メディネット、新規樹状細胞加工プロセスで大量培養法の確立に向けた検証で米社と合意
メディネット、MaxCyte社と共同開発 “第2ステージ”を開始
新規樹状細胞加工プロセスで少量培養時の機能向上の確認が終了、
大量培養法確立に向けた検証に移行
株式会社メディネットは、MaxCyte社(MaxCyte, Inc., 米国メリーランド州、社長 兼CEO:Douglas A. Doerfler)と共同で開発中の加工プロセスが、少量培養において従来法に比べ樹状細胞(*1)の大幅な機能向上をもたらすことを確認できたことを受け、平成19年4月23日、大量培養法の確立に向けた“共同開発 第2ステージ”に移行することでMaxCyte社と合意しましたのでお知らせします。
メディネットは、平成18年8月、MaxCyte社と共同研究契約を締結し、自社で蓄積してきた細胞加工技術及びノウハウに、MaxCyte社のエレクトロポレーション(*2)を用いた細胞加工技術を組み合わせ、外科手術等で摘出した腫瘍細胞をより効率的に樹状細胞に取り込ませる細胞加工プロセスの開発と機能の検証を行なってまいりました。これまでの共同開発及び検証を通じて、共同開発中のプロセスにより加工した樹状細胞が、少量培養時において従来の加工法に比べて約10倍の効率での抗原を取り込み、さらに、5~20倍の抗原特異的Tリンパ球を誘導することが確認されました。
この度開始する共同開発“第2ステージ”は、少量培養時に期待通りの結果が得られたことを受け、臨床応用に向けた大量培養を可能とする新規プロセスの開発と機能の検証を行なうもので、約3ヶ月を予定しています。
メディネットは、がん患者の方々の治療選択肢拡充に向けて、樹状細胞療法(*3)の治療効果向上につながる本技術を用いた新規加工プロセスの確立と早期の実用化を目指してまいります。
以 上
MaxCyte社について:
MaxCyte社は、独自の技術開発と幅広い外部との提携により、細胞医療に関わる研究開発を積極的に進めており、既に臨床段階に到達した候補薬を複数保有しております。同社の細胞加工技術は、細胞医療の臨床応用に際して、その成功を左右する安全性、細胞加工の処理量、再現性等の課題を克服しているものです。その技術の応用可能性は幅広く、同社は既に、提携企業・大学研究者と共同で、がん、呼吸器疾患、代謝異常、及び感染症等の疾患に対する治療パイプライン、さらに、3つの治療薬候補を開発しており、これらの中には既に臨床試験のフェーズI/II段階に達しているものもあります。
⇒URL: http://www.maxcyte.com/
*1:樹状細胞(Dendritic Cell; DC)
免疫細胞の1つで、樹枝状の形態を呈しており、高い抗原提示能を有する。血液、体液中をたえず移動し、種々の組織に分布する。癌細胞やウイルス感染細胞などの異物を貪食し、それらを分解して細胞表面に特異抗原を発現することで、リンパ球を介して効率的に免疫反応が誘導される。
*2:エレクトロポレーション
形質転換法の一種で、細胞懸濁液に電気パルスをかけることで細胞膜に微小な穴を空け、DNA等を細胞内部に送り込むことで形質転換する方法。電気穿孔法とも呼ばれる。
*3:樹状細胞療法
樹状細胞を用いた免疫細胞療法で、体内でがん細胞を特異的に攻撃するTリンパ球を誘導し、攻撃させる治療方法。樹状細胞は、がん細胞に由来するたんぱく質を貪食し、それをがん抗原としてTリンパ球に提示することにより、がん細胞を特異的に攻撃するTリンパ球を誘導する働きをするため、大量のがん抗原を樹状細胞に取り込ませることが、特異的なTリンパ球を大量誘導し、さらにはより有効な治療結果が得られるかに大きな影響を及ぼす。がん抗原ペプチドまたは患者自身のがん組織等を利用し、あらかじめがん抗原を認識させた樹状細胞を投与する樹状細胞ワクチン療法と、貪食作用を保持した、言わば未熟な樹状細胞をがん病巣に直接注入する樹状細胞腫瘍内局注療法などがあり、他の免疫細胞療法と同様に、患者への身体の負担は非常に軽微である。
[この件に関するお問い合わせ先]
株式会社メディネット 広報グループ
TEL: 045-473-0041(代表)
e-mail: ir@medinet-inc.co.jp