ソニー、有機TFTによるフルカラー有機ELディスプレイの駆動に成功
プラスチックフィルム上の有機TFT駆動有機ELディスプレイで世界初のフルカラー表示を実現
ソニーは、プラスチックフィルム上に有機薄膜トランジスタ(※1)(有機Thin Film Transistor=有機TFT)と有機EL素子を集積化する技術を開発し、世界で初めて有機TFTによるフルカラー有機ELディスプレイの駆動に成功しました。
通常、有機ELディスプレイは、硬いガラス基板の上に、シリコン半導体材料を用いたTFTを形成し、その上に有機ELの発光素子を積層させてつくります。これに対して、今回、プラスチックフィルム上に形成した柔軟性に富む有機TFTを開発することで、薄く、軽く、曲げられるディスプレイを実現しました。これまでの有機TFT駆動有機ELディスプレイの試作例の中では、世界初のフルカラー表示、世界最高精細※2(160×120画素、80 ppi、画素サイズ318μm角)の解像度を達成、曲げた状態でのフルカラー動画表示も可能としています。
本研究成果は、ソニーが次世代のフラットパネルディスプレイとして商品化を進めている有機ELディスプレイの将来技術として、薄く、軽く、やわらかいなどの特長を持ったエレクトロニクス製品の実現につながるものと期待しています。
当社は、今後も有機TFT技術の実用化に向け、新規材料・デバイス構造・プロセス・信頼性向上などの要素技術の研究開発を進めていきます。
なお、この研究成果は、米国カリフォルニア州ロングビーチで5月22~25日に開催のディスプレイ関連学会 SID(Society for Information Display)2007 International Symposiumに採択され、5月25日に発表いたします。
■主な研究開発のポイント
* 関連資料「別紙」 参照
■今回作製した有機TFTの仕様
* 関連資料「別紙」 参照
■今回作製した有機TFT駆動有機ELディスプレイの仕様
* 関連資料「別紙」 参照
■注釈
※1 : 有機薄膜トランジスタ(有機 Thin Film Transistor=有機TFT):
半導体層の材料に有機物(炭素骨格の化合物)を用いた薄膜状のトランジスタ。
製造時のプロセス温度が低いため、プラスチックフィルムへの直接形成が容易であり、プラスチック同様の機械的柔軟性を持つ。これにより、薄く・軽く・やわらかいエレクトロニクス製品、例えば、フレキシブルなフラットパネルディスプレイ、電子ペーパー、RF-IDタグなどへの応用が期待されている。
また、有機物は溶媒に溶かしやすいことから、有機半導体材料をインク状にして印刷し、安価に大面積の回路を作製する技術についても盛んに研究されている。
※2 : 2007年5月現在、有機TFT駆動有機ELディスプレイ試作において、世界初のフルカラー表示、世界最高精細。ソニー調べ。