三菱電機エンジニアリングなど5社、各家庭用健康機器で取得した測定情報の一元管理技術を開発
年齢や生活スタイルに合わせた健康管理を実現する
基盤技術を実用化へ
- 異なるメーカーの家庭用健康機器で取得した測定情報を一元管理 -
三菱電機エンジニアリング株式会社(代表取締役社長:尾形仁士)、シチズン・システムズ株式会社(代表取締役社長:中井俊彦)、シャープ株式会社(代表取締役社長:片山幹雄)、株式会社タニタ(代表取締役社長:谷田大輔)、株式会社日立製作所(代表執行役社長:古川一夫)は、異なるメーカーの血圧計や体組成計、自転車型運動能力計など家庭用健康機器間の測定情報を連携・一元管理できる通信技術の実用化検証に成功しました。測定情報を共有できる通信プロトコル(*1)により実現したもので、これにより有線および無線通信を介してさまざまな健康管理機器との連動が可能になり、またこの情報を総合的に分析することにより、家庭で手軽に健康管理が実現できます。
なお、本技術は、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)助成事業「ホームヘルスケアのための高性能健康測定機器開発」で開発した通信プロトコルをNEDO調査事業「在宅総合健康支援システムの有効性の検証および標準化調査事業」で実用化検証し、技術確立した成果です。
■ 背景
動脈硬化に起因する脳卒中や心筋梗塞、糖尿病などの発症リスクが高まるメタボリック・シンドロームが社会問題となり、2008年度の医療制度改革では、医療保険者に対し被保険者・被扶養者への健診・健康指導の義務化や、関連業務の民間企業への委託などが盛り込まれるなど、生活習慣病の予防対策が強化されます。
しかし、個人の健康管理に対する関心が高まるのに伴い、家庭用健康機器の需要は拡大傾向にありますが、メーカー独自の規格で開発を行っていることから機器間でのデータに共通性がなく、測定した個々の情報を総合的に把握することが難しいのが現状であり、測定情報を一元管理して家庭で手軽に細かな健康管理ができる機器が求められていました。
■ 研究開発の内容
このたび、5社が実用化検証した通信プロトコルは、体組成計や血圧計のように扱うデータ量の小さなものから、心電図の連続波形のようにデータ量の大きいものまで、異なるメーカーの家庭用健康機器で取得した測定情報を、有線および無線通信を介して一元管理できる技術です。各社でこの通信プロトコルに対応する通信機能を搭載した健康管理機器を試作し、相互接続およびサーバシステム上での蓄積や閲覧、分析の実験を実施し、商品化への目処をつけました。
これにより、たとえば、A社の体組成計で測定したデータを、ネットワークを介してB社の自転車型運動能力計で受信し、体重と自転車型運動能力計での運動量を総合的に分析の上、今後の目標運動量を表示することなどが可能になります。この通信プロトコルに対応したさまざまな健康管理機器を連動させることで、より緻密な健康管理が家庭で手軽に実現できるようになります。
■ 今後の展開
本通信プロトコル対応機器の普及拡大のため、国内のみならず、国際標準化に向け、推進してまいります。
(*1) ネットワークを介してコンピュータ同士が通信を行うために定められた約束事。通信規約、通信手順などと呼ばれることもある。
■ 将来の利用イメージ図
* 関連資料 参照
■ 想定される活用例
1. A社の自転車型運動能力計で測定した運動量、心拍、脚力のデータと、B社の体組成計に蓄積している身体データとを連携させ、前回運動した日時からの体重の変動を踏まえて分析することにより、「適正な体重を維持するためにもう少し運動しましょう」といったアドバイスを表示する。
2. C社の血圧計とD社の心電図のデータをA社の自転車型運動能力計で受信し、その日の体調に合わせた目標運動量を自動的に設定する。
3. 一人暮らしのお年寄りの健康に関するデータをネットワーク経由で共有して、病院の電子カルテの情報をもとに健康見守りシステムを構築し、異常の早期発見のための体制を整える。
以上