「OTS102」はがん増殖に関与する新生血管に対してのみ特異的に作用し、副作用の少ない薬剤になることが期待されております。
以 上