インテリジェントセンサーテクノロジー、新型味認識装置「TS-5000Z」を7月発売
新型味認識装置TS-5000Zの販売を開始
株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー(代表取締役社長 池崎秀和、本社住所 神奈川県厚木市恩名5丁目1番1号、電話:046-296-6609)は、味認識装置SA402Bの後継機であるTS-5000Zを7月より販売開始します。
初代味認識装置SA401は、九州大学大学院システム情報科学研究院教授 都甲潔教授が1989年に発明した味覚センサーを1993年に装置化したものです。それ以降、SA402、SA402Bとバージョンアップし、今までに食品や医薬品の業界で、160台の納入実績があります。
味覚センサーは、人間の舌の表面を人工の脂質膜で模倣し、味物質が膜に吸着したときに変化する電位を計測して、味物質を検出する仕組みです。従って、人が感じる味を定量的に表現できるという特徴があります。
実際に味認識装置を使っておられる方から、センサーの耐久性を向上させて欲しい、使い勝手をよくして欲しいという要望が寄せられ、これらの課題を解決する目的で、新機種TS-5000Zの開発に着手しました。
この技術は、独立行政法人科学技術振興機構(JST)が、独創的シーズ展開事業として、九州大学 都甲潔教授らの研究成果を基に、委託・企業化開発を進めていたものです。味認識装置TS-5000Zは、JSTの委託開発事業の成果を利用した装置です。
味認識装置TS-5000Zの特徴は、従来の装置の特徴を継承し、人間の舌と同じメカニズムを持ち、食品や医薬品の「味」を数値化でき、独自の「後味」測定より、「コク」や「キレ」も表現できる点です。また、今回から採用したタッチパネルによりウイザード形式で設定でき、使い勝手が向上しています。さらに、表示できるグラフの種類が追加 (三次元散布図、バブルグラフなど) され、また、解析もマクロ登録できるので、同じ解析をする場合は、ワンクリックで解析できるようになりました。測定データはデータベースに格納され、データ検索、処理が簡単になりました。システムは、ネットワークを介してデータ解析、測定設定ができ、一台のサーバーで複数の装置を管理するため、増設も容易になりました。装置の自己診断機能も搭載しています。
TS-5000Zは、官能検査のサポートツールとして、商品開発、マーケティング、営業など「味」の客観的評価が必要なあらゆる分野で威力を発揮するでしょう。
装置は下記展示会で展示・紹介します。
・ifia JAPAN 2007 (第12回国際食品素材/添加物展・会議:東京ビッグサイト) 5月30日~6月1日
・FOOMA JAPAN 2007 (国際食品工業展:東京ビッグサイト) 6月5日~6月8日
・第20回インターフェックスジャパン (東京ビッグサイト) 6月20日~6月22日
【開発の背景】
食品メーカーでは、パネルと呼ばれる人が官能検査により食品の味を評価しています。そのためパネルの個人差や体調・気分が官能データの客観性・再現性に影響する、官能試験自体が大変な作業で疲労度が大きい、またパネルの育成が難しい等の問題が指摘されています。一方、各種化学分析では、味を表現できないのが現状です。そこで、食品の新製品開発や製造ラインでの品質管理において、人の感じる味を検出して、官能検査をサポートする味覚センサーの開発が望まれていました。一方で、九州大学の都甲教授が味覚センサーの基本特許を出願していました。
このような食品業界の要望にこたえるため、アンリツ株式会社は、味覚センサーの特許を利用して、1993年に味認識装置SA401を世界で初めて試験販売しました。味覚センサーは、2002年に設立した株式会社インテリジェントセンサーテクノロジーに、技術移管され、それ以降、バージョンアップを繰り返し、現在までに160台の納入実績にまで到達しました。
しかしながら、顧客からの要望の多くに、センサーの耐久性を向上させて欲しい、使い勝手をよくして欲しいとの声がありました。そこで、これらの要望にこたえるため、味認識装置TS-5000Zを開発しました。
【製品概要】
味認識装置TS-5000Zは、従来の特徴はそのまま継承しています。多種類の脂質膜をセンサーとして使用し、サンプル中の膜電位を分析し、味の認識を行う装置です。分析結果をグラフ表示したり、味のマップを作成することにより味の違いを視覚的に把握できます。新製品の開発や製品の品質管理などに、官能検査を強力にサポートして、開発効率を向上させることができます。
TS-5000Zに新規に追加された機能
1)使い勝手が向上しました
・タッチパネルによりウイザード形式で設定できるので、初心者でも、簡単に測定できます。
2)解析&グラフ機能が充実しました
・従来の装置のグラフに加え、三次元散布図、バブルグラフ、等高線グラフが追加されました。
・解析の履歴がマクロ登録できるので、同じ解析をする場合は、ワンクリックで解析できます。
・測定値はデータベースに記録されていますので、データの検索が簡単になり、データ活用の幅が広がりました。
3)ネットワークに対応しました
・装置から離れた場所でも、ネットワークを介してデータ解析、測定設定ができます。
・一台のサーバーで複数の装置を管理できるので、装置の増設が容易で、測定用のPCは不要です。
4)保守、その他
・装置の自己診断機能を搭載しました。
・OSにはLinuxを使用し、システムが安定になったため、連続運転ができるようになりました。また、OSのバージョンアップも不要です。
価格は980万円。
■装置の概観
※添付資料を参照