協和発酵、米社と固形がん対象の抗悪性腫瘍剤「ARQ 197」のライセンス契約を締結
米国ArQule社で臨床開発中の
抗悪性腫瘍剤ARQ 197を導入
協和発酵(東京都千代田区社長:松田譲)は、米国の医薬開発会社ArQule社(アーキュール社。米国マサチューセッツ州CEO:スティーブンA.ヒル)より、ArQule社が米国で臨床第I相試験を終了し次相試験の開始を準備中である、固形がんを対象とする抗悪性腫瘍剤ARQ 197 の日本ならびにアジアの一部(中国・韓国・台湾)での独占的開発・販売権を取得するライセンス契約を2007年4月27日に締結しましたので、お知らせいたします。
このたびの契約締結に伴い、日本においては今後、承認・上市に向けて当社が臨床開発を実施することとなります。また当社は同社に対し、30ミリオンドルの契約金、および開発段階に応じたマイルストーンならびに売上マイルストーン、製品販売に伴うロイヤルティーを支払うこととなります。
本剤は、c-Met とよばれる受容体型チロシンキナーゼを阻害することで抗がん効果を発揮する分子標的薬剤であり、経口投与可能な低分子抗悪性腫瘍剤です。
c-Met は、肝細胞増殖因子/細胞分散因子(HGF/SF)の受容体として、細胞の増殖、生存、移動など様々なプロセスを制御することが知られています。特に、胃がんなどの消化器がんを含めた多くの種類のがんにおいてc-Met が活性化しており、異常増殖や転移しやすいといったがん細胞の特徴に関わっていることが知られています。
本剤は、c-Met を選択的に阻害することで、これらがん細胞特有の性質を抑え、抗がん効果を発揮します。
米国で実施された臨床第I相試験では、重篤な副作用は報告されておらず、高い安全性が確認され、同時に固形がんに対する有効性を示唆する結果が複数の種類のがんにおいて確認されており、長期投与が可能な新しいタイプの抗悪性腫瘍剤として、今後の臨床開発が期待されています。
当社は、がん治療分野においてマイトマイシン、5-FU、ナベルビン、アドリアシン、ファルモルビシン、ロイナーゼ、ヒスロンH、ダカルバジン、プラトシンといった多くの抗悪性腫瘍剤、またノイアップ、ロイコプロール、ナボバンそしてがん疼痛を緩和する医療用麻薬貼付製剤のデュロテップといった、がん治療の周辺薬剤も数多く販売しており、同分野に幅広く貢献をしています。
また、がん領域を研究開発における重点領域と位置付け、c-Met とは異なる分子を標的とする自社開発のキナーゼ阻害剤KW-2449 をはじめ、抗体医薬も含めた複数の抗悪性腫瘍剤およびがん疼痛治療剤を臨床開発しており、本剤の導入により、一層がん領域への寄与・貢献が出来るものと考えています。
以上
【ArQule 社(アーキュール社) の概要】
1993年設立。1996年 NASDAQ上場。
次世代の低分子抗悪性腫瘍剤の研究開発に特化した米国の医薬開発会社。
本社: Woburn, MA (米国マサチューセッツ州ウォーバン市)
URL: http://www.arqule.com/