伊藤忠商事、ライブ動画配信技術のウタゴエと資本・業務提携
ライブ動画配信技術のウタゴエ(株)と資本・業務提携
伊藤忠商事株式会社は、早稲田大学発の研究開発型ベンチャーであるウタゴエ株式会社(東京都渋谷区、代表取締役社長:園田智也、以下「ウタゴエ」)に資本参加し、ウタゴエが開発した、グリッド技術を用いたライブ配信技術(Ocean Grid:以下「OG」)の商品化・事業化に関わる基本合意書を締結致しました。
1.背景
日本のネット人口は7,700万人、うちブロードバンドの世帯普及率は40%(ブロードバンド人口は3,800万人)を超え(インターネット白書2006)、常時接続や大容量データ送受信のネット利用が現実化しました。こうした中でヤフー!動画やGyaOに代表される「配信型」のネット動画サービスが普及してきました。
一方、2006年最も人気を博したWebサービスに「投稿型」動画サービスがあげられます。その代表格が米YouTubeで、国内で月間200万人以上、国内ネットユーザーの5%以上が利用されており、英語のWebサイトとしては異例の状況と言えます。国内でもフジテレビのワッチミーTV!やAskビデオなど、「投稿型」が数十を数え、急成長しています。これは、CGM(Consumer Generated Media)がリッチコンテンツ化していることの現れと考えられ、ブログ、SNSなどのテキストベースのCGMも写真や動画サービスを開始し、リッチコンテンツ化しています。今後こうした「配信型」「投稿型」のネット動画サービスが益々増え、動画を利用したネット広告の市場も大きくなるでしょう。
しかしながら、ネットがテレビを越えるには、既存のテレビのようにライブ感にあふれ、「受動的」に楽しむメディアになることが必要です。「能動的」で「双方向・参加型」の要素をもつインターネットに、「受動的」で「時間消費型」の要素を加えるためには、個人レベルでも放送局がもてる程の配信コストが下がらなくてはなりません。
ウタゴエは、日本のグリッド技術の権威によるご支援のもと、グリッド技術を用いたライブ配信技術「Ocean Grid(以下、OG)」を開発し、また、ライブ動画を見ながら会員同士でコミュニケーションができる「Looc」というSNSを立ち上げました。伊藤忠は、ウタゴエの「総発信・総受信時代」に向けた挑戦に賛同し、OG、Loocの開発・事業化を支援していきます。
2.業務提携の概要と目的
伊藤忠は、2006年9月に伊藤忠ウェブテクノロジーラボ(以下「Tラボ」)を立上げ、オープンソース系のエンジニアを組織化し、伊藤忠グループのeビジネス企業群のWeb2.0化推進と機動的なWebサービス開発を推進する技術集団を構築しました。
今回のウタゴエとの業務提携を通じ、伊藤忠はOGの販売・事業化を支援すると共に、ウタゴエの開発する各種情報技術を利用し、Tラボが様々なWebサービスを開発、展開していくことを目指します。また、OGのような日本が先行するこうしたブロードバンド技術・サービスの海外展開も伊藤忠の海外拠点を通じ積極的に展開していく予定です。
3.ウタゴエ株式会社 概要
社名 : ウタゴエ株式会社 〔英名:Utagoe, Ltd.〕
設立 : 2001年1月
所在地 : (本社)
〒135-0001 東京都渋谷区恵比寿西2-12-15
資本金 : 1.5億円(資本準備金1.4億円)
役員 :
代表取締役社長 園田智也(博士:情報科学)
取締役兼CTO 首藤一幸(博士:情報科学)
技術顧問 :
村岡洋一(早稲田大学理工学部教授)
関口智嗣(独立行政法人産業技術総合研究所 グリッド研究センター長)
従業員数 : 18名
主要株主 : 伊藤忠商事株式会社、トランスコスモスグループ
事業概要 :
(1)グリッド技術を用いたライブ配信技術(Ocean Grid)
(2)楽曲をくちずさむと曲を検索できる「うたごえ検索」技術
(3)類似検索技術(Simone)等のソフトウェア開発、情報科学に関する研究開発・技術開発・ライセンシング及びLooc(http://looc.jp)運営
4.今後の展開
IPマルチキャスト放送の著作権処理の簡素化を目的とした著作権法改正法案が衆院で可決され、今後さらに放送と通信の融合が加速されることが予想されます。
伊藤忠は、ウタゴエを核にネット動画サービス事業を積極的に展開してまいります。また、ネット動画広告事業の展開も行う予定です。
以上