出光興産、仏アクセンス社に重質原油を超軽質原油に改質する「水素化分解触媒技術」の供与を開始
2006年度
仏アクセンス社に重質原油を超軽質原油に改質する「水素化分解触媒技術」の供与を開始
当社(本社:東京都千代田区、社長:天坊 昭彦)は、フランスの最大手エンジニアリング会社Axens(アクセンス)社(所在地:パリ市、社長:JeanSetenac)に、重質原油から超軽質原油に分解し改質する「水素化分解触媒技術」を供与し、今春から同社が産油国からの受注を目指します。
当社が開発した「水素化分解触媒技術」は、ゼオライト系の触媒を投入した固定床反応器で水素と反応させ、重質原油に含まれる重質留分の約40%を軽質留分に分解します。同時に、原油に含まれるバナジウム等の金属分や硫黄分、残留炭素分を取り除き、高品質な超軽質原油に改質します。触媒を用いて、API※25度以下の重質原油を40度以上の超軽質原油に分解、改質できる技術として、世界で初めて開発に成功し、特許を取得しております。
※ American Petroleum Institute 米国石油協会が定めた原油の比重を表す数値
これまで、重質原油を超軽質原油に分解し、かつ改質するには、常圧蒸留装置で蒸留分離された重質留分を分解装置で軽質留分に分解し、さらに改質装置で金属分、硫黄分、残留炭素分を取り除く工程を踏まなければなりませんでした。
当社は「水素化分解触媒技術」をアクセンス社に供与し、同社がプロセス技術を組み合わせることで、合成原油製造プロセス技術「HySCOPTM(ハイスコープ)」を確立しました。「HySCOPTM」技術は、産油国が生産する重質原油の分解・改質に適した技術で、製造された合成原油は、石油消費国において、これまでの超軽質原油と同様に既存設備で処理することができます。
近年、世界の石油需要は、ガソリンや軽油といった軽質な石油製品の需要が伸びています。軽質原油は、重質原油と比べて、軽質な石油製品の得率が高くなり、軽質原油の需要は、ますます高まることが見込まれます。「HySCOPTM」技術は、軽質原油の需要の増加に応えることができる画期的な技術です。