松下電工、IP原理を活用し歯の表面にフッ素イオン導入で歯質強化に期待など研究成果を発表
イオントフォレシス※1による歯の表面へのフッ素イオン導入促進
~日本薬学会 第127年会(2007年3月開催)で発表~
松下電工株式会社では、東京理科大学芳賀信教授らのグループと共同で、日常生活においてより簡便かつ有効・安全に虫歯を予防する目的で、イオントフォレシス※1(以下IPに省略)の原理により歯へフッ素イオンを積極的に導入する方法を検討しました。
その結果、パルス通電(断続的な通電)を用いてIPの原理を活用することにより、安全かつ効果的に歯の表面へフッ素イオンを導入でき、歯質を強化することが期待できることが確認できました。
〈※1〉イオントフォレシス(IP):
(IontoPhoresis)ph条件などによりイオン化した薬物を泳動により輸送を促進する方法。
肌に薬物や化粧品を塗布して微弱な電流を流すことにより、イオン化した薬物や化粧品を肌の内部に浸透させる美容医療行為などに活用されている。
■検証方法
抜去歯を+極、白金電極を-極として、フッ化ナトリウム※2水溶液中で直流または矩形波パルスIPを行い、歯表面エナメル質に導入されるフッ素イオン量を検証した。歯の表面に導入されたフッ素量は、フッ素イオン電極法により定量した。
〈※2〉フッ化ナトリウム:フッ素イオンの供給源として、薬用歯みがき剤などに有効成分として配合されているフッ素化合物。
■検証結果
(1)IPの活用で、歯へのフッ素導入をより効果的に行えることを確認
(2)フッ化ナトリウム4%溶液中でIPを行った場合、直流よりも矩形波パルス通電の方がフッ素導入量が多いことが確認
これらより、薬用歯みがき剤を利用して通常の歯磨きを行うよりも、パルス通電によるIPを同時に行うことで、より有効に歯にフッ素イオンを導入でき、歯質を強化する効果を期待できることがわかりました。
■背景
虫歯(う蝕)は口腔内細菌が生成する酸によりエナメル質が溶解することに原因があります。
フッ素イオン(フッ化物)には、
1)唾液中のミネラル分が歯の内部に取り込まれる再石灰化を促進する働き
2)歯の再石灰化期に無機質と結合して、より結晶性の高く、酸に対する不溶性の歯質を形成する働き
3)さらに、エナメル質の主成分である「ハイドロキシアパタイト」の水酸基がフッ素置換した「フルオロアパタイト」を生成することで、さらに安定した結晶構造をもち耐酸性が高い歯質を形成する働き
のあることが知られ、むし歯予防効果のある成分として広く知られています。現在、市販されている歯磨剤のほとんどにフッ素化合物が配合されています。
※以下詳細は添付資料を参照
以 上