島津製作所、研究開発分野向け記録管理システム構築支援ツール「源藏」を発売
-研究開発業務の情報管理と知的資産の効果的共有を実現-
ISO15489のガイドラインに準拠した
記録管理システム構築支援ツール「源藏」を発売
島津製作所は、研究開発分野向けの記録管理システム構築支援ツール(商品名:記録管理システム「源藏」ver.1.0)を発売します(発売開始日5月30日)。本システムは、業務の流れに沿って、記録管理の国際標準であるISO15489のガイドラインに準拠した記録管理システムの構築を支援するWebベースのアプリケーションで、研究開発業務を対象としたものとしては業界初の記録管理システムです。
本システムは、ユーザーが説明責任を果たすうえで重要な情報管理と知的資産の効果的共有を実現するものです。当社は、本システムの提供により、お客様の研究開発について、分析計測機器の提供に留まらず、ワークフローに沿ったデータ管理から研究管理、さらに、日常業務の管理までを含めたトータルソリューションを提供できることになります。
記録管理システム『源藏』とは、研究開発活動で生産される
・ 計画書、実験ノート、報告書、論文などのドキュメント
・ 各種計測機器で測定された生データ
・ 化合物の2次元・3次元構造データ
などを、プロジェクトごとに各々の情報の関連を保った状態で統一的に管理するWebベースのアプリケーションです。
近年、論文などの研究開発の成果や組織での研究活動結果に関する社会的説明責任の重要性が増しています。記録管理の国際標準であるISO15489では、“文書は組織内での活動が正確に反映され、また、業務の支援だけでなく説明責任の目的に使わなければならない”として、(1)真正性、(2)信頼性、(3)完全性、(4)利用性の4つを良い文書の要件としてあげています*注1。 このため企業や官公庁などに対しては、研究結果にいたる過程について社会に対する説明責任(アカウンタビリティ)を果たすために、これらの要件を満たす記録管理システムを組織的に導入することが求められています。
また、最近企業にとっては、2007年問題への対応を含め、ナレッジマネジメント(知的資産の組織的共有による効率的経営)の一環として、研究開発の活動で生まれた知的資産の効果的な蓄積と、知識化・共有化を図り、有効に活用することが重要になっています。そのため最近、各企業ではインフラとして、研究情報の電子化・記録管理システムの導入を進めていますが、データの形式に依存しない記録管理や、ワークフローとデータとのバランスの良い連携の実現が大きな課題となっていました。
新製品の記録管理システム「源藏ver.1.0」は、こうした研究開発活動に関する企業や研究機関の課題解決につながるものとして発売するものです。本システムは、ISO15489のガイドラインに沿って記録管理システムの構築を支援するツールで、情報を入力し適正に運用することにより、電子化された文書が国際標準に定めた条件を満たした記録として管理されます。このため、単なる情報の集積にとどまらず、説明責任を果たすために必要とされる条件を満たした記録を作成することができます。
また、本システムは、データ形式に依存せず、研究活動の過程で生まれる計画書、実験ノート、報告書、論文などのドキュメントや計測器・分析機器で測定されたデータ、化合物などの構造データおよび計測機器の精度管理データを、それぞれの関連を含めて統一的に管理できます。このため、本システムは、単なる記録管理だけでなくナレッジマネジメントのツールとして、研究開発組織の知的資産の有効利用を実現する環境を構築できることが大きな特長です。
さらに、本システムは、Webベースのアプリケーションであるため、イントラネットやインターネット(VPN)などを介して、実験室やオフィスだけでなく、サテライトオフィスや自宅、さらに海外など遠方の研究拠点からもアクセスが可能で、研究開発に関わる様々な情報をプロジェクトに関係するメンバー間で共有するシステムを容易に構築することができるという特長があります。
【動作環境】
・サーバー(IBM PC/AT互換サーバー用PC)
CPU: デュアルコアXeon(*1)プロセッサー
OS: RedHat Enterprise Linux(*2)(Version4)
・クライアント(IBM PC/AT互換デスクトップまたはノートPC)
OS: 日本語MS-Windows XP Pro(*3)
Webブラウザ: Internet Explorer(*3) Ver.6(SP2)以降
*1:インテル社の商標、*2: RedHat社の商標、*3:マイクロソフト社の商標です。
【製品の概要】
名称 : 記録管理システム「源藏ver.1.0」
定価 : 仕様により100万円(10ユーザライセンス)~1,875万円(500ユーザライセンス)(税抜き)
発売日 : 2007年5月30日
販売計画 : 2009年度に年間20本
*注1) 参考:ISO15489について
ISO15489は2001年9月に制定された記録管理の国際標準で、“文書は組織内での活動が正確に反映され、また業務の支援だけでなく説明責任の目的に使われねばならない”として、以下の4つを良い文書の要件として挙げています。
(1)真正性(Authenticity) : 文書が権限のある人により作成されていること。権限のない人による変更や修正から守られていること。
(2)信頼性(Reliability) : 文書が業務や活動内容を正確に反映しており、業務の証拠となること。
(3)完全性(Integrity) : 文書が完成され、変更されていないこと。承認された変更修正であっても記録され追跡が可能なこと。
(4)利用性(Useability) : 文書の所在場所がわかり、検索・呈示ができること。また、業務活動の関連の中で文書の所在が確認できること。