清水建設、工場の害虫リスクをパソコン上で診断できる新システムを開発・実用化
食品工場などの害虫リスクをパソコン上で診断できる新システムを開発・実用化
―有害生物の種類、危険度などを簡単・迅速に総合評価して、施設計画を強力支援―
清水建設(株)<社長野村哲也>はこのほど、食品工場や医薬品工場などの害虫リスクを、パソコン上で診断できる新システム(名称「バグナビR」)を開発・実用化しました。バグナビRを使えば、製造工場がその立地で抱える有害生物に関する潜在的なリスクを、生物の種類や危険度など様々な角度から、簡単・迅速に総合評価することが可能。工場計画の策定段階や設計段階での対策に役立てることができます。当社は、本システムを、施設計画の初期段階でのコンサルティングに積極的に活用し、各種製造工場の新築・リニューアル工事の受注に繋げていく考えです。
消費者の安全に対する意識が高まるなか、食品・医薬品などの製造工場にとって、有害生物対策は益々重要性を増しています。対策といっても有害生物は虫の他に、ネズミやカラスなど種類が多く、その生態も様々。侵入・発生してくる有害生物の特性に応じて、総合的な対策を立てることが必要となります。そのためにはまず、工場立地が抱える潜在的なリスクを把握することが重要。しかし今まで、このようなリスクを簡単に把握する手段はありませんでした。
今回開発したバグナビRは、有害生物の種類、危険度など、製造工場がその立地で抱える有害生物に関する潜在的なリスクを、データ入力だけで簡単・迅速に総合評価できることが最大の特徴です。新築・リニューアルを問わず施設の計画段階で、有害生物に対する防御力に優れた工場計画の策定・設計や施設運営などに役立てることが可能。データの入力項目は、施設の立地環境や施設用途などに関して30項目以内。
システムのデータ入力と判定は、市販PCを使って、当社の専門スタッフが行います。
バグナビRの開発にあたっては、過去5年間に渡る約1万件の異物混入事故に関するデータ分析と、当社が独自に行ったフィールド調査をもとに、その結果をデータベース化。このデータベースと、今回新たに構築した「リスク診断アルゴリズム」が、判定結果を瞬時に導き出します。
なおバグナビRは、6月に東京ビッグサイトで開かれる「国際食品工業展FOOMA JAPAN」(5日から4日間)、医薬・化粧品関連の研究開発・製造技術国際展「インターフェックスジャパン」(20日から3日間)で展示・デモを行う予定です。
≪バグナビRを使ったリスク診断イメージ≫
1.計画の種類にあわせて、4つのメニュー「食品施設の新築」、「食品施設のリニューアル」、「医薬品・非食品施設の新築」及び「医薬品・非食品施設のリニューアル」の中から、一つを選択します。
2.施設の立地環境や施設用途などに関してデータ入力。代表的な入力データとしては、立地環境に関する項目。この項目は、林や川、市街地など、17分類した環境区分ごとにその割合を入力するものです。
3.データ入力を終えると、判定結果を一瞬で画面上に出力します。リスクは、「有害生物種類」と「侵入経路・発生場所」という2つのリスク側面から判定。「有害生物種類」に関するリスク評価は、イエバエ・ムカデなど60に分類した有害生物ごとに、侵入・発生の可能性や被害の大きさを反映した危険度を最大百のリスク指数で表示。また「侵入経路・発生場所」に関するリスク評価は、飛翔侵入・排水系内部発生など5つに分類した経路・場所ごとの危険度を最大百のリスク指数で表示します。
≪本システムのメリット≫
1.簡単・迅速に判定
信頼しうるデータベースと独自の診断アルゴリズムによって、従来ならば現地調査をしなければ、判らなかった有害生物リスクを簡単なデータ入力だけで、瞬時に総合評価できるようになりました。データの収集には簡単な現地調査などに、一日
程度かかりますが、全てのデータ入力は30分以内で済みます。
2.有害生物リスクを総合評価
予想される有害生物の種類、危険度及び侵入経路・発生場所など、様々な角度から、リスクを十分な精度で総合評価します。その結果を活かして計画段階で、対策ポイントの把握や、対策ごとのウェイト付けをすることができ、効率的な計画の策
定・設計や施設運営が可能となります。
3.施設のリニューアルには、有害生物対策の達成度も評価
既存施設のリニューアルでは、新築のメニューにはない評価項目として「対策達成度評価」を用意。侵入・発生形態別に、既存施設の対策がどれくらい達成できているかを%表示で評価します。この評価結果を活かして、ハード面とソフト面の対策達成度と対策のポイントを把握でき、リニューアル計画の効率的な策定・設計が可能となります。
以 上